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中学生円山

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(2013年/日本 119分)
監督・脚本/宮藤官九郎 撮影/田中一成 照明/吉角荘介 録音/湯脇房雄 美術/小泉博康 衣装/伊賀大介 編集/宮島竜治 音楽/向井秀徳
出演/草なぎ剛、平岡拓真、遠藤賢司、ヤン・イクチュン、鍋本凪々美、刈谷友衣子、YOU、三宅弘城、田口トモロヲ、岩松了、坂井真紀、仲村トオル、RIO

概要とあらすじ
「少年メリケンサック」(2009)以来4年ぶりとなる宮藤官九郎の監督作。主演に「SMAP」の草なぎ剛を迎え、エッチな妄想ばかりしている中学生男子が、同じ団地に引越してきた謎のシングルファーザーとの出会いから成長していく姿を描く。ごく平凡な家族に囲まれて育った少年・円山克也は、思春期真っ盛りの中学2年生。あるエロい目的を達成するため、極限まで身体を柔らかくする「自主トレ」を密かな日課にしていた。そんなある日、団地の上の階に謎めいたシングルファーザーの下井辰夫が引越してくる。ほどなくして団地のそばで殺人事件が起こり、克也は下井の正体が殺し屋だという妄想を始めるが……。(映画.comより



脚本に専念されたほうがよろしいかと。

いまや、人気実力共に押しも押されぬ脚本家の宮藤官九郎
朝ドラ『あまちゃん』の大ヒットで
すっかり全国区になったわけですが、
オリジナル脚本で監督も兼ねると、
なぜかいまいち出来が伴わないのです。
『真夜中の弥次さん喜多さん(2005)』
『少年メリケンサック(2009)』
得意のスカシや逸脱が盛りだくさんですが
それが全体を通してみると、
一本の軸に収斂しているとは言い難いのです。
今度こそはという想いで鑑賞した『中学生円山』
やっぱり散漫な印象だったと言わざるを得ません。

中学生円山(平岡拓真)
自分のちんちんを舐めようと励む「自主トレ」
ま、健康な男子なら一度はトライした経験があるもの。
(でしょ?)
童貞中学生男子がエロい妄想に耽るのは基本仕様で
目下のところ、円山の妄想アイドルはRIOなのですが
露出度の問題というより、画的な演出の問題で
せっかくのRIO登場もあまりエロさを感じさせません。
「自主トレ」に励み、
家族が宇宙人に見えてしまうくらいの妄想力があるわりには
肝心のエロい妄想力に乏しいのが残念なところ。
目に映るものはなんでもエロく見えてしまうくらいの演出が
あってもよかったのではないでしょうか。
童貞中学生男子の妄想が及ぶ範囲はこの程度だと
言えないわけではありませんが
だとすれば、ブラジャーを通り越してヌーブラを連想するのに
納得がいきません。

一応、円山を中心として進行するものの
周囲のキャラクターたちそれぞれの「面白エピソード」
物語を彩るのではなく、ノイズになっているように感じます。
仲良しキャスティングによる「大人計画」の面々の
いつもの感じもそろそろ食傷気味だし、
草なぎ剛YOU仲村トオルなども
悪ふざけをしているようにしか見えず、
笑わそうという思いがひしひしと伝わりすぎて、逆に笑えないのです。

唯一素直に笑えたのは、韓流スター兼電気屋に扮する
ヤン・イクチュンです。
『息もできない』などを監督しているヤン・イクチュンは
『かぞくのくに』などの日本映画に俳優として出演していて
どちらかというと社会派で強面なイメージが強いのですが
その彼が韓流メロドラマでスターになっていることが皮肉で、
坂井真紀が使っているPCの壁紙とか爆笑ものなんですが
ヤン・イクチュンは笑わそうとふざけてみせているわけではなく、
いたって真面目に役を演じているだけなのが面白いのです。
「日本で人気が出ると韓国で干される」というセリフも
彼がいうからこそ説得力があるのです。

自身もバンド活動をしている宮藤官九郎が
エンケンこと遠藤賢司を出演させたのは
宮藤のパンク精神というか、パンク愛ってやつでしょう。
その思いがもっともストレートに出ているのが
『少年メリケンサック』で、
どいつもこいつも「さくら、さくら」とバカ丸出しで歌う
J-POPを揶揄していて、
それはそれで痛快ではあるものの、
同様の意図を感じるシーンで、いかにも爽やかそうなバンドが
毒にも薬にもならない歌を歌ってるところにエンケンが乱入し、
『ド・素人はスッコンデロォ!』を歌い上げるシーンには
辟易してしまいます。
宮藤官九郎が、自分は反骨精神なるものを持ち続けているのだと
主張するのは一向に構いませんし、
思考が麻痺したような表現に憤る気持ちには共感するものの、
だからといって、ことさらそれをバカにしてみたり、
彼らの演奏を妨害してまで自分の主張を表現しようとするのは
いくらなんでも子供じみています。

自身は劇団の脚本からテレビドラマへと活動の範囲を広げ、
ついにはNHKの朝ドラの脚本を任されて
完全にメジャーな存在になっているのですから
自分が本来持っている反骨精神を表明したいのだとしても
もっとほかにやりようがあるだろうと思うのです。

まだなにも手にしていない若者が
凡庸を嫌悪し、世を呪うのならまだ可愛げがあるものの、
世間的な地位も名誉も手にした宮藤官九郎がこれをやると
自分と、自分の周囲にいる人間を否定していることにもなるし、
否定しているのならメジャーな仕事は辞めてしまえばいいし、
自分がくだらないと思うものを、くだらないと言う暇があったら
くだらなくないものを自分で作ればいいのです。

そんな意味で、
未開の地に暮らす狩猟民族のエンケンに憧れる
文明人たる宮藤官九郎が
嬉しそうにエンケンと肩を組んで記念撮影をしている
ような
嫌な感じを受けました。

周囲の人間を子連れ狼やスパイやヒーローに見立てて
妄想を楽しんでいた円山が
いつのまにヒーロー願望が芽生えたのか
唐突に手作りのマスクを被って戦い始め、
ラストでもっと立派なマスクをプレゼントされるにいたっては
なんだか無理矢理意味を持たせようとした感が否めません。

円山は最後までバカな中学生男子でいたほうが
よかったように思いますが、
妄想することと、常識に疑問を持つことを同一視して
かなり強引に着地、というか不時着したような作品でした。

映画監督と脚本家を兼任する人は大勢いますが
だからといって、必要とされるのは別の才能なのねぇ……
と、つくづく。





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