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物語る私たち

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(原題: Stories We Tell 2012年/108分)
監督/サラ・ポーリー 脚本/サラ・ポーリー 撮影/イリス・ン 編集/マイク・マン 音楽/ジョナサン・ゴールドスミス
出演/マイケル・ポーリー、ハリー・ガルキン、スージー・バカン、ジョン・バカン、マーク・ポーリー、ジョアンナ・ポーリー、サラ・ポーリー

概要とあらすじ
「死ぬまでにしたい10のこと」「ドーン・オブ・ザ・デッド」などで知られ、「アウェイ・フロム・ハー君を想う」「テイク・ディス・ワルツ」など監督作でも高い評価を受けている女優のサラ・ポーリーが、母親の生き方と自らの出自における隠された真実を探っていく様子を描いたドキュメンタリー。サラが11歳の時、まだ若くして亡くなった母ダイアン。5人兄妹の末っ子であるサラは、「サラだけがパパに似ていない」という家族の間のお決まりのジョークにわずかな不安を覚え、本当の父親は別にいるのかもしれないと、母ダイアンの人生を探り出す。やがて母を知る人たちの口から、サラの知らなかったダイアンの秘密の恋が明らかにされるが……。(映画.comより



ま、生きてりゃいろいろあるのだよ

女優であり、映画監督でもあるサラ・ポーリー
家族たちの証言を元に自身の出生の秘密を探る
ドキュメンタリー『物語る私たち』

ドキュメンタリーには間違いありませんが
家族や友人へのインタビューシーン以外の多くは
終盤で種明かしがあるように、
回想シーンとして新たに撮影されたものです。
本当のホームビデオの映像も混ざっているかもしれませんが
セピア調に古びた加工が施されていて
とくに母親ダイアンの魅力を伝えるのに効果を上げていると思います。
この作られた回想シーンはかなりの部分を占めているので
ドキュメンタリーと呼ぶべきかどうか
意見が分かれるところかもしれませんが
サラ・ポーリーが真実へと迫る過程が
ドキュメンタリーなのでしょう。

兄弟の中で自分だけ父親が違うかもしれないという疑念に従って
母親ダイアンの半生を辿り始めるのですが
その過程でダイアンの人間的な魅力が浮き上がってきます。
太陽のように(劇中の表現で言うと「誘虫灯」のように
明るく自由奔放なダイアンは
周囲を魅了してやまないチャーミングな女性であり、
「歌うよりも踊る」行動的な人柄だったようです。

やがて、サラの父親はマイケルではないことがわかり、
DNA鑑定まで受けた結果、
ハリーが「生物学的父親」であることがわかります。
余談ですが、
この場合生物学的父親が育ての親と別人だったわけですが
母親が別人となるとまた事情がかわってくるはずです。
なにしろ、女性は自分の身体で出産するのですから
病院で子供を取り違えるなどの特別な場合を除けば
自分で産んだ子どもは間違いなく自分の子供なわけですが
父親の場合、それこそDNA鑑定でもしないかぎり
生物学的父親であることの確証はありません。
「あなたのコよ」と言われれば、受け入れるかどうかだけでしょう。
あくまで父親というのは役割のことであって
いいかげんな存在だなあと思うのです。

すっかり話が逸れてしまいましたが
ハリーがサラの生物学的父親だと判明しても
家族に深い動揺があったかというとそれほどではありません。

それぞれの父親も年老いているし、
子どもたちもすっかり大人の年齢だからかもしれないし、
そもそも上の兄妹が、
母親ダイアンがマイケルと結婚する前の連れ子であることも
彼らを冷静に振る舞わせている原因かもしれません。
それでも、育ての父親マイケルと
生物学的父親ハリーは少し張り合うようなところを見せますが
張本人であるダイアンがすでに亡くなっている以上、
騒いだところで仕方のないことなのでしょう。

答えにくい質問を繰り返すサラに向かって
「サディスティック・インタビュアーだ!」
マイケルが冗談めかしていいますが
元俳優とはいえ、
そもそもナレーションをマイケルにやらせるのも意地が悪い。
繋ぎのカットのためにと
マイケルに服を着たままプールに潜らせるシーンもありましたが
父親に対してそのような意地悪が出来るというのは
やはりマイケルのほうに
より親しみを感じている証拠ではないでしょうか。
生物学的事実よりも、一緒に過ごした時間のほうが
家族にとって必要なものなのかもしれません。

家族と親しい友人たちの証言は
時折、事実に食い違いを見せます。
『物語る私たち』というタイトルからもわかるように
同じ事柄でも人によって記憶のされ方はさまざまで、
誰が正解で、誰が間違っているのかが問題ではなく
意図して嘘をついていないのであれば
それぞれの証言はそれぞれの側面を言い表しているのでしょう 。
とはいえ、最後に登場したダイアンの友人ジェフ
あきらかに嘘をついていて、オチがつきました。

ドロドロとした痴情のもつれに発展するでもなく、
ダイアンの人となりを語る登場人物たちはみな穏やかで
ダイアンの何回目かの法事にお邪魔したような作品でした。





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