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ありふれた事件

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(原題: C'est arrive pres de chez vous 1992年/ベルギー 96分)
監督/レミー・ベルボー、アンドレ・ボンゼル、ブノワ・ポールブールド 脚本/レミー・ベルボー、アンドレ・ボンゼル、ブノワ・ポールブールド、バンサン・タビエ 撮影/アンドレ・ボンゼル 音楽/ジャン=マルク・シェニュ
出演/ブノワ・ポールブールド、レミー・ベルボー、アンドレ・ボンゼル、ジャン=マルク・シェニュ

概要とあらすじ
ベルギーのレミー・ベルボー、アンドレ・ボンゼル、ブノワ・ポールブールドの3人が共同で監督・製作・脚本・撮影などを務め、1992年に発表した異色の犯罪映画。殺人鬼の姿をドキュメンタリー映画の撮影スタッフが追うというモキュメンタリー形式で描かれ、殺人鬼が放つ生々しい現実感をモノクロの映像で描き出した。殺人鬼ベンのドキュメンタリー映画を製作するため、監督のレミー、カメラマンのアンドレ、録音技師のパトリックの3人は、ベンが人を殺していく日常に寄り添う。ベンはどのような人間を殺せば効率が良いかをカメラに向かって説明しながら、淡々と殺人を重ねていく。やがてその狂気に影響された撮影スタッフの3人も、ベンの犯罪に加担するようになが、モラルを失った彼らに思わぬ事態が訪れ……。94年に日本劇場公開。2014年、初公開から20周年を記念してHDリマスター版でリバイバル。(映画.comより



かかわりたくない男No.1

ダビングしたVHSがどこかにあるはずなんだけど
20年の時を経てHDリマスター版のDVDが発売されたということで
せっかくだからDVDで見直してみることにした
初見時の記憶は、おぼろげながらも
とにかく胸くそ悪いという印象でした。
さて、20年経ってオレもずいぶん大人になった。
今観ればなにか違う見方ができるかも知れないと思っていたのですが
やっぱり胸くそ悪い映画でした。
それでも改めて見返して、
こうして感想を言葉にしようとすると
いろいろと思い当たるところがあったのです。

主人公のベン(ブノワ・ポールブールド)
胸くそ悪いやつだというのは、誰しも感じることでしょう。
殺人を犯すときの態度や表情はいうまでもなく、
過剰な饒舌ぶりやあのでかい鼻までが
本当に腹立たしい
はずです。
ベンをみて友達になれそうだと思う人は
頭がイカレているので、注意したほうがいいでしょう。

この作品はモキュメンタリーですが
その後のPOVという手法を使った作品に
大きな影響を与えたといわれています。
今でこそ、デジカメやスマホが普及して
誰でも簡単に映像を撮ることが可能になりましたが
20年前当時の環境を考えれば
自主制作映画を撮影しているという設定が自然だし、
ひとりの男に密着しているというのも
カメラを向けていることの違和感をなくしていて
POVで撮影するという手段が
逆説的に必然となっているのは
やはりよく考えられた作品だと言わざるを得ません。

そもそも、この撮影クルーたちは
なぜ連続殺人鬼のベンに密着して撮影しようと考えたのかは
まったく明かされません。

事件が記事にもならず、警察にも目をつけられず
犯行を続けていたベンのことを
連続殺人鬼だと知って接触したのなら
どうして彼らだけがベンの正体を知り得たのかも不明です。

最初は、殺人が行なわれるのを目の前にして
モジモジしていた撮影クルーは
徐々にベンの仲間(というか下っ端)になり、
やがてむしろ率先して悪事を働くようになるのですが
その間、彼らが倫理的に葛藤するようなシーンもありません。
想像するに、いまカメラが映し出しているものは
異常なものなんだという説明的な描写を入れることで
いいわけがましく正義を主張するのを
意図的に避けたのではないでしょうか。
ベンの恋人らしき女性もベンが何をしているか知っているようなのに、
押し黙っているばかりで、ベンをとがめたり
警察に通報するようなことはしないのです。
いわゆる蛇に睨まれた状態なのかもしれませんが
とにかく露悪に徹するという姿勢が感じられます。

ベンが殺人を繰り返すのは、金のためだといっているものの
結局誰でも殺してしまいます。
そしてターゲットになるのは老人、女性、子供と
弱いものばかりです。
さまざまな殺人が行なわれましたが
最もおぞましく、胸くそ悪いのは輪姦シーンでした。
なにかというと詩を詠み、ピアノを嗜み、
F・L・ライトを持ち出して日本建築を褒めそやしてみたり、
それなりに教養もあるようですが
こと殺人に関しては蚊を殺すくらいの認識しか
持ち合わせていないようにみえます。
それでも、自分が愛する恋人や母親が殺されると
(それぞれフルートとほうきをアナルに刺されているという下劣さ)
涙を見せて怒りに震えるのです。
この想像力のなさが恐ろしい。

最後にはベンも撮影クルーも罰を受けます。
さすがにこれがないと
胸くそ悪いだけの映画になってしまいます。
あ、そういえば胸くそ悪いまま終わる
『ファニー・ゲーム』なんて映画があったな……

ジャーナリズム批判とか、同調圧力による不可解な連帯意識とか、
傍観することの罪とか、
深読みしようと思えばできそうな気もしますが
とにかく観客の神経を逆なでする作品であることには
間違いありません。





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