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テッド

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(原題:Ted 2012年/アメリカ 106分)
監督/セス・マクファーレン 脚本/セス・マクファーレン、アレック・サルキン、ウェルスリー・ワイルド 撮影/マイケル・バレット
出演/マーク・ウォールバーグ、ミラ・クニス、セス・マクファーレン、ジョエル・マクヘイル、ノラ・ジョーンズ

概要とあらすじ
マーク・ウォールバーグ扮する中年男と、Fワードを連発する過激なテディベアの交流を描いたコメディ。全米ではR指定ながらも、興行収入2億ドルを超える大ヒットを記録した。いじめられっ子の少年ジョンは、クリスマスプレゼントにもらったテディベアのテッドと本当の友だちになれるよう、神様に祈りをささげる。すると翌日テッドに魂が宿り、2人は親友になる。それから27年が過ぎ、ジョンとテッドはともに30代のおじさんになっていた。一時は「奇跡のテディベア」としてもてはやされたテッドも、幻惑キノコで逮捕されてからは堕落し、下品なジョークと女のことばかり考える日々。そんなある日、ジョンは4年間つきあっている恋人から、自分とテッドのどちらかが大事なのか選択を迫られ……。コメディアンや声優として活躍してきたセス・マクファーレンの初監督作。(映画.comより)



カワイイ! ヘンタイ! ブッカケ!

中年テディベアが下ネタを連発するコメディと聞いて
公開したら絶対に観に行くぞと楽しみにしていたのですが
いざ公開してみると、これが予想外の大ヒット。
関係者にとっては喜ばしいことではありますが、
事前情報からすると一般受けするような作品ではないはずなのに
連日満員御礼だという噂を聞くと、
なんか、つまんねえなと思ってしまうのが
へそ曲がりの天の邪鬼たる所以。
なんなら、もうDVDでいいかなと思い始めていたのですが
まあ、そういうな、オレよ。
もともと観たかったんだから、いいじゃないか。ということで
重い腰を上げて行って参りました。

公開から一ヶ月以上経った
平日の19:20からの上映回にもかかわらず場内はほぼ満席。
そのほとんどが会社帰りに待ち合わせた(と見受けられる)
カップルか女性二人組、もしくは三人組で
一体こいつらは何を目当てにしてここへ集まってきているのか、
はたまたオレが『ストロベリーナイト』のホールに
紛れ込んでしまったのかと不安になりました。

僕の隣の席にも
つまんだホースの先から噴出する水のように喋りまくる
アラサーとおぼしき女性二人組
が鎮座し、
予告編上映のときから二人は喋りたい衝動を抑えきれず
お互いが相手の話を聞くよりもそれぞれが言いたいことをまくしたて
なおかつ、あ〜わかるわかるぅという同調を前提としている
女性特有の会話法によるやりとりが否が応にも耳に入り、
これからの2時間弱に向けて気が滅入ってくるのを振り払いつつ、
本編の上映開始を待ったのでした。

そうはいっても、それはそれは、ね。
公の場でのマナーを心得た立派な社会人たるアラサー女性ですよ。
本編の上映が始まると、ピタッと喋るのをやめ……るかと思いきや
さすがに口数は減ったものの、抑えた声であいかわらず
きゃっきゃきゃっきゃ言うとりますがな。

「あ、見て、かわいい〜〜」

「ミ・テ」?
暗闇の中で光によってスクリーンに映し出された映像を
見つめるためだけに人々が集う場所。それは映画館。
そして、ここは映画館……
もう一度言おう、ここは映画館。

ミトルニキマットルガナ! コノクサレマンコ!!!!
カワイイモンミテ、イチイチカワイイダノ、クチニダシテユーナ!!


……もう、おわかりでしょう。
『テッド』の異例の大ヒットは
ぬいぐるみが動いているのを見ればそれだけで
「あ! かーわーいーいーぃ!」と言ってしまえるような
頭の中に「ハマナカ クリーンわたわた」が詰まった人種に
支えられているのです。
ひとつの作品が多くの人の眼に触れることそれ自体は
まったくもって歓迎するほかないのですが
いかんせん、ここまで表層的な誤解によって迎え入れられると
果たしていかがなものかと考えざるを得ないのです。

もちろんそれは『テッド』という作品が本来抱える問題ではないし、
「あ! かーわーいーいーぃ!」と言ってもらいたくて作られている
観客をみくびったゴミ映画は問題外としても
「あ! かーわーいーいーぃ!」を映画鑑賞の動機としている観客が
相当数いるという事実にいまさらながら驚愕するのです。
そうはいっても、もし僕が『テッド』の関係者なら
勘違いだろうがなんだろうが映画館に足を運んでくれれば
オッケーともシメシメとも思うでしょうね。

さて、本編の内容はというと
個人的には、さほど下ネタが多いとは感じず、
確かに下品な会話は多かったけれども
そんなことより映画やゴシップに関するマニアックなセリフが多く
「脳みそわたわた」でなくとも
一見してすべてのネタを把握するのは至難の業だと思いました。
英語の理解力だけが問題ではなく、本国アメリカでも
すべてのネタで笑っている観客は6割程度といいますから
それを翻訳して字幕にしても、
本来の面白さがそのまま伝わるはずもありません。

そこで、字幕を担当した町山智浩さん
自身のアイデアに加え、Twitterで募った日本で通用する表現を用いて
セリフの面白さのニュアンスが伝わるように工夫されました。
その裏話はこちらで町山さんご自身が解説していますし、
それ以外の小ネタについては
映画秘宝2013年2月号に掲載されていますので
興味のある方はご参照ください。
もう、ネタが多すぎて僕には拾いきれません。

『テッド』のように
なにかについての知識がある前提での面白さを翻訳し、
さらに限られた秒数で観客が把握できる字幕にする作業は
本当に困難を要する仕事だと思います。
たとえば、日本映画で
「わがままはドラえもんに言えよ!」
「決まった時間に風呂に入るなんて、由美かおるみたいだな」
「謝りたいなら、頭丸めてYoutubeにアップすれば?」

というようなジョークがあったとしても、
外国では誰も理解できないでしょう。

『テッド』のアイデアを思いついたときには
アニメーションにしようと考えていたという
セス・マクファーレン監督ですが、CGの技術の発達を待って
この作品を作り上げたのは英断です。
アニメーションにはなんでも表現できるという特質はありますが
すべてがフィクションのなかで完結してしまう副作用があり、
『テッド』のように現実と非現実感の違和感を
抵抗なく受け入れていることの面白さ
を表現するには
あまり向いていないと言えるのではないでしょうか。

大量に散りばめられたネタを度外視して全体を見渡すと
互いに愛し合っている二人が些細な行き違いから不仲になり
葛藤の後にめでたく結ばれるという
非常に典型的なラブコメの構造が二重に存在していて
ひとつはジョン(マーク・ウォールバーグ)とテッド、
もうひとつはジョンとロニー(ミラ・クニス)との関係です。

ジョンとテッドの関係は
『ど根性ガエル』のひろしとピョン吉の関係に
置き換えることもできそうですが
ジョンが子どもの時から友だちがいなかったことを考えると
ジョンの一人遊びの相手が実体化したのがテッドであり、
まさにジョンの分身なのですが、ジョン本人よりも
さらに快楽に忠実に行動するのがテッドなのです。
そんな二人が気が合うのはあたりまえですが、
僕たち私たちが「我ながらなんて馬鹿なことをしたんだ」と
自分の間抜けさを呪うことがあるように
ジョンとテッドが言い争うのもまたあたりまえなのです。

女性からは、ときに眉をひそめてキモいといわれたかと思うと、
ときに少年っぽいところがステキなどといわれる男性の幼児性ですが
テッドの行動に加えて外見の愛嬌の良さが
男性の幼児性を表現していると言えなくもなく
テッドとの心地よいじゃれあいに一線を引き、
自立を目指すことがジョンの成長譚にもなっています。

下ネタ、映画ネタ、ゴシップネタと
セリフで笑わせるネタのほかにも
映像で笑わせるシーンはそこかしこにあり、
たとえば、ジョンとテッドの乱闘のシーンでは
BGMなしで、殴ったときの効果音もズシっと重い音。
スピーディーなカット割りでテンポよく、臨場感たっぷりです。
シリアスな緊張感さえ漂ってきそうなシーンですが
いかんせん戦っているのはぬいぐるみだということが
笑いどころになっています。
これは、映画を見終わった後からじわじわ笑えてきます。

僕が一番爆笑したのは「スーザン・ボイル」でした!
やっぱり、こういう見た目の笑いはすっと入ってくるし
考えオチではなく、日本のお笑い芸人のツッコミの瞬発力に近く
今思い出しても、笑えてきます。

先述した乱闘シーンでも「スーザン・ボイル」でも、
隣の「脳みそわたわた」二人組はまったく笑いません。
別にいいんですよ。笑いたいときに笑えば。
下ネタでもたいして笑いません。
別にイイんですよ。笑いタいときに笑えバ。
彼女たちが笑うのは、テッドがつまづいたり転んだりするときです。
べツニいいンデすよ。笑イタイときに笑エバ。
あとはおならの音とかです。
ベツニイインデスヨワライタイトキニワラエバ





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