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MUD マッド

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(原題: Mud 2013年/アメリカ 130分)
監督・脚本/ジェフ・ニコルズ 撮影/アダム・ストーン 美術/リチャード・A・ライト 編集/ジュリー・モンロー 音楽/デビッド・ウィンゴ
出演/マシュー・マコノヒー、タイ・シェリダン、ジェイコブ・ロフランド、リース・ウィザースプーン、サム・シェパード、マイケル・シャノン、ジョー・ドン・ベイカー、レイ・マッキノン、サラ・ポールソン、ポール・スパークス、ボニー・スターディバント

概要とあらすじ
「テイク・シェルター」(2011)で注目を集めた新鋭ジェフ・ニコルズ監督が、「ペーパー・ボーイ 真夏の引力」「マジック・マイク」のマシュー・マコノヒーを主演に迎えて描くドラマ。アメリカ南部、アーカンソーの川岸に暮らす14歳の少年エリスは、親友ネックボーンと出かけた川の中州でマッドという男と出会う。いわくありげで身を隠して暮らしているマッドに興味を抱いたエリスは、次第に友情を育んでいくが、ある日、マッドがテキサスで人を殺し、警察や賞金稼ぎに追われているということを知る。マッドは幼なじみで最愛の女性ジュニパーと再会することを夢見ており、年上の女の子に初恋中のエリスは、同情心から逃走の手助けをすることになるが……。エリス役に「ツリー・オブ・ライフ」でブラッド・ピットとジェシカ・チェステインの息子役を演じた新星タイ・シェリダン、ジュニパー役にリース・ウィザースプーン。「未体験ゾーンの映画たち 2014」上映作品。(映画.comより



内と向き合えば、外が拡がる

評判は高いのに公開規模が小さかった『MUD マッド』
公開規模は小さいのに評判が高いというべきか。
おかげですっかり見逃してしまい、念願のDVD鑑賞です。
「現代版『スタンド・バイ・ミー』」といわれるこの作品ですが
『スタンド・バイ・ミー』が、
少年たちの外界への冒険が通過儀礼になっていたのと比較すると
もうすこし内省的です。
この作品に登場する少年たちは自分の地元から出ていきません。
そのかわりに存在するのが人が寄りつかない離れ小島です。
離れ小島を何度も行き来する少年たちは
理想と現実の狭間で葛藤するのですが
自分の内面と向き合うことで成長したのは
むしろ周囲の大人たちなのかもしれません。

14歳のエリス(タイ・シェリダン)
ネックボーン(ジェイコブ・ロフランド)
離れ小島の森の樹の上に
昔の洪水でひっかかったままのボートを見つけ、
秘密基地にするべく計画していましたが
ボートにはすでに先客がいることがわかります。
その先客がマッド(マシュー・マコノヒー)
正体不明のマッドにネックボーンは警戒するものの、
エリスは一目で惹かれてしまいます。
秘密基地だけでも最高にワクワクしてるのに
そこに謎めいたアニキが登場し、
しかも、マッドは「食糧を調達して欲しい」と
秘密の任務まで与える
のですから
少年が魅力を感じてしまうのも無理はありません。
こんなアニキ分がいたらなあと、うらやましくなるほどです。

ネックボーンは警戒心が強く冷静ですが
エリスは見かけによらず直情型で熱い男。
このあと展開する物語から考えると、
マッドのことをエリスがあっさりと信用してしまうのは
幼さや甘さによるものではなく、
彼が、人間関係には他人に対する信用もしくは愛情が必須で
それなくしては正しい人間関係は築けない
という
理想的な信念を持ち合わせているからではないでしょうか。
これを愚かな世間知らずだと笑わば笑え。
たとえ、裏切られて失望することになろうとも
他人を信用しないことにはなにも始まらないのです。
ま、案の定、何度も失望することになるのですが……

またマッドが、愛する女性ジュニパー(リース・ウィザースプーン)
守るために殺人を犯して逃亡中で
ふたりは深く愛し合っているという事情が
思春期真っ只中のエリスには自分自身と重なり
さらにマッドに対する自己投影の度合いを深めることになっています。
愛し合っているのにうまくいかないというのは
エリスにとって、どうにも理解できないのです。

父親がしつけとしてエリスに強く当たるのは当然だし、
マッドを追い詰める悪党たちが悪人なのはあたりまえだとしても、
エリスを取りまく大人たちが
みんなエリスを子供扱いして威張っていない
のが好印象です。
大人は誰もわかってくれないというリアルな状況は作れたはずだし、
理不尽で汚れた大人が登場しないのは
物足りないと感じるかもしれませんが
この作品で描かんとしているのは
外圧との戦いではなく、自己の内面との戦いだからこそ
理不尽で無理解な外界を描かなかったのではないでしょうか。

理不尽で無理解な外界を描いているとすれば、
それはやはり女性の存在でしょうか。
身勝手で理解不能、最も信用してはいけない存在。それが女。
これは明らかに男性目線の考え方です。
でも、身に染みてそう思う……すまん、許せ。

警告するように2度映し出された蛇に噛まれたエリスを助けるために
ついにマッドは自ら離れ小島を出ることに。
これをきっかけに、
マッドの存在が追っ手の悪党たちにばれてしまうのですが
泣きじゃくるエリスに叱責されたように
じつはマッドは自分の殻に閉じこもり、
自分で自分が抱える問題と向き合うことを避けてきた
のでした。

ネックボーンに約束の拳銃を渡した直後に
急展開の銃撃戦となるクライマックスが迫力満点で
人生を捨てた老人のようにみえた
「暗殺者」ことトム(サム・シェパード)がまさかの参戦をしたのには
思わず腰が浮きました。

そもそも、枝に引っかかったボートというのが
本来の役目を果たしきれず、宙ぶらりんで脱出不可能な状態
隠喩しているようにも感じられるし、
ラストでどこまでも無限に拡がっていきそうな水面からは
解き放たれた精神を待ち受ける明るい未来を暗示しているようにも思われ、
深読みしようとすればいくらでも出来そうです。
情感溢れる美しい風景も味わえる素晴らしい作品でした。

両親が離婚し、母親の住む街のアパートに引き取られたエリスは
さっそく近所に新しい女の子を見つけて、
ニヤついていました。
大丈夫か? あんまり信用するなよ。





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