" />

フィギュアなあなた

figurenaanata.jpg



(2013年/日本 112分)
監督・原作/脚本/石井隆 撮影/佐々木原保志、山本圭昭 美術/鈴木隆之 音楽/安川午朗 録音/北村峰晴 照明/祷宮信
出演/柄本佑、佐々木心音、風間ルミ、桜木梨奈、間宮夕貴、壇蜜、伊藤洋三郎、山口祥行、飯島大介、竹中直人

概要とあらすじ
「ヌードの夜」「花と蛇」の石井隆監督が、自身の短編漫画「無口なあなた」(ロッキングオン刊行「カンタレッラの匣」所蔵)を自らのメガホンで映画化したエロティック・ラブファンタジー。リストラを宣告された孤独なオタク青年・健太郎は、ヤケ酒の果てにケンカになったチンピラに追われ、迷い込んだ廃墟ビルでセーラー服を着た少女のフィギュアを発見する。すると、その美少女フィギュアが目を開けて動き出し、健太郎の危機を救う。健太郎は彼女を自宅に連れ帰り、ココネと名づけて同居生活を始めるが……。主人公の健太郎役に柄本佑。人気グラビアアイドルの佐々木心音がココネ役を演じ、オールヌードで体当たりの演技も披露している。(映画.comより



ふぅ〜ん……そうなんだ。

久しぶりに観る石井隆監督作品、
『フィギュアなあなた』
肉欲まっしぐらの男女によるどろどろの愛憎劇を得意とする
石井隆監督が、自身が描いた20年前のマンガを映画化した作品ですが
人間の心を持った(?)ラブドールという設定自体が
方々でやり尽くされていて、
すでに機を逸しているように思います。
さりとて、というかだからこそ
石井隆監督なりの新しいアイデアが観られるんじゃないかと
劇場公開をスルーする程度の期待感を持って
DVDに手を伸ばしたのです。

石井隆監督作品には、なにがなんでも登場するた竹中直人
のっけから嫌味な部長をノリノリで演じています。
竹中直人は、コメディアン時代からの悪ふざけ演技によって
作品そのものを台無しにしてしまうことが多いのですが
少なくともこの作品では、彼の悪影響は最小限に留められたもよう。

理不尽なものごとに対する耐性が極度に低い僕は
内山(柄本佑)が業績の悪さを会社から押し付けられる冒頭のシーン
かなりの怒髪天だったのですが
おそらく、内山が上司に反論したかにみえるモノクロのカットが
彼の妄想癖のようなものを表現しているのでしょう。
やさぐれて帰宅した内山がメイドフィギュアのパンツを下ろし、
股間を見つめるカットがその後の伏線か。

自暴自棄になって泥酔した内山が
元女子プロレスラーの風間ルミ扮するヤクザと喧嘩になり、
這々の体で逃げ込んだ廃墟と化したテナントビルの一室の
うち捨てられたマネキンの山のなかに
まるで人間ように精巧な実寸大フィギュアを発見。
メイド姿のフィギュアを調べ始めた内山が
「え? 死体? すげえ柔らかいなあ。 ここはどうなって……」
などと、実況中継するかのように独り言を喋り続けるのに
興醒めします。またこのシーンがそこそこ長い。

のちにココネと名づけられるフィギュアを演じるのは
グラビアアイドルの佐々木心音
名前から想像するに彼女ありきの企画でしょうか。
グラビアアイドルなどが映画でヌードを披露すると
いつも「体当たり演技」と称されるのですが
要するに体当たり以外の戦い方(演技)ができないわけで
威勢良く裸になった彼女が
ほぼ「マグロ状態」のフィギュアに扮するのは必然なのです。
覚醒したココネが3人のヤクザ相手に立ち回る、
まるで井口昇監督作品を観ているかのようなアクションシーンでは
カットを駆使してなんとかそれらしく見せようとしているものの
ひとたび動いてしまうと、彼女の貧弱な演技力が露わになってしまいます。
とはいえ、「体当たり」でヌードになりましたと言いながら
かたくなに乳首を隠す女優と違い、
乳首どころか、まったく無意味に陰部を撮られ続けた佐々木心音を
ねぎらう気持ちは十分にあります。

内山はココネを自宅に連れ帰り、同棲生活を始めるのですが
ヤクザ相手に暴れ回った後にもかかわらず、
なぜかココネは無反応な人形状態に戻り、
かと思えば、内山のダジャレに反応してつっこんでみたり、
ココネがどういうきっかけで動いたり動かなかったりするのか
さっぱりわかりません。

ケガをした左足も、なぜか傷が治ったといっているのに
包帯は巻いたままなのも不可解。
どこまで佐々木心音が演じているのかわかりませんが
内山に全身をくまなく洗われるココネの股間を
あいかわらずのしつこさでカメラが凝視した後、
髪を洗おうとココネが頭からシャワーの水をかけられるカットでは
ココネはあきらかに「人間・佐々木心音」の反応を見せ、

とほほと脱力するばかりです。

金に困った内山は一攫千金を企ててギャンブルに手を出し、
得意の麻雀で勝負しようと雀荘へ赴き、
ココネと約束した「九蓮宝燈(ちゅうれんぽうとう)」を狙います。
アガると死ぬといわれている役満ですが
『麻雀放浪記(1984)』の引用か。
そもそも、この雀荘のシーンが必要なのか疑問ですが、
どうせ撮るなら内山の手牌をしっかり見せて
アガれるかどうかのサスペンスを味合わせてほしかったし、
内山があんなに目を血走らせていたら本来は勝負になりません。
しかも、九蓮宝燈をアガったからってすぐに帰れないだろ。
そして、交通事故のカット……

内山が喜び勇んで自宅に帰ると、
バレリーナ姿(?)のココネは屋上でピアノを弾き、
『ラブミーテンダー』(『オーラリー』というべき?)を歌いながら
ノーパンで夜空に吊されます。
ココネが飛んでいるのか、ボカシが飛んでいるのか
わかりません!


結局、すべては夢というか妄想というか、
会社を自主退社に追い込まれたうえに交通事故で死んでしまった男が
忌の際に見た無念と欲望の走馬燈てなところでしょうか。
でもねぇ……
夢や妄想を描いた映画はいっぱいあるけれど、
この作品の演出は、不思議というより不可解でしかなく、
設定や演出に数ある齟齬を感じても
だって夢だからといわれちゃうと
ふぅ〜ん、としか言いようがなくなります。

どうせ夢や幻想なら
まず、会社の上司や同僚は殺してほしいし、
ココネに倒されるヤクザたちも、
腕が逆に曲がって骨が飛び出るとか、首チョンパするとか
夢や幻想なりのデフォルメされた見せ場をつくってほしかったと
思います。

ほぼ全編にわたって全裸で横たわっている佐々木心音の
ヌードが目当てならそれも一興というものでしょうが
ずいぶんと甘ったるいファンタジーでした。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ