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WALKABOUT 美しき冒険旅行

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(原題: WALKABOUT 1971年/イギリス 96分)
監督/ニコラス・ローグ 原作/ジェームズ・ヴァンス・マーシャル 脚本/エドワード・ボンド 撮影/ニコラス・ローグ 音楽/ジョン・バリー
出演/ジェニー・アガター、リュシアン・ジョン、デヴィッド・ガルピリル、ジョン・メイロン、ロバート・マクダーラ、ピート・カーヴァー

概要とあらすじ
ジェームス・ヴァンス・マーシャルのベストセラー小説を原作にE・ボンドが脚色、名撮影監督として知られるN・ローグが監督(撮影も兼任)したサバイバル・アドベンチャー。オーストラリアの都会育ちの少女と弟が父の自殺の巻き添えにより、砂漠に取り残されてしまう。飢えと渇きに侵されながらさまよい歩く彼らの前に昔の習いにしたがって放浪の旅を続ける原住民の少年が現われる。彼にすべてを託した姉弟が彼の野性的な生活に触れながら失いかけていた何かを取り戻してゆく……。大自然の美しさをも圧するJ・アガターの瑞々しさが素晴らしい。2004年、75年公開版よりも5分長いオリジナルバージョンがニュープリントでリバイバル上映。(allcinemaより



生と性のサバイバル

大好きなニコラス・ローグ監督作品は
レンタルで気軽に借りられるほど
DVDが出そろっていません。
買えばいいじゃないかといわれればグーの音もでませんが
最近過去の名作DVD&Bru-rayが再発売されることも多いので
今後に期待しておる次第です。
とくに『マリリンとアインシュタイン』熱望!

現実と幻想が交錯し合うような作品が多い
ニコラス・ローグ監督ですが
この『WALKABOUT 美しき冒険旅行』
とりわけ夢を見ているような作品です。
ビルが建ち並ぶシドニーの喧噪をバックに
アボリジニの民族楽器ディジュリドゥが鳴り響き、
学校の教室では、なにやら発声練習のような不思議な授業の最中で、
気安い理解などまったく寄せ付けません。

カメラが壁の陰からすっと抜け出ると
そこはもう砂漠。
父親の車に乗せられた14歳の姉(ジェニー・アガター)
弟(リュシアン・ジョン=監督の息子リュック・ローグ)
(この作品には役名がない)
父親は姉に食事の支度を命じ、
娘が食事セットを地面に広げている間、
弟は無邪気に水鉄砲で戦争ごっこをして遊んでいます。
すると突然、弟に向かって実弾を発砲する父親。
どうやら父親は破産して一家心中するつもりのよう。
慌てた姉が弟の身を隠すと
父親は自らの身体に火を放ち、焼身自殺してしまいます。
父親から逃げるように荒野を歩き始めた姉と弟の
サバイバルの始まりです。

当て所なく歩き続ける姉と弟は
徐々に体力の消耗が激しくなっていきますが
ふたりとも学校帰りなのか制服のままなのが
非現実感を煽るうえに
姉のジェニー・アガターの
タイトめの白いシャツと、短めのスタートから伸びる脚
美しくもエロい。

体力の限界が近づいていたふたりの前に
アボリジニの少年(デヴィッド・ガルピリル)が現れ、
ほかに頼る当てもないふたりは
言葉の通じない少年と行動を共にするようになります。
少年は「WALKABOUT」=通過儀礼の最中で
なにをもって通過儀礼が達成されるのかわかりませんが
とにかく自分だけの力でなんらかの成果を上げて
一人前の男にならなければならないのでしょう。

やがて少女に恋心を抱くようになった少年は
少女のために獲物を狩ってアピールするものの、
少女のほうにはその気がありません、というか
性に対して恐れをなしているようにもみえます。
にもかかわらず、池を全裸で優雅に泳ぐ少女
罪深き無垢な妖精のようでもあります。
求愛のダンスを踊り続けても応えてくれない少女に絶望した少年は
樹で首を吊ってしまうのです。

再びふたりきりになった姉と弟が
発見した舗装された道路を辿って行き着いたのは
人気のないさびれた炭坑の町。
ひとりの男を見つけて声をかけるものの無愛想にあしらわれ、
炭坑の跡地で暇を持て余していると
突然シーンが変わり、
現代的なキッチンでタバコを吸いながら肉を切る少女
おそらく夫らしき男を迎え、
その男に抱かれて昇進の知らせを聞く元少女の
物憂げな表情で映画は終わるのです。

ところどころで
狩りや食物連鎖や現代的な肉屋のカットが
唐突にインサートされて、
自然(野性)と文明を対比しているのはすぐに理解できるものの
安易に文明批判だと決めつけるのも躊躇われます。
また、生と性の対比を想起させる描写もあり、
一筋縄ではいきません。
少年は「WALKABOUT」=通過儀礼の最中でしたが
砂漠を歩き続けるサバイバルは
少女にとっても通過儀礼の意味があったのは間違いないでしょう。

この作品の紹介記事には
「あの時、君が望みさえすれば」という言葉で
締めくくられているものが見受けられますが
なるほど、少女が少年の求愛を受け入れていれば
彼らは幸せに暮らしていたのかもしれません。
ラストシーンの少女の物憂げな表情は
エキサイティングで情熱的な少年との日々を
後悔を込めつつ思い返しているのかもしれません。
それは、ひとつの立派な解釈だと思いますが
僕は、あの砂漠でのサバイバルは
本当に少女が体験したものなのかどうか、
曖昧なままにしておきたい気分です。

途中で登場する作品作り(?)をアボリジニに手伝わせている男や
少女と弟が見ていないところで少年に声をかける白人女性など
謎が多い作品ですが
ジェニー・アガターの御御足にうっとりしつつ、
映像詩を楽しむように、どうぞ。





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