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二郎は鮨の夢を見る

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(原題: Jiro Dreams of Sushi 2011年/アメリカ 82分)
監督/デビッド・ゲルブ 製作/デビッド・ゲルブ、ケビン・イワシナ、トム・ペリグリニ 撮影/デビッド・ゲルブ
出演/小野二郎、小野禎一、小野隆士、山本益博

概要とあらすじ
アメリカ人監督のデビッド・ゲルブが、東京・銀座の名店「すきやばし次郎」の店主で寿司職人の小野二郎さんに密着したドキュメンタリー。大正14年(1925年)生まれで現在も現役の小野二郎さんが店主を務める「すきやばし次郎」は、「ミシュランガイド東京」で5年連続の三ツ星を獲得し、ヒュー・ジャックマン、ケイティー・ペリーら世界のセレブも訪れる名店として知られる。その寿司に感銘を受けたゲイブ監督が、3カ月にわたり二郎さんに密着。二郎さんの仕事に対する誠実な姿勢や、父を超えようと切磋琢磨する2人の息子との師弟関係などを描き出していく。(映画.comより



二郎はビキニで乳揺らす

YoutubeやVimeoなどの動画投稿サイトで
日本に旅行に来た外国人が
一眼レフのデジタルカメラで旅の思い出を撮影し、
自ら編集してBGMをのせた、
よくできた動画を観たことがありませんか?
それが『二郎は鮨の夢を見る』です。
それ以上でも、それ以下でもありません。

この作品の評判の高さは耳にしていたけれど
アメリカ人監督が撮った日本の寿司職人という題材だけで
眉に唾していた僕は
なかなか観る気になれなかったのですが
いざ観てみると、やっぱり嫌な予感はほぼ的中していたのです。

冒頭から多用されるスローモーションや
過度に扇情的なBGM
に辟易し、
最後のほうではもはや失笑するしかありませんでした。
ドキュメンタリーといっても、
なにからなにまで真実を映し出しているわけではなく、
さまざまな演出が施されているものですが
それにしてもこの作品では
ひとつのシーンで何カットも使用しているものがあり、
あきらかに何度も撮影して撮り貯めたフッテージを
つなぎ合わせているものが多く、
ドキュメンタリーというよりは
イメージビデオかミュージック・クリップ
でも観ているかのようです。

デビッド・ゲルブ監督は、撮影を許可してもらうために
「すきやばし次郎」に何度も通い詰めたそうですが
ゲルブ監督が寿司職人の小野二郎の実像に
肉薄できているとは到底思えません。
伝わってくるのは、監督が二郎のことが大好きだということだけで
だからこそジャーナリスティックな客観性を欠き、
二郎のイメージビデオになってしまっているのです。
二郎がビキニ姿で縄跳びすることこそないけれど
二郎が握った鮨にうっとりしながらフォーカスする視線は
少女の股間にズームする着エロと同様のもの
です。

職人の修業の厳しさや仕込みの大変さを羅列しても
些細なトリビア以上の驚きはありません。
ゲルブ監督は「こんなに大変なんだぜ、すげーだろ?」と、
嬉々としてカメラを構えているものの
なんせ二郎が好きなもんだから
そこで満足してしまって、さらに先へと足を踏み入れる気がないのです。

「すきやばし次郎」の鮨がいかに凄いかを客観的に伝えるのが
山本益博ただひとりというのもいただけません。
(彼が客観的かどうかも怪しいが)
二郎をして「あの人の舌と鼻にはかなわない」といわしめる、
ミシュランの審査員
だかなんだかの外国人には
せめてコメントだけでももらうべきでしょう。
二郎が発案した鮨のフルコース的なものをふるまう席に集まった面々が
どういうメンバーなのかしりませんが
彼らに対して「この人はギネスにのってるんだよ」
得意げに語る山本益博の気持ち悪さといったらありません。
こいつはキャバ嬢でも連れてきているんでしょうか?
あらおいしい、まあおいしい、としかいいようがないこのシーンを
いったいどんな顔をして観ればいいんでしょう。
「すきやばし次郎」の鮨の価値とは
ミシュランの三つ星であり、ギネスブックなのでしょうか。

後半は「すきやばし次郎」の後継者問題へとシフトします。
二郎の長男や次男が抱える葛藤には同情するものの、
とくに驚きはありません。
85歳になった二郎がいまだ現役で厨房に立ち続けるのは
お元気で何よりと感心するほかありませんが
決して民主的ではない職人の世界で
二郎が現役であり続けることの弊害や
一代で名店を築き上げた二郎の隠されたダークサイドまで
踏み込んで描ききる必要があった
と思います。

終盤では、
とってつけたように自然破壊に対する危惧が語られます。
あたかもそれは回転寿司のような安価な寿司屋が
大量の魚を消費することが問題であるかのように描かれますが
独立した二郎の次男が
「本店よりこっちの店のほうが気軽でいいという客がいる」
といっているように
次男の店よりもさらに気軽な回転寿司が流行るのも同じ道理なわけで
まるで「うちで出してる鮨は立派な鮨だから、安い店は遠慮して欲しい」と
いっているように取られかねない演出には
首をかしげます。

劇中でも語られているように
もとは屋台から始まったという鮨屋は
いまや¥30,000もの料金をとる高級料理へと変化しています。
立派になるのは結構なことですが
でかいツラしちゃ、おしまいだよ。

ま、とにかくこの作品は
SUSHIファンタジーとしてみたほうが
よろしいかと。
『二郎は鮨の夢を見る』とはいうけれど
夢を見てるのは二郎じゃなくて、監督だよ。

↓たとえばこんなんとかね。(六本木ヒルズ店。撮影したのは別人)






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