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愛・アマチュア

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(原題: Amateur 1994年/ アメリカ・イギリス・フランス合作 106分)
監督・脚本/ハル・ハートリー 撮影/マイケル・アラン・スピラー 美術/スティーブ・ローゼンツワイグ 音楽/ジェフ・テイラー、ネッド・ライフル 編集/スティーブ・ハミルトン
出演/イザベル・ユペール、マーティン・ドノバン、エリナ・レーベンソン、ダミアン・ヤング、チャック・モンゴメリー、デビッド・シモンズ、パメラ・スチュワート

概要とあらすじ
「シンプルメン」などで知られるニューヨーク・インディペンデント映画界の気鋭ハル・ハートリー監督が、フランスの人気女優イザベル・ユペールを主演に迎えて撮りあげた作品。ニューヨークの路上でひとりの男が倒れている。近くにいた女性ソフィアは、男の様子を見てその場から逃げ出す。記憶を失ったその男トーマスは、カフェで出会った元尼僧のポルノ作家イザベルに助けられる。一方、記憶を失う前のトーマスに酷い仕打ちを受けていたソフィアは、彼を殺したと思い込んでいた。犯罪組織の一員だったトーマスがある秘密を握っていたことから、今度はソフィアが命を狙われてしまい……。1994年、日本初公開(フランス映画社配給)。2014年、ハートリー監督作品4本を集めた特集上映で再公開。(映画.comより



はじめてのハル・ハートリー

新作の日本公開もままならず、
発売されていたVHSも気安く手に入る状況にはなく、
なかなかお目にかかれなかったハル・ハートリー監督作品が
DVDで再発売されたとのことで、
念願叶ってはじめてのハル・ハートリーなのです。
最初に手にしたのが『愛・アマチュア』というのは
系譜的に中途半端なのかもしれないけれど、
まあ、いいじゃないか、レッツゴー。

少し傾いた構図で、
石畳の舗道に横たわる男を捉えたオープニングから
もうカッコイイ。
その身動きしない男の姿を確認して
慌てたようすで女がその場から立ち去ろうとするだけで
突然サスペンスの世界へと巻き込まれます。

カフェで内容を声に出しながらエロ小説の文章を考えている
イザベル(イザベル・ユペール)のところへ、
冒頭で倒れていた男トーマス(マーティン・ドノバン)が現れ、
イザベルはまるで一目惚れしたかのように
トーマスに声をかけ、傷の手当てをしてやります。
ところがトーマスは一時的な記憶喪失に陥っているようすで
自分のことはなにも覚えていません。

イザベルは、長年尼として修道院で過ごしていたものの
色情狂だというマリアさまのお告げによって
尼を辞め、ポルノ雑誌の小説を書いていますが
彼女の考えるポルノ小説はまるでポエムのようで
編集者からダメ出しをくらったりしているのをみると
性的なことに関して、本当は無知なのかもしれません。
トーマスに対して「このあとセックスする?」という誘いかたも
あまりにもぶっきらぼうで色気もへったくれもなく、
セックスがどういうことなのかも理解していないようにみえます。

ポルノ小説を執筆するための取材を兼ねているのか
自らの探求心からなのかわかりませんが
デートクラブで知り合った男と映画館に行き、
その気の男がイザベルの膝を触ってきても
「なにこれ? 流行ってるの?」と真顔でいう始末。

ところで、この映画館で上映されていた映画の音声が日本語で
「リョーシューショヲ イタダケマスカ」
「イイ ナイトクラブハ アリマスカ」
など
まるで日本語の教材CDのようで
どう考えてもなにかの映画のワンシーンとは思えないのですが
一体なんなんでしょうか……
(テイトウワの曲にも「ロボットハ ナンダイ アリマスカ」
 っていう、そっくりなのがあったけど……)

じつはトーマスは凶暴なポン引き
妻でありポルノ女優のソフィア(エリナ・レーベンソン)
彼の暴力に耐えかねて、トーマス殺害を謀ったのでした。
トーマスが死んだと思っているソフィアは
内容不明のフロッピー・ディスクをだしにして
組織のボスを強請ろうとしたことで、追われる身となるのです。
ソフィアに思いを寄せている経理のエドワード(ダミアン・ヤング)
組織の電気ショックによる拷問から逃れるうちに
警官を射殺してしまい、
組織だけではなく、警察からも追われるようになります。

深読みかもしれませんが、よくよく考えてみると
ソフィアとトーマス、イザベルの3人は
それぞれ過去と決別して
新しい人生に挑もうとしている
ようにみえます。
ソフィアは過去のトーマスに囚われ、いまだ怯えていますが
恐怖を断ち切ろうと考えたからこそ
トーマス殺害を企て、結果失敗に終わったとしても
トーマスが記憶喪失になったことで
実質的にはトーマス殺害に成功した
ともいえます。

トーマスは決別するも何も、思い出せないのですが
昔の自分がどうだったか知らないが、
とにかく今の自分がオレだというあたり、現状に対して肯定的です。

イザベルは仲間をかくまってもらうために修道院を頼るので
過去を完全に断ち切ったのかどうか曖昧ですが
ソフィアからトーマスの過去をすべて聞いたあとでも
彼を慈しむように受け入れる姿は
まさに聖母のようです。

ポップなフィルム・ノアールという表現が
的を射ているかわかりませんが
整った画面構成と軽快な編集が心地よく、
サスペンスのスリルも十分に感じられます。
心配性の婦人警官や組織のコンビ、
エドワードを助けるカップル
などなど
脇を固めるキャラクターも魅力たっぷり。
エドワードが組織のひとりをふざけたように行ったり来たりしながら
しつこく何発も銃弾を撃ち込むシーンが最高でした。
やたらと寄りの画が多いのは、
ハル・ハートリーの特徴なのかもしれませんが
普通なら嫌気が差すアングルも
作品全体を覆う「なんかヘン」な魅力の
一端を担っているように感じて楽しめました。

いちいち、面白い作品でした。





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