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ドラッグ・ウォー 毒戦

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(原題:毒戦 Drug War 2013年/ 香港・中国合作 106分)
監督/ジョニー・トー 脚本/ワイ・ガーファイ、ヤウ・ナイホイ、ジョニー・トー、リケール・チャン、ユ・スィ 撮影/デビッド・リチャードソン 音楽/グザビエ・ジャモー
出演/ルイス・クーテン、スン・ホンレイ、クリスタル・ホアン、ウォレス・チョン、ラム・シュー、ラム・カートン、ミシェル・イェ、ロー・ホイパン、チョン・シウファイ、バーグ・ウー、フィリップ・キョン

概要とあらすじ
香港ノワールの巨匠ジョニー・トーの監督50作目で、中国公安警察の麻薬捜査官がアジアをまたにかけた巨大麻薬組織の壊滅に挑む姿を描いたサスペンスアクション。中国・津海にあるコカイン製造工場で爆発が発生し、現場から逃走した車が衝突事故を起こす。車を運転していた香港出身のテンミンという男が病院に担ぎ込まれるが、麻薬捜査官のジャン警部は、テンミンが麻薬組織に大きなかかわりを持っていると察する。麻薬密造には死刑判決が下るため、減刑と引き換えでテンミンに捜査協力を要請したジャン警部は、テンミンの情報をもとに潜入捜査を開始。すると、中国全土だけでなく韓国や日本にまで勢力を拡大する麻薬シンジゲートと、その巨大組織を裏で操る「香港の7人衆」の存在が浮かび上がる。(映画.comより



品質保証付きジョニー・トー

ジョニー・トー監督50作目にして
初めて中国本土で撮影したという
『ドラッグ・ウォー 毒戦』
ご多分に漏れず、中国資本が参入したからか、
はたまたストーリーのうえで必然だったからなのか
そのいきさつはわかりませんが
おそらくいろいろと規制が厳しいであろうことが
想像に難くない中国でのロケのわりには
車が市街地を蛇行する派手なシーンで始まります。

プロローグなど一切なく、いきなり本編へ突入する構成が気持ちいい。
強いて言えば、料金所のシーンがプロローグか。
以降終盤まで小気味いいテンポが崩れることはなく、
緊張感を持続したまま走り抜けます。
それでもストーリーを見失わないで済むのは
(正直に言うと、見失いそうにはなったけど)
時間軸をずらすような編集がなく、
警察の捜査が進むに従って、徐々に明らかになる事実を
時間の経過通りに展開するからではないでしょうか。
観客は、登場人物たちと同じように時間を過ごし、
同じように緊張を味わうのです。

潜入捜査官ものというのは
真相を知っている観客が
登場人物の正体がばれるのかばれないのかを
ハラハラしながら見守るのが醍醐味ですが
この作品は、麻薬密売組織のテンミン(ルイス・クー)
死刑を逃れるために警察と司法取引をし、
それをひた隠しにしながら組織の仲間と接触するうえに、
麻薬捜査官のジャン警部(スン・ホンレイ)
仲介役になりすまして組織に潜入するので
多重構造の騙し合いになっているのが魅力です。
さらに、組織を裏切って警察に協力しているテンミンが
いつ警察を出し抜くかもしれないので
もう、どいつもこいつも信用できないのです。

いつも仏頂面で何事にも動じないようなジャン警部は
組織の人間のうち、ふたりになりすますという
離れ業をやってのけますが
ハハという名前の陽気で調子のいい男になりすますくだりが
面白い。

にらまれただけで小便をちびるほど
蛇のように眼光鋭いジャン警部がハハになりすますと
一転、面相筆で書いたような柔和な細い目になって
陽気に振る舞うのが逆に恐ろしい。

トラックを運転しているふたりは
道化役といったところでしょうが
麻薬を密造していた聾唖のコンビも魅力的なキャラクターでした。
聾唖者に対して不憫だと感じてしまう先入観を逆手にとって
じつは狡猾な彼らに、最後には勇ましさすら感じました。

そして、ジョニー・トー監督お得意の
登場人物が集合しての銃撃戦。
その場所が、小学校の前という設定がサスペンスを盛り上げます。
緊張感溢れるシーンなのですが、
なかでも、若い「金麦」こと(僕がそう思ってるだけだけど)
ちょっと可愛い女性刑事・ベイ刑事(クリスタル・ホアン)
豪快に車にはねられて倒れているところを
さらに銃で撃つというあまりにも非道なカット。
なんと、2回も!

しかも、ベイ刑事は連続して撃たれるのではなく、
一度撃たれたあと銃撃戦のカットになり、
しばらくしてから思い出したようにもう一度撃たれるという残虐さ。
いくら決死の銃撃戦の最中とはいえ、
すっかり倒れ込んで動けない女性に対して
なんということを……と思ったのですが
あのカットがあるせいで、
撃たれました、死にました、というような記号的な銃撃戦ではなく
しっかり痛さが伝わってくるのが見事です。

結局、自分のことしか考えていなかったテンミンは
組織にとっても、警察にとっても
迷惑な存在だったわけで
最後は期待通りに見苦しい死に方をするのでした。

シナリオと編集の妙が光る傑作です。





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