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(原題: We Are What We Are 2013年/アメリカ 105分)
監督/ジム・マイクル 原作/ホルヘ・ミッチェル・グラウ 脚本/ニック・ダミチ、ジム・マイクル 撮影/ライアン・サマル 美術/ラッセル・バーンズ 編集/ジム・マイクル 音楽/フィリップ・モスマン、ダーレン・モリス、ジェフ・グレイス
出演/ビル・セイジ、アンビル・チルダーズ、ジュリア・ガーナー、ジャック・ゴア、ケリー・マクギリス、ワイアット・ラッセル、ニック・ダミチ

概要とあらすじ
メキシコのホルヘ・ミッチェル・グラウ監督が2010年に発表した作品を、「ネズミゾンビ」「ステイク・ランド 戦いの旅路」などで注目されるジム・マイクル監督が英語リメイクしたカニバリズムホラー。カンヌ映画祭監督週間、サンダンス映画祭などでも上映され、残酷で衝撃的な内容が話題を呼んだ問題作。ニューヨーク州北部の片田舎で、一見すると平凡で慎ましい生活を送るパーカー家は、母親のエマが不慮の事故で他界したことにより、変化を余儀なくされる。美しい姉妹アイリスとローズは、それまで母親が担っていた、一家に隠された「秘密の儀式」を行うことになるが……。(映画.comより



かぶりつきたいの! 生で!

随分とストレートでぶっきらぼう、というか、
人を食ったような邦題の『肉』。
そのかわりというべきか、レースでふりふりさせたロゴをみて
ダークでエレガントなゴシックホラーをイメージしていると
舞台はネルシャツだらけのアメリカのド田舎で
肩すかしを食らいます。

ど〜しゃぶりの雨の中、買い物に出かけた母親が
倒れた拍子に消火栓(?)に頭をぶつけて死んでしまいます。
こういう死に方は、ゴンという鈍い音と共に
痛さが伝わってきて最悪です。
それはつまり、最高なのです。

そんなオープニングで、期待値はぐんと高まったのですが
それ以降はどうにも盛り上がりません。
ネタバレがどうしたとかいう問題ではなく、
『肉』という邦題でなくとも
そもそもリメイクなのですから
この作品がカニバリズムを描いた映画であり、
主人公の家族が人肉を食しているのは分かりきっているのです。
にもかかわらず、家族の食人癖そのものを謎として演出し、
思わせぶりにほのめかしたりするシーンが続くので
あたかも髷を結ったデブが
自分が相撲取りであることに感づいてほしくて
塩を指につけてなめるかのように
(なんだ、この喩えは)
伏線の如くミンチやベーコンにクローズアップするのを観ていると
だんだんとイライラしてきます。

家族が「子羊の日」と呼ぶ日になると
誘拐した近隣住民を切り刻んでスープにし、
正装してテーブルを囲んだ家族はそれを食すのです。
それは1700年代にこの家族の祖先が山中で空腹に耐えきれず、
人肉を食べてしまったことに起因しているのですが
この家族がおよそ300年にもわたって
食人を家訓として継承しなければならない理由は
皆目見当がつきません。


車ごと沼に突っ込んで死んでいた女性が発見されるシーンも
なんのことやらさっぱりですが
娘のアイリス(アンビル・チルダーズ)
ローズ(ジュリア・ガーナー)
最初から食人の伝統に懐疑的な態度を見せっぱなしなのも
いただけません。
伝統の継承に積極的な父親フランク(ビル・セイジ)
どうやら変わり者だと思われているようですが
食人によるクールー病で苦しんでいるものの
変わり者と思われるような描写はなく、
また、変わり者と思われているわりには
いくら失踪者が続出しても疑われるようすがないのも
ピンと来ません。

また、最大の見せ場になるであろう
姉妹による解体シーン
口紅を使ってなんとなくオサレ感を出している場合ではなく、
この家族にとって特別な晩餐の下ごしらえなのですから
肉を切り分ける所作をきちんと見せるべきではないでしょうか。
それでこそ、たとえ肉が牛でも豚でも鹿でも羊でも
人間がやってることは一緒だという批判性も生まれるかもしれません。
ただ単に、グロくて過激なシーンが見たいわけではなく
この家族の狂気を表現するためには
欠かせないシーンだと思うのですが。

後半、父親フランクに疑いの目が向けられるようになると
この作品に邦題をつけるなら
『肉』よりむしろ『骨』だったんじゃないかと思うほど
骨が重要なアイテムになります。

観念したフランクは、
和歌山毒物カレー事件よろしく人肉スープにヒ素を混ぜて
一家心中を図ります。
ついこないだ、人肉スープ喰ったばっかりのはずだから
「子羊の日」はそんなにちょくちょくあるのかよと思いますが
それはともかく、
姉妹が逃走を図り、修羅場があったあとで
ああこの映画はぼんやりしたまま終わるんだろうなと思っていると
突然、姉妹が父親の身体にかじりついたのです!
妹が首に噛み付き、姉は腕を引きちぎる!
あああ、やっと面白くなってきたー!
というところで、ジ・エンド……

あまりに唐突な姉妹の行動にあっけにとられたわけですが
結局、姉妹(および母親)が人肉の伝統に懐疑的だった理由が
人道的に心が揺れていたのか、病気を恐れていたのか
あいまいになってしまいました。

姉妹の最後の行動から察するに
家族の伝統うんぬん以前に
あたかも吸血鬼か狼男のように、
姉妹の身体には食人がDNAレベルで遺伝していると考えるべきで
悪いことだとわかっちゃいるけど、食べたいんだよね♡という
人肉中毒だったとみるべきでしょう。

要するに、
姉妹が父親に対して抱いていた不満と懐疑的な態度の根拠は…
 あのクソオヤジさぁ。かっこつけて正装なんかさせてさぁ。
 わざわざスープなんか作るのチョーめんどくさいんですけどまじで。
 じっくりコトコト煮込んだスープ♡っつてる場合じゃねえし。薬丸かよ。
 薬丸は古くて伝わりづらいけど、言いたいことはわかるよ。
 スープ喰いたきゃ自分で作れっつーの。ねえ?

姉妹 ア・タ・イたちはぁ、かぶりつきたいの! 生で!





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