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クレオパトラ

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(1970年/日本 113分)
監督/手塚治虫、山本暎一 構成・原案/手塚治虫 脚本/里吉しげみ 撮影/三沢勝治 美術/伊藤主計 編集/古川雅士 音楽/富田勲 キャラクターデザイン/小島功
声の出演/中山千夏、ハナ肇、なべおさみ、吉村実子、柳家つばめ、塚本信夫、今井和子、阿部進、加藤芳郎、野沢那智

概要とあらすじ
虫プロとヘラルド映画提携の大人のためのアニメーション、“アニメラマ”第2作目。キャラクターデザインに小島功を起用し、原案・構成・監督は手塚治虫自身が務めた。声の出演に中山千夏、ハナ肇、なべおさみなど豪華な顔ぶれが並んでいる。作品中に当時流行したギャグや、別作品のキャラクターを登場させるといったお遊びをふんだんに盛り込んだ。人類が宇宙に進出している21世紀。パサトリネ星の住人は、地球に対して“クレオパトラ計画”なる陰謀を企んでいた。計画を察知した地球人は、その詳細を探るため、3人の精神だけを、クレオパトラが生きていた紀元前50年のエジプトへタイムスリップさせる。当時、エジプトはシーザー率いるローマ軍の侵略を受けて、危機的状況に陥っていた。容姿の醜いクレオパトラは、シーザーを色仕掛けで骨抜きにするために、整形手術を受けて絶世の美女に生まれ変わる。シーザーを始めとする男たちはたちまちクレオパトラの虜になるが、クレオパトラ自身はひとりの女性としての幸せを望むようになり…。(allcinemaより



万能ではなかった手塚治虫

『千夜一夜物語』に続く、
虫プロダクション製作の「アニメラマ」シリーズ第2弾、
『クレオパトラ』です。
『千夜一夜物語』では控えめな参加に留まっていた手塚治虫
ここでは全面的に制作に関わっています。
『千夜一夜物語』は、シナリオがかなり破綻していましたが
『クレオパトラ』はそれに輪をかけてハチャメチャで
小ネタギャグを脈絡もなく詰め込んだ
ドタバタ・コメディになっています。

冒頭からいきなりミニチュアの宇宙船が飛んでいる
実写映像で始まり、その後登場するのは
なんと、顔だけがアニメになっている実写の人物たち。
宇宙を征服しようと企んでいる地球人たちは
言うことを聞かないパサトリネ星が
なにやら「クレオパトラ計画」なるものを計画していると知り、
3人の隊員を魂だけが移動するタイムマシンを使って
クレオパトラの時代に生きる人間に乗り移らせ、
「クレオパトラ計画」の正体を暴こう、という
壮大に回りくどい作戦を実行するのです。

3人の隊員はそれぞれ指定された相手、
町娘リビア、クレオパトラが飼い慣らしているヒョウのルパー、
ローマの奴隷イオニウス
へと乗り移るのですが、
乗り移られたほうの人物たちは
それまでの彼らとなにひとつ変わらない行動をみせるので
未来の隊員たちが乗り移っているという設定には
なんの意味もありません。
かろうじて、ヒョウのルパーだけは
クレオパトラに突然色気づいたりして、
中身は人間だという設定の片鱗をみせるものの、
そもそもヒョウなので、何の役にもたちません。

また、ところどころで
バカボン、ニャロメ、カムイ、サザエさん、ヒゲゴジラ、ネズミ男など
当時の漫画キャラクターがカメオ出演しています。
権利関係がおおらかだったのかどうかはともかく、
どう考えても手塚治虫の悪ふざけにしか見えず、
だからなんなんだ? という印象しか受けません。
アクションシーンでは
「スロービデオでもう一度」というテロップが入り、
巻き戻してスロー再生してみたり、
ヒョウがライオンの歯みがきを食べるとライオンになったり、
正直に言って、小出しにされるギャグが失笑を誘います。
当時と現代との笑いに対する感覚のズレが問題なのかわかりませんが、
かなり「お寒い」と言わざるを得ません。

ストーリーと直接関係のないイメージシーンになると
絵柄ががらっと変わり、斬新なアニメーションが楽しめます。
『千夜一夜物語』と同様に
杉井ギサブローによるシュールなセックス・シーン
名画を引用したシーンなどはイマジネーションに溢れるもので
このような、手塚治虫の手がかかっていないイメージシーンと
本編のアニメとのクオリティーの差は歴然としています。

産気づいたクレオパトラが大量のレモンを食べたり、
「何の気なしに」拳銃を手作りしたり、

笑わそうとしているのかどうかさえ判断できない展開が続き、
クレオパトラの物語が一応の結末を迎えて、
無事宇宙船へ戻ってきた隊員たち。
クレオパトラ計画がなにかわかったかと聞かれると
「クレオパトラ計画報告書1548号」という文章が
テロップで長々と表示されます。
内容を要約すると、指令通りに地球の男に色仕掛けで迫り、
その作戦はすでに効果を表しつつあるとされ、
宛名として「パサトリネ星地下組織司令官殿」となっています。
……いや、待て。
これは、地球に潜伏している宇宙人工作員が
宇宙人の司令官に向けて送った文書であって
3人の隊員がクレオパトラの時代にタイムスリップしたことと
なんにも関係ないじゃないか!

確かに、本編のクレオパトラは
シーザーをはじめとする侵略者を撃退するために
自らの美貌と色香で対抗したけれど、
クレオパトラは殺害する目的で近づいた男たちを不覚にも愛してしまい、
苦悩葛藤した末に蛇に噛まれて死んでしまうのであって
成功したとは言い難いものを冠して
「クレオパトラ計画」なる作戦を実行するパサトリネ星も
どうかしてるだろ!

「アニメラマ」という企画が
エポックメイキングであることは認めるけれど
その完成度には疑問を持たざるを得ず、
シナリオに不満のあった『千夜一夜物語』を
さらに下回る出来映えであるというほかないでしょう。

ま、このデタラメさを楽しむべきなのかもしれませんが。

*参考にしたサイト「WEBアニメスタイル」
http://www.style.fm/as/13_special/mini_060116.shtml





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