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ジャージー・ボーイズ

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(原題: Jersey Boys 2014年/アメリカ 134分)
監督/クリント・イーストウッド 脚本/マーシャル・ブリックマン、リック・エリス ミュージカル版台本/マーシャル・ブリックマン、リック・エリス 撮影/トム・スターン 美術/ジェームズ・J・ムラカミ 衣装/デボラ・ホッパー 編集/ジョエル・コックス、ゲイリー・D・ローチ
出演/ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、ビンセント・ピアッツァ、クリストファー・ウォーケン、マイク・ドイル、レネー・マリーノ、エリカ・ピッチニーニ

概要とあらすじ
「ミリオンダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」の名匠クリント・イーストウッド監督が、1960年代に世界的な人気を誇った伝説の米ポップスグループ「ザ・フォー・シーズンズ」と、その代表曲として知られる「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」の誕生秘話を描いたドラマ。2006年トニー賞でミュージカル作品賞を含む4部門を受賞した、人気ブロードウェイミュージカルを映画化した。アメリカ東部ニュージャージー州の貧しい町に生まれた4人の若者たち。金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしかなかったが、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があった。4人は息の合った完璧なハーモニーを武器に、スターダムを駆けあがっていく。ミュージカル版にも主演し、トニー賞でミュージカル男優賞を受賞したジョン・ロイド・ヤングが、映画版でも主演を務めた。(映画.comより



アィラ〜ビュ〜ベイ〜ビ〜♪

84歳になるクリント・イーストウッド
監督33作目となる最新作『ジャージー・ボーイズ』
軽快かつ華やかで、破綻も中だるみもない、
なんだか余裕すら感じるエンターテイメントです。
言わずもがな、それはイーストウッドの
才能であり経験の賜物なのは疑いようもありませんが
ロングランを続けるブロードウェイの舞台の映画化だというのは
大きな助けになっているように思えます。

ケチをつけるつもりは毛頭ありませんが
いわゆる「第4の壁を破る」演出が舞台から引き継がれたもので
主要なキャストが舞台で同じ役を演じていた俳優たちとくれば
イーストウッド監督はそれらを映画として成立させることに
集中するだけでよかったのではないか、と思うのです。
もちろん、舞台を映画化してうまくいくかどうかは
監督の腕次第ですけどね、そりゃね。

いきなり冒頭から
トミー(ビンセント・ピアッツァ)が「第4の壁」を破って
カメラ目線で語り始めます。
このトミーをストーリーテラーとして物語が進むのかと思っていると
やがてこの役回りは別のメンバーへと引き継がれていきます。
トミー(春)、ボブ(夏)、ニック(秋)、フランキー(冬)と
移り変わっていくストーリーテラーの変遷が
フォー・シーズンズというグループが辿る人生を
四季(=フォー・シーズンズ)になぞらえる構成になっているのです。

フォー・シーズンズというグループを知らずとも
その曲だけは世代を超えて誰もが口ずさめるというのは
本当に凄いことです。
およそ40〜50年前のヒット曲がずらりと並びますが
映画を観ていてもその歌声にウットリしてしまいます。
クライマックスで流れる『君の瞳に恋してる』のサビ部分、
「アィラ〜ビュ〜ベイ〜ビ〜♪」
ポップなのにどこか切実でもの悲しい感じはやっぱり最高です。

まったく別の意味で日本人にとってなじみが深いのは
ボブ・ゴーディオ(エリック・バーゲン)
フォー・シーズンズに加入する前(なんと15歳!)に
作曲してヒットさせた『ショート・ショーツ』でしょう。
言わずと知れた『タモリ俱楽部』のテーマ曲です。
この作品でもやっぱり女の子のお尻がアップになって揺れています。
どうでもいいことですが、
『タモリ俱楽部』では毎回ジングルに使われる曲が
コーナーのダジャレになっているのが有名で、
そのダジャレを当てるのが隠れた楽しみ方なのですが
ダジャレの謎に気づいた途端、あまりのくだらなさに脱力します。
こちらはこちらで、やっぱり凄い。

人気ミュージシャンの栄枯盛衰を描いた映画は
これまでにもいろいろあったでしょうが
この作品のタイトルが「フォー・シーズンズ」ではなく
わざわざ『ジャージー・ボーイズ』としているところが特徴的で
彼らがニュージャージー州に暮らす
イタリア移民であることが重要
なのです。
彼らイタリア移民が貧しい生活から抜け出すには
「軍隊に入るか、マフィアになるか、有名になるか」しかないと
セリフでも語られています。
イタリアン・マフィアの側面は
マーチン・スコセッシなどが何度も描いていますが
フォー・シーズンズも裏社会と無縁ではなく、
街の実力者と呼ばれるジップ(クリストファー・ウォーケン)
あきらかに大物マフィアでしょう。
トミーにボーリング場でいかさまをさせられていたのが
のちにスコセッシ作品常連となるジョー・ペシというのもお楽しみ。

いけ好かない傲慢野郎のトミーは
自らの小物ぶりがわざわいして、グループを逐われることになりますが
トミーは、清濁入り交じった芸能活動の
ダークサイドをひとりで担っていた
ようにも思えます。
なかなか同情しづらいキャラクターですが
グループが成功するためには(とくに黎明期には)
不可欠な存在だったはずです。
それを理解していたからこそ、
フランキー(ジョン・ロイド・ヤング)
トミーが作った莫大な借金をグループで返済することに
したのではないでしょうか。

過剰にみえるほど身内の繋がりを尊重する彼らには
「ジャージー・ハンドシェイク」と呼ばれる共通認識があり、
この作品でも、握手をする、しないのカットが
何度も繰り返し強調されています。
彼らにとって握手をするということは
契約を結ぶこと=家族になることであり、重要な儀式なのです。
トミーがボブを新メンバーに迎えるときに握手を拒否し、
フランキーがボブとパートナーを組むときには
契約書を交わさず握手をします。
だからこそ最後に、長年仲違いしていたトミーとフランキーが
がっちりと握手を交わすのには大きな意味があるのです。

ビターな結末にしようと思えば、いくらでもできたはずですが
ラストは舞台のカーテンコールよろしく、
登場人物が全員登場してのミュージカル・シーン
多幸感に溢れています。
端っこで踊るクリストファー・ウォーケンじいさんが可愛い。

ボブが筆下ろしの直前に見ていたテレビ画面の中に
若き日のイーストウッドがちらっと登場します。
まだまだ面白い映画を作って
楽しませていただきたいものです。





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