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愛の渦

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(2013年/日本 123分)
監督・脚本/三浦大輔 撮影/早坂伸 照明/神谷信人 美術/露木恵美子 録音/永口靖 編集/堀善介 音楽/海田庄吾
出演/池松壮亮、門脇麦、滝藤賢一、中村映里子、新井浩文、三津谷葉子、駒木根隆介、赤澤セリ、柄本時生、信江勇、窪塚洋介、田中哲司

概要とあらすじ
2006年・第50回岸田國士戯曲賞を受賞した、演劇ユニット「ポツドール」の同名舞台劇を映画化。ポツドール主宰の劇作家・三浦大輔が自ら映画用に脚本を書き下ろし、メガホンもとった。フリーター、女子大生、サラリーマン、OL、保育士など、ごく普通の人々が六本木のマンションの一室に集まり、毎夜繰り広げる乱交パーティに明け暮れる姿を通して、性欲やそれに伴う感情に振り回される人間の本質やせつなさを描き出していく。主人公のニートの青年を「半分の月がのぼる空」「砂時計」の池松壮亮が演じ、ヒロインとなる女子大生を東京ガスやチョコラBBのCMで注目を集める新進女優の門脇麦が演じる。そのほかの共演に新井浩文、滝藤賢一、田中哲司、窪塚洋介ら。(映画.comより



観ているこっちは寸止めパーティー

大根仁監督『恋の渦』と対になっている
三浦大輔監督『愛の渦』
どちらも三浦大輔氏のシナリオですから
本家の登場といったところでしょうか。
ただ、本家が撮ったからといって
映画の出来がよくなるわけではないのが難しいところ。
「ハマの番長」じゃないほうの三浦大輔氏が主宰する
劇団「ポツドール」の舞台を観たことがないので
どういう作風の方なのか存じ上げませんが
限られた空間に集合した登場人物たちによる会話劇というのは
いかにも演劇らしい脚本です。
しかも腹の内をさらけだすことを前提としたシチュエーションの
『恋の渦』と『愛の渦』はかなり露悪的といえるでしょう。

秘密クラブ「ガンダーラ」という、
乱交パーティーの場を提供する性風俗店に集まった男女は
全員がヤリたくて集まっています。
一般的には、恋愛の終着点としてセックスがあると思うのですが
恋愛の駆け引きをすっ飛ばして
まずセックスをするというのは話が早いっちゃ早い。
いや、そもそもここに集まった参加者たちは
恋愛をしたいわけではないのだから
相手を変えながら性欲を満たしてくれる乱交パーティーは
彼らにとってもってこいなのです。
それにしても、午前0〜5時の5時間も場所を提供し、
何回でも好きなだけセックスして
男2万円、女1000円、カップル5000円って
安すぎませんか?
 ……ま、いいか。

参加者全員がヤリたくて集まっているのだから
合コンみたいな余計な駆け引きや腹の探り合いが不要……
のはずなのに、
マンションの一室にバスタオルいっちょの参加者たちは
もじもじおどおどと空気を窺っています。
これ、一発目はくじ引きでもしたほうがいいんじゃないか
余計な心配をしてしまいますが
ま、このもじもじおどおどを含めての心理描写なんでしょう。
女はソファに座り、男は床に座っているのが笑えます。

サラリーマン(滝藤賢一)
どうでもいい以上に場違いな質問をして失笑をくらいますが
職業がわかったのはグッジョブでした。
名前のかわりになるだけでなく、
普段の顔を想像すればさらに燃えるっつーもんです。

三浦大輔監督が
「別にセックスそれ自体やエロを見せたいわけではない」
と語るのはその通りでしょうし、
AVじゃないんだから、この作品の露出度は妥当だろうと思うのですが
せっかく乱交パーティーなんだから
3Pとか、2対3とかのバリエーションはほしかったところ。
その行為そのものを描かずとも
全員がひとつのベッドでピロートークするようなシーンは
あってもよかったんじゃないでしょうか。

それぞれに性欲をぶっちゃけた参加者たちでしたが
ぶっちゃけたのは性欲だけではなく、
そもそもの性根までさらけ出ようになります。
そのなかで、ずっと鬱屈した表情のニート(池松壮亮)
親に仕送りしてもらったなけなしの2万円で
風俗に行くのは、まあ仕方ないとしても
チョイスがディープすぎるだろ
と思うのはともかく
女子大生(門脇麦)に恋心を抱き始めます。
ついには、フリーター(新井浩文)
3人目の相手として女子大生を連れて行こうとするのを
止めに入ってしまうのです。

そして唐突にシーンが変わり、フリーターが
店員(窪塚洋介)に金を返せと食ってかかるシーンになるのですが
店員に食ってかかるのは筋違いだし、
むしろフリーターとニートがもめているのを
店員が止めに入るのが自然ではないでしょうか。
状況が急変したのを表現する編集でしたが
ここはぜひ、ニートがどのように止めに入ったか、
フリーターがどのようにしてじわじわとキレていったか、
その間、女子大生はどんな表情でいたのかを
見せてほしかったところです。
そんな心理の変化を描くことこそこの作品の本意ではないのでしょうか。

途中参加する柄本時生と信江勇のカップル
本性をむき出しすぎて沈滞し始めた乱交パーティーに
新たな変化をもたらす役回りのはずで
柄本時生が彼女を連れてきた理由が「高度なギャグ」というあたり、
やっぱり愛情ありきだろというメッセージなのかもしれませんが
効果はいまひとつでした。

やがて夜が明けてパーティーがお開きになり、
帰り支度を始める面々でしたが
女子大生が携帯電話がみつからないというと
店員はニートの携帯電話から女子大生に電話をかけ、
着信音で携帯電話を発見
させます。
(結局バッグのなかにあったのですが、
 ソファの下に落ちてるとかのほうが……ま、いいか)
そしてニートに、ルールだから発信履歴を消せというのですが
それならなぜ最初から店員は自分の携帯電話からかけないのか……
(コンビニに買い出しに行ったとき携帯を使っていた)
とにかく、発信履歴を消されてがっかりのニートでしたが
女子大生の着信履歴は残っているわけで
案の定、女子大生から電話がかかってきます。
(これも店員は女子大生にも着信履歴を消せというべきでしょ)

おそらくニートは喜んだはずですが
女子大生は自分も番号を消すから
ニートにも番号を消してほしいというのです……
じゃあ、そもそも電話なんかかけなきゃいいじゃないか。
この最後のやりとりが、どうにもまどろっこしくて
納得いきません。
女子大生のほうもニートに好意を抱いていたのだとしたら
少し迷いながら着信履歴を消せばそれでいいと思うのですが。
なんなら、数日後の街頭で
ニートが女子大生を見かけて視線を重ねるものの
女子大生は無視して雑踏に消えるようなシーンがあれば
別人格を演じながら日常を過ごしているさまも
表現できたのではないかと思ったりもするのですが
どうでしょう。

いまひとつ全体のダイナミズムに欠け、
もっと心を揺さぶられるような作品になりそうでならない、
寸止めパーティーでした。





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