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サイトシアーズ 殺人者のための英国観光ガイド

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(原題: Sightseers 2012年/イギリス 88分)
監督/ベン・ウィートリー 製作総指揮/エドガー・ライト、マシュー・ジャスティス、ジェニー・ボーガーズ、ダニー・パーキンス、キャサリン・バトラー 脚本/アリス・ロウ、スティーブ・オーラム 撮影/ローリー・ローズ 編集/ベン・ウィートリー、ロビン・ヒル 音楽/ジム・ウィリアムズ
出演/アリス・ロウ ティナ、スティーブ・オーラム、アイリーン・デイビス、リチャード・グローバー、ジョナサン・アリス、モニカ・ドラン

概要とあらすじ
「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ」のエドガー・ライトが製作総指揮を務め、一組のカップルがたどる愛と狂気に満ちた旅路をブラックな笑いも交えて描くコメディ。年老いた母親に束縛されてきたティナは、母の反対を押し切って付き合い始めたばかりの恋人クリスと旅行に出る。キャンピングカーでイギリス国内の観光スポットをめぐる2人だったが、ほんの些細ないさかいからクリスが他の観光客を殺してしまう。そのことをきっかけ、楽しいはずの旅行は思いもよらない展開へと突き進んでいく。主演のアリス・ロウとスティーブ・オーラムが共同で脚本も執筆。(映画.comより



オフビートの副作用としての軽さ

すっかり、監督がエドガー・ライトだと思い込んでいた
『サイトシアーズ 殺人者のための英国観光ガイド』
製作総指揮だったのね。ねんのねん。
監督のベン・ウィートリー
『ABC・オブ・デス』『 Unearthed(発掘)』という
悪魔目線のPOV作品を撮った監督です。
観ているあいだもずーっとエドガー・ライト監督作品だと思っていたので
いつもと随分画作りが違うなあなんて
呑気に考えていたのでした。

年老いた神経質な母親と同居している
37歳のティナ(アリス・ロウ)
恋人のクリス(スティーブ・オーラム)が迎えに来ます。
ふたりは旅行に行こうとしているのですが
母親は快く送り出す気はないようです。
中年カップルのティナとクリスのふたりは
どうみてもイケてない風貌で
この二人っきりの旅行がそれなりに思い切った行動
……のようにも見えますが、
ふたりのバックボーンはほとんど語られないので
この旅行にどのような意味があるのかはわかりません。
ティナは飼い犬を事故で殺してしまった過去があり、
クリスはいじめられっ子だった
、というのが
おぼろげに推測できる程度です。

楽しい旅行に出発したふたり。
クリスがコルネ(!)の包み紙を捨てた男に注意して
相手にされなかったことでふたりは険悪なムードに。
ティナの母親は具合が悪いから帰ってこいというし、
出発そうそうにケチがついて、もう帰ろうとしたところで、
さっきのポイ捨て男を不注意でひき殺してしまいます。
当然、警察署で取り調べを受けたふたりでしたが
その後、すぐにあっけらかんとして旅行を続けるのです。
このあたりから、頭の中は?だらけ。
一時はそれなりに、ことの重大さを認めていたクリスでしたが
なぜかすばやく立ち直るのです。
むしろそれどころか、開き直ったような態度になるのですが
このへんの、精神が追い込まれてからの解放という過程が
いまいちピンとこないまま、
結局それは最後まで続くことになるのです。

クリスは、見かけたキャンピング・カーに言い寄り、
さんざん無礼を働いたうえに
相手がすでに3冊も本を出版している作家だと判ると
癪に障ってその作家を殺してしまいます。
失業中で、本を出したいとうそぶくクリスは
おそらくまったく才能がなく努力もしていないのですが
自分のみすぼらしいプライドが傷つけられたと感じると
簡単に相手を殺してしまい、
その後も妙にあっけらかんとしているのです。
もしかしたら、これは
いわゆるオフビートな笑いってやつなのかもしれませんが
どう笑えばいいのかわからず、
なにしろクリスが凶行に走る心理的背景がまったく理解できないので
嫌悪感がひたすら増すだけなのです。

犬の糞を放置しようとしたティナを注意した通りがかりの男を
難癖つけたうえにあっさり撲殺してしまうのも
最初のポイ捨てを注意したクリスの言動と矛盾しているし、
どこかでクリスにおかしなスイッチが入ったのかもしれないが
なにがスイッチなのか、
本来のクリスはどういう人間でそれがどう変わってしまったのかが
まったく描かれない
ので、もうさっぱりなのです。

ティナにしても、どうやら依存体質なのはわかるけれど
なんのゆかりもない通行人をひき殺してしまうような行動が
たとえやり過ぎだとしてもなんのやり過ぎだかわからないので
やっぱり困惑するだけなのです。
勝手に想像するに、オフビートな表現というものを面白がるあまり、
すべてがただただ軽くなってしまったように
思えてなりません。

クリスにしても、ティナにしても
なんらかの鬱屈を抱え込んでいたのは想像できますが
彼らの鬱屈がどれほど深いものなのかを描かないかぎり、
感動を与えるにしろ、ドタバタコメディにしろ、
観客が納得することはないと思います。
ふたりが楽しい旅行にでかけたはいいものの、
思いもよらぬトラブルに不可抗力で巻き込まれて
不本意にも破滅の道を辿るのなら
物語としての面白味がありそうですが
ふたりを見舞った不可抗力なトラブルは最初の事故死だけで
それ以降は、むしろ率先して破滅の道を突き進むので
ただのバカにしか見えなくなるのです。

それでも、一応は悪事を働いているという認識はあるようで
最後にクリスとティナはふたりで心中しようとします
クリスが飛び降りる瞬間にティナは手を離し、
クリスだけが死んでしまうという結末に。
これにしても、なんかびっくりさせたかったのね、とは思うものの
とにかくふたりの心境がわからないので
ティナのとった行動をみても
なるほど、そうきたか! などと感心することはないのです。

ま、いいや。
こんなこともあるさ。





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