" />

徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑

shogunssadizm.jpg



(1976年/日本 80分)
監督/牧口雄二 脚本/志村正浩、大津一郎 撮影/勝木勝夫 美術/山下謙爾 編集/玉木濬夫 音楽/渡辺岳夫
出演/風戸佑介、内村レナ、汐路章、岩尾正隆、長島隆二、川谷拓三、橘麻紀

概要とあらすじ
徳川時代の苛酷な刑罰の数々をドキュメント・タッチで描く。脚本は「女必殺五段拳」の志村正浩、と大津一郎、監督は「戦後猟奇犯罪史」の牧口雄二、撮影も同作の勝木勝夫がそれぞれ担当。寛永5年、長崎。長崎奉行所与力・佐々木伊織は、狩りに出かけ、まむしに噛まれてしまうが、丁度、通りがかった野良着姿の登世が、何のためらいもなく唇を真っ赤に染めて伊織の肌から毒を吸い出した。数日後、伊織は登世の家を訪ねるが、禁教令にそむく邪宗徒として登世の家族は長崎奉行所へ連れていかれた後だった。長崎奉行所、お仕置場--。(映画.comより抜粋



エログロに喜び、川谷拓三に泣く

当時の東映社長、岡田茂から
「『牛裂き』をテーマにした映画を撮れ」といわれた
牧口雄二監督『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』
Wikipediaによると、岡田茂社長には
当時話題になった『スナッフ/SNUFF(1976)』が念頭にあったようです。
僕なんぞは『スナッフ』と聞くだけで、
甘酸っぱい青春時代が蘇ってくるのですが
「本物の殺人シーンが収録されている」というふれ込みを鵜呑みにし、
若干緊張しつつも胸躍らせながら
VHSをレンタルした記憶があります。
内容はとくにどうということのないストーリーが延々と続き、
(まったく覚えていないけど)
ラストで突然、映画を撮影しているシーンになり、
女優を殺してしまう5分足らずのチープなゴアシーンが
脈絡なくつぎ足されていました。
ほぼほぼ詐欺まがいの映画作りに
違う意味で観てはいけないものを観てしまったような
気分になったものです。

社長の命を受けた牧口雄二監督は
それでもただのエログロにはしたくないと思ったそうで
そのせいか、オープニングでは世界中の残虐行為を捉えた
記録映像が流れ、
「弱肉強食は人間の本性である 
 そして数々の残虐行為が時代をへ
 場所を変えて連綿と引きつがれている」

という、社会派ちっくなメッセージが。
とにかく、ムーグっぽいとぼけたようなゴリゴリのサウンドを含め
いやはやカッコいいオープニングなのです。

長崎奉行所では高坂主膳(汐路章)の命のもと、
禁教令にそむく邪宗徒(キリシタン)を捕まえては
火あぶり、釜茹で、串刺しと拷問を繰り返していました。
高坂主膳を演じる汐路章が異常なほどの怪演で
イモリを生きたまま喰ったりしながら
カリギュラみたいな暴君を嬉々として演じています。

かたや、長崎奉行所与力・佐々木伊織(風戸佑介)
河原で蛇に噛まれたところを村の女・登世(内村レナ)に助けられ、
やがてふたりは恋に落ちるのですが
じつは登世は邪宗徒の一族だとわかり、高坂主膳の餌食に。
登世の妹の両目を焼いて追い払ったあと、
登世が佐々木伊織と恋仲だと判ると、
佐々木伊織に対して、自分が登世を犯すところを
毎晩そばで見ているように命じる
のです。

堪忍袋の尾が切れた佐々木伊織は
高坂主膳に立ち向かおうとするもすぐに捕らえられ、
ちょんまげを斬られて奉行所から追放されます。
このへんから展開が急に速くなるのですが
佐々木伊織はすぐに高坂主膳の行列を襲って登世を助け出すも
またすぐに捕らえられて無残にも処刑され、
登世は「牛裂きの刑」に処せられることに。

文字通り、両脚に縛りつけた縄を牛に引っ張らせて
裂いてしまう
のです。
ついに登世の両脚はちぎれ、内臓があふれ出します。
そして、きらきら輝く川でお互いの愛を確かめ合う、
天に召された登世と佐々木伊織……

……早すぎないか?
主人公ふたりの死と「牛裂きの刑」が。

ちらっとプレイヤーの時間表示に目をやると
まだ上映時間の半分……どうなるんだろうと思っていると
深川の置屋でドンチャン騒ぎをしている川谷拓三が!
この作品、完全な二部構成になっていて
前半と後半はまったく物語に繋がりがないのです。
どっかで繫がるんじゃないかと注意していたのですが
「拷問」以外にはなんにも共通点はありません。

金もないのに大騒ぎしていた捨蔵(川谷拓三)
同じ大阪出身の女郎・おさと(橘麻紀)といい仲になるものの、
ヤクザに締め上げられて置屋で下働きするはめに。
ここからは、「拓ぼん」こと川谷拓三の演技が素晴らしい。
男気はあるけどだらしがないキャラクターが
ばっちりはまっています。
逃げられないようにと、赤い襦袢を着せられ、
顔を白く塗られた捨蔵はまるでピエロのようです。


置屋では、妊娠した女郎をばばあが素手で中絶させたり、
耳を切り取ったり、わざわざ刃を欠けさせた小刀で
女郎を孕ませた男のちんこを切り取ったり

拷問が細かい分、前半より痛さが倍増しています。

捨蔵とおさとは置屋から逃げ出して
ふたりで逃避行を始めるのですが
このふたりの関係が微笑ましくも愛らしい。
便所に落ちて糞まみれになったりしながら
詐欺や美人局を楽しくやっていたふたりでしたが
ついにお縄に。そして拷問。
おさとは乳首をもぎ取られ、捨蔵は脚の親指をもぎ取られます。
水車に縛られて水攻めをされる川谷拓三は
本当に死ぬんじゃないかと思うほどでした。

最後はふたり並んでさらし首に。
そこには誰でも首を切り落としていいように
竹で作ったのこぎりが置いてあるものの、
誰も人の首を切り落とそうなどとは思わないので
2〜3日放置されて死んでしまうというナレーションが。
「あたし、捨ちゃんといっしょでよかった」というおさとが
なんとも可愛らしい。
すると、おさとはまだ女郎として金になるからと
放免されることになって、ひとり取り残される捨蔵。
「やっぱり、おれは捨てられる男、捨蔵やわぁ〜」
ひとり嘆く捨蔵=川谷拓三が哀れで悲しい。

やがて夜が更けて、
通りがかったべろべろの酔っぱらいが捨蔵を見つけ、
誰も手に取らないはずの竹製のこぎりを掴んで
冗談半分で捨蔵の首を切り始めるのです!
捨蔵が止めさせようと叫ぶ声も酔っぱらいの耳には届かず、
捨蔵はすっかりきれいに首チョンパされるのでした。
なんという、理不尽で切ない結末。

エログロ満載のゴアムービーに違いはありませんが
タイトルそのままの前半よりも
後半の、もの悲しくも愛おしい物語を
もっとみたかったという印象です。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ