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ばしゃ馬さんとビッグマウス

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(2013年/日本 119分)
監督/吉田恵輔 脚本/吉田恵輔、仁志原了 撮影/志田貴之 照明/溝口知 録音/小宮元 美術/吉村昌悟 編集/太田義則 音楽/かみむら周平
出演/麻生久美子、安田章大、岡田義徳、山田真歩、清水優、秋野暢子、松金よね子、井上順

概要とあらすじ
「純喫茶磯辺」「さんかく」などオリジナル作品を意欲的に発表している吉田恵輔監督が、夢を捨てきれない男女の葛藤や挫折、恋模様をユーモラスに描いたヒューマンコメディ。脚本家を目指す34歳の馬淵みち代は、学生時代からコンクールに作品を応募し続けているが落選ばかり。「私、こんなに頑張っているのに」が口癖で、周囲からは「ばしゃ馬さん」と呼ばれている。同じく脚本家志望の28歳・天童義美は、「俺が本気を出したらスゴイで」と言いながらも一度も作品を書いたことがなく、他人の作品を酷評してばかり。そんな「ビッグマウス」の天童が、年上で性格も真逆な馬淵に恋してしまったことから起こる騒動を描く。馬淵役の麻生久美子、天童役の安田章大(関ジャニ∞)が初共演。(映画.comより



2時間の苦痛に耐えた自分を褒めてやりたい

たぶん、ライムスター宇多丸氏の絶賛解説を聞いたから
期待したんだよなあ……という
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
宇多丸氏が絶賛していたことは覚えていたのですが
その解説の内容までは記憶になかったので
鑑賞のバイアスになることはなかったのですが
物語が進むにつれ、あれ? たしか絶賛してたと思うんだけど
勘違いだったかなあと思い始めたのです。
鑑賞後にあらためてYoutubeにアップされたそのときの音声を
聞いてみたのですが、やっぱり大絶賛。
でも、僕にはこの作品は苦痛でしかありませんでした。
100%悪い意味で。

麻生久美子が演じる馬淵みち代が脚本家志望なのは
わかっていたのですが
のっけからみち代の部屋の本棚に並んでいる本が
すべてあからさまにシナリオに関するものに限られていたのを見て
すでに嫌な予感を感じました。
バカにものを言うようなわかりやすさです。

その後、みち代が友達のマツモトキヨコ(山田真歩)と食事をしながら
シナリオ落選の愚痴をこぼしているシーンで
マツモトキヨコ=マツキヨが
「パスタ冷めちゃうよ」というセリフの途中でばっさり切る編集に出くわして
僕の苛立ちは確実なものに。
主に、あなたの話はもう結構ですという意味を込めて
ドキュメンタリーやテレビでよく使われる悪意ある編集方法ですが
この場合、マツキヨの話にうんざりしているのは誰なんでしょうか?
みち代の愚痴をうんざりした気持ちで聞いていたのは
むしろマツキヨのほうで、みち代のセリフの途中で切るのならまだしも
みち代の話につき合ってやっているマツキヨのセリフを
あのようなかたちで切る意図がさっぱり理解できません。
しかも、どうやらそれで笑ってほしいようなのです。

ファミレスの店員が強烈な顔立ちで、しかも仕切りにぶつかってみたり、
監督を紹介するといわれて飲み会に行ってみると、現場監督だったり、
いまさら舞台挨拶で女優が「別に」と言ってみたり、
盛り込んである小ネタがことごとくつまらなく、
なんか笑ってほしいみたいですけど、それがなにか?

というものばかりなのです。

最大のいらいらポイントは
ビッグマウスこと天童義美(安田章大)なのですが
天童のキャラクターに苛立つのではなく
(苛立つように演出されているから、それはむしろ当たり前)
いつまでたっても天童の相手をしているみち代に苛立つのです。
脚本家になるという夢に向けて努力はしているけれど
なかなか結果が出せないみち代と
できるできるとでかい口ばかりでまったくシナリオを書かない天童とを
対比させていること自体が納得いかないのですが
天童のような人間に接したときには
誰しも何いってんだこいつバカかと思い、
それ以降まともに相手にしないのが普通でしょう?
にもかかわらず、みち代は天童に声をかけられると
足を止めて話し相手になったりするのがどうにも理解できないのです。
そのような不可解なやり取りが繰り返されたあと、
天童があいかわらず書いてもいないシナリオを自慢し、
みち代のシナリオを酷評するシーンになって
やっと「あんたにそんなこと言われたくないわよ!」とキレるみち代。
だーかーら、ず〜〜〜〜〜と、そうなんだってば。
それ、初対面でいうセリフだから。
そして、我に返って反省する天童。
いやいや、お前みたいな人間、今まで何度も同じこと言われてるだろ。

このシーンで僕の我慢は限界に達し、
もう観るのやめようかと思いましたがなんとか踏みとどまって
後半は2倍速で観ることにしました。
ほんとは3倍速以上にしたかったけど、音声が聞こえないのでね。

2倍速で観てもつまらないものはつまらなく、
旅館に泊まり込んでシナリオを書こうとする天童が
「逃げるな逃げるな」と言ったあとに、
布団に寝っ転がってビールを飲んでたりする
笑ってほしそうなシーンや
映画監督にダメ出しされて返ろうとするみち代が
エレベーターのボタンを「くそくそくそ」と言いながら
押しているのも、それセリフにせずに表現できませんかと
しらけるばかり。
そのエレベーター前で、いまはプロの脚本家になっている昔の知り合いに
みち代が声をかけるシーンも
相手がみち代のことをまったく覚えていないのが
みち代の印象の薄さとダメっぷりを表現しているのかもしれないけれど
そもそも自分が置かれた状況を理解しているはずのみち代が
名を挙げた昔の知り合いに呑気に自ら声をかけるのが不自然で
むしろ相手から声をかけられてしどろもどろになるのが
普通ではないでしょうか。

介護施設でおばあちゃんのうんこがシャツの衿にも付いたのに
着替えないのかよ
、とか
地面に落ちた白いべとべとを映してゲロしましたテイじゃなくて、
ちゃんと吐くところ撮れよ、とか
ひっかかるところはいくつもあるのですが
とにかくこの作品の登場人物たちは
頭で考えていることをぺらぺらと喋りすぎなので
余韻や間というものがほとんどありません。
とくに、「ありがとう」「ごめんね」というセリフの多さといったら
発狂しそうになります。


最後の最後には
本来なら本編を通じて描くべきテーマたる
自分のやりたい「夢」を目指すことがどういうことかを
みち代がまるまるセリフで説明する
という
完璧な仕上がりに。

そもそも、このみち代。
34歳という設定のわりには、抱えている葛藤が幼なすぎます。
その葛藤そのものは共感できる部分があるにせよ、
みち代が抱える問題は、せいぜい27〜28歳くらいで直面するもので
誰しも30歳というひとつの大きな山を前にして
乗り越えなければならないなにかが訪れると思うのですが
34歳のみち代は、すでにその山を越えているはずで
そのうえで脚本家になる夢を諦めないという選択をしているはずなのに
彼女の振る舞いには、ずいぶんと幼さが目立ち、
リアリティーに欠けています。

みち代が、これを最後にと応募したコンテストは
やっぱり入賞には及ばず、
大賞を受賞したのはマツキヨで
みち代は脚本家になる夢を諦めて実家に帰ることに。
荷物をまとめて帰ろうとするみち代に対して天童が
「シナリオの参考にしたいんやけど、もし、おれが……」
という、何度か繰り返されるヘドが出るようなやり取り

一体、誰をどんな気持ちにさせたいんでしょうか。
彼らは恋に恋する小学生なのでしょうか。

どうせなら最後のコンテストで
佳作か、もしくはそれよりちょっと下の努力賞とか受賞しちゃって
スパッと諦めるつもりだったのに
やっぱりあたし、まだ芽があるんじゃないの〜?
という割り切れない展開ならよかったのにとは思うものの
焼け石に水かもしれません。

かろうじて、麻生久美子のアイドル映画としてなら
観る価値が……あるかなあ?





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