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教授とわたし、そして映画

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(原題: Oki's Movie 2010年/韓国 80分)
監督・脚本/ホン・サンス 撮影/パク・ホンヨル 編集/ハム・ソンウォン
出演/イ・ソンギュン、チョン・ユミ、ムン・ソングン

概要とあらすじ
韓国の俊英ホン・サンス監督が、映画学科の女生徒オッキをめぐって繰り広げられる人間模様を4部構成で描いた作品。30代の売れないアート系映画監督ジングは、大学時代の恩師ソン教授の紹介で映画学科の講師を務めている。ジングは学生だった頃、同じ映画学科に通う女生徒オッキに恋していたが、実はオッキはソン教授と関係を持っていた。ジングはそのことを知らないまま、オッキと結ばれる。やがてオッキは、ジングとソン教授との三角関係を題材にした映画を撮りはじめる。(映画.comより



説明不可能な魅力に釘付け

『3人のアンヌ』で完全にノックアウトされた僕は
ホン・サンス監督の作品を
少しずつ遡って観ているのですが
つくづく、韓国映画から受け取る一般的な印象から
かけ離れた人だなと感じます。
間違いなく、ハングルで語られる、
韓国国内を舞台にした物語なのですが
たとえ韓国の生活習慣に基づいた描写があったとしても
つねに寓話的かつ普遍的で
特定の国の映画を観ているという感覚にまったく陥らないのです。

僕にとって、何本目かのホン・サンス監督作品
『教授とわたし、そして映画』
いかにも彼らしい作品なのですが
どのような言葉をもってすればこの作品の魅力を伝えられるのか
正直わかりません。

4つの章に分かれたこの作品は
エドワード・エルガーの行進曲「威風堂々」
有名な中間部分「希望と栄光の国」の旋律が
章が移り変わる部分で印象的に使われています。
ホン・サンス監督作品ではいつものことですが
つねに、唐突に映画の世界に放り込まれるので
映画が始まってしばらくは
なにが始まろうとしているのかを感じとろうとして
警戒心が強くなってしまいます。

最初のチャプター「第一章 呪文を唱える日」では
アパートから出てきたジング(イ・ソンギュン)
「テダボモク チジルケナボンバ」
文字通り呪文を唱えるのですが
この呪文が何を意味するのか最後まで判りません。
韓国語っぽいニュアンスがあるものの、
字幕もカタカナのままなので、真意は不明です。
ジングのあとから出てきたのはジングの妻らしく、
(おそらく『ハハハ』のヒロインだと思うのだが)
タバコを吸いすぎだとか、酒は月2回までだとか
とかく口うるさく、ジングは尻に敷かれているようです。

ジングは映画監督ですが
どうやらアート系の作品を撮っているらしく、
そのためにスポンサーがつかず経済的には困窮しているようすで
大学の講師をしています。
先輩格のソン教授(ムン・ソングン)の食事会に誘われるも
ソン教授は賄賂をもらって人事しているという噂を耳にし、
あろうことか食事会でソン教授にその真意を問いただします。
このときのジングの執拗な態度の根拠も不明ですが
それより前に、どうやらジングに電話をかけてきた女性や
ニコンをナイコンと呼んでしまうほど
カメラに無知なカメラ好きの女性
とのやりとりなど
謎だらけです。
また、自作の映画についてのティーチ・インでは
なぜか女子学生との過去の恋愛について問い詰められたりします。
このなかでジングが語る「映画にテーマは必要ない」という考え方は
ホン・サンス監督自身の考えなのではないかと
邪推します。

「第二章 キング・オブ・キス」
オッキ(チョン・ユミ)が登場し、
ソン教授と不倫関係にあることは語らずとも明白ですが
オッキと同級生らしいジングがオッキにベタ惚れで
猛烈なアタックをしかけています。
ジング、おまえ既婚者だし、
ついさっき女性関係を問い詰められたばっかりじゃないかと
思ったものの、
講師だったジングは学生になっているので
時系列が遡っている
のです。
ジングのもとには、
ジングの作品がコンテスト受賞間違いなしだという同級生たちが
集まってきますが、本人は寝耳に水。
それはともかく、強引にオッキの唇を奪ったジングでしたが、
そのキスが上手だったのでオッキもまんざらではないのです。
さすが、「キング・オブ・キス」。
オッキの住むアパートまで押しかけて、外で一晩過ごし、
ふたりはめでたく結ばれるのです。

「第三章 大雪の後に」では、
ソン教授が講義のために教室に入ると
大雪のためか、はたまた自分の不人気のためか、
生徒は誰も来ていません。
授業をすること自体に嫌気がさしていたソン教授のもとへ
ジングとオッキが遅れてやってきて
まるで禅問答のようなやりとりに。

「第四章 オッキの映画」になると、
オッキがナレーションで語り始めます。
アチャ山というところを、
大晦日にデートするオッキとソン教授。
その2年後の正月に、オッキとジングが
アチャ山を同じようにデートする光景とが交互に映し出されます。
オッキはこの「年上の男」と「若い男」を
比べている
のです。
かつて「年上の男」は
「たとえ別れても正月にはここで会おう」と約束した通りに現れ、
オッキとジングのデートを目撃してしまうのです。

ナレーションのオッキは
「似た俳優を使ってみたものの、やっぱりホンモノとは違って……」
などといっているように、
これはオッキが実体験をもとに創作した映画の一遍です。
とはいえ、どこまでがオッキの撮った映画なのか
現実を描写しているのかは定かではありません。
冒頭で呪文を唱えながらジングが登場したのは
「8-5」と番地のプレートがつけられた、
オッキが住んでいたアパートと同じ場所で
結婚したジングがかつてオッキが住んでいたアパートに
夫婦で居を構えているのは考えづらく、
「第一章 呪文を唱える日」も
オッキの映画の一部で、
手っ取り早く自分が住むアパートをロケ地に選んだ
考えるほうが納得がいきます。
「希望と栄光の国」が流れるそれぞれのチャプターのタイトル画面
いかにもチープで、仮編集の状態を模しているようにも思います。

時系列もバラバラなうえ、虚実入り乱れているので
順を追って物語を味わう作品ではありませんが
なんとも惹きつけてやまない不思議な魅力に溢れた作品です。





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