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悪の教典

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(2012年/日本 129分)
監督/三池崇史 出演/伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、山田孝之、吹越満


あらすじ
生徒から慕われ、学校やPTAからの評価も高い高校教師・蓮実聖司は、教師の鑑ともいうべき表向きの顔とは別に、他人への共感能力をまったく持ち合わせていない、生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)という隠された顔があった。いじめ、モンスターペアレンツ、セクハラ、淫行など問題だらけの学校で、自らの目的を達するため、蓮実は躊躇なく殺人を繰り返していく。しかしある日、ほんのささいなミスを犯してしまった蓮実は、それを隠匿するためクラスの生徒全員を惨殺することを決める。(映画.comより)



エ〜クセレント!(via World Down Town)

ミスター海猿こと伊藤英明がはじめての悪役を演じたサイコ・ホラー。
さわやか&熱血漢な『海猿』での伊藤のイメージが
そのままこの役柄の前振りになっているかのようでした。
『海猿』仕様の肉体美も惜しげもなく披露しておりまする。
まさにはまり役といったところですが、
狂気のスイッチが入ってからも飄々と生徒達を殺していくので
あまり表情に変化がなかったのはいたしかたなしか。
その飄々としてるのが怖いんだと言われれば、確かにそうなのですが
ちょいと物足りなさを感じました。

そのかわりと言っちゃなんですが
伊藤演じる蓮見(ハスミン)に狂気のスイッチが入るときには
彼の頭の中で三文オペラの「モリタート」が鳴り始めます。
これが非常に効果的で、『時計じかけのオレンジ』での「雨に唄えば」と同じく、
呑気なテンポとメロディが恐怖を煽ります。
『時計じかけのオレンジ』の「雨に唄えば」
キューブリック監督がアレックスを演じるマルコム・マクダウェルに
「なんか歌え」と言ったらその場でたまたま思いついた歌だそうで
要するに、映画と関係のない、どうでもいい歌であればあるほどよかったのですが、
『悪の教典』でのモリタート(マック・ザ・ナイフ)は蓮見の役に関連づけられて
原作から用意されていたようです。

あいかわらずの不勉強で、この歌を聴いたことはあれど
どんな歌なのかは当然のごとく知らなかったアタクシですが
劇中にもスーパーで挿入されるこの歌の歌詞をググってみると…

  こいつは鮫だ、こいつには歯がある
  その歯は面に見えてらあ
  こいつはメッキース、 
  こいつにゃドスがある
  だけど、
  そのドスを見たという奴はいねえ。

  綺麗に晴れた日曜のこと
  浜辺に死体が転がっていた
  誰かが街角に消えていく
  そいつが ご存じメキ・メッサー。

…とまあ、恐ろしい殺人犯の歌でした。
わざわざ歌詞をスーパーで見せるのは下世話な感じもしますが
そんな下世話なところも三池監督のサービスというか、
B級上等なかんじで、いいんじゃないでしょうか。

なにかと過去に謎の多いハスミンですが
彼の過去が突然回想というかたちで挿入されます。
破れた障子の向こうに見える巨大な星条旗!
鈴木清順ばりのシュールでかっこいいシーンです。

さて、「出席を取るように」生徒を殺し始めるハスミン。
学園祭の準備中という設定が非日常をさらに盛り上げます。
片っ端から散弾銃で撃ち殺していくのですが
この散弾銃の威力が爆音とともに表現されていて
ハスミンが耳を痛がるのもリアルだし、撃たれたほうも体ごとフッ飛ばされます。
屋上への扉の前に追い詰められた生徒達を
至近距離から一人ひとり撃ち殺すシーンは凄惨ですが
機関銃でダダダッて十把一絡に殺されるのではないところがいいですね。
映画の中では脇役を「殺されるその他大勢」として表現することはよくありますが
当然、その一人ひとりにもそれぞれの人生がある(あった)はずですから
たとえ脇役でもそれぞれのキャラクターを表現しながら
殺されていったのには、三池監督(原作?)の意図があったのかもしれません。

全体を通して、
わりとわかりやすーい伏線がいっぱい引かれていますが
蓮見が大虐殺の犯人だとわかる決め手のAEDのくだりはわかりづらかったです。
フリのシーンで、男子生徒が悪ふざけをして
「これ、録音されてるわよ」的なことを女医(小島聖)が言うのですが
その時に、録音された男子生徒の声を聞かせて欲しかった!
まあ、いいけど!(笑) 別にいいけど!

しかし、山田孝之はいい役どころでしたね〜!
万引きしたことを隠すのとひきかえに
生徒の美彌の体を弄んでいた最低野郎ですが
ドラムの腕前を披露して生徒から褒められると
照れてジュースおごったりする可愛いところもあって。
美彌のパンツ嗅いで
「クンクン…美彌?」ズドン!って
(爆笑!)
パンツの臭いでわかるかっ、そんなもん! 警察犬か!

この作品でわりと重要ではないかと思われるのが二羽のカラスです。
蓮見の家に来る二羽のカラスを
蓮見は「フギン」と「ムニン」と名づけるのですが、これは
北欧神話に登場する戦争と死の神オーディンに付き添う一対のワタリガラス。
フギンは「思考」を、ムニンは「記憶」を意味する、と。

蓮見は仕掛けを作り、フギン(思考)を仕留めますが
ムニン(記憶)はまだそのままです。
生き残っているムニンに蓮見は「いつでも撃てるぞ」と銃口を向けます。
蓮見は常識的かつ論理的な思考は葬ったものの、
記憶(トラウマ)は葬り去れないのではないでしょうか。

ラスト。
蓮見は怜花(二階堂ふみ)に対して「オーディンによろしく」と言います。
その瞬間、怜花の左目が白く光りますが
オーディンは絵画などでは左目がない状態で描かれることが多かったようです。
一気にオカルトめいてきて、
蓮見の悪魔(オーディン)を怜花が引き継いだのか? と思うわけですが、
そのあと怜花は
「こいつは、新しいゲームを始めているんだ」というので
この時点では怜花はまだ正気なようでした。

そして、なんと「To be continued」!
そうですか、続編があるのね。
パンツ脱がされて殺されたはずの美彌もどうやら生きていたみたいだし。
なんだか『SAW』っぽくならなければいいけどね、と思いましたよ。

三池崇史監督は恐ろしいほどのテンポで作品を作り続けていて
針が振り切れた演出は好きなんだけど
オリジナル作品は「スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ」だけで
自分の想いを作品にぶつけるようなことはしないんだなと思ってきましたが
この『悪の教典』もそうでした。そこは残念。

ところで、劇場へ観に行ったとき、
隣の席が制服の女子高生三人組みでした。
「あ〜、こいつらも殺されるんだろうな〜」なんて妄想しつつ観ていたので
僕にとっては、ある意味3D映画でした。とさ。





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コメント

映画の感想ググってたどり着きました

ラストシーンはいかようにも解釈できる思わせぶりなシーンなのですが、ひとつだけ言いたくてコメントしました

映像でも分かりますが、蓮見が殺さなかったカラスのムニン(記憶)の左目が白いんですよ

玲子の左目がムニン同様に一瞬白くなったあのシーンは、蓮見が自分を監視する存在を彼女に見た(幻視した)ということなのでは・と思います
(玲子にムニンと呼びかけていますね)

映画みたあと原作読んでムニンの左目が白かったということが分かって腑に落ちましたが、それまでは僕も「あのシーンはなんだったんだろう?」とずっとひっかかってました

>ちょいと物足りなさを感じました。
う~~ん、でも、テンション高く殺してたら回想にでたグレイと一緒の人種に見えちゃって、蓮見の格が落ちたんじゃないかなあ…と思います

2013/08/09 (金) 22:59:38 | URL | こんにちは #Gunbb4dY [ 編集 ]

Re: 映画の感想ググってたどり着きました

コメントありがとうございます。
> 映像でも分かりますが、蓮見が殺さなかったカラスのムニン(記憶)の左目が白いんですよ
なるほど。ただ、片目というのはオーディンの特徴でもあるのでねぇ。

> う~~ん、でも、テンション高く殺してたら回想にでたグレイと一緒の人種に見えちゃって、蓮見の格が落ちたんじゃないかなあ…と思います
こればっかりは、ひとそれぞれかと(笑)
僕もテンションが高い方がいいと思っているわけではなく、もっと薄気味悪い狂気を感じたかったなあ、ということでした。

2013/08/10 (土) 15:31:03 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

アホなのか?

今更ですが、感想を拝読させて頂きましたが、全く映画の内容を理解出来ていないようで。
まず蓮実教諭が最後まで表情を変えないというのは、彼の役のためです。サイコパスを題材にした作品なのですから、サイコパスの犯人は罪悪感など毛頭も感じないはずです。これで蓮実教諭が動揺なんてしていたら笑います。これはそういう、飄々とした顔を怖がって楽しむものです。
それから、B級上等と書かれていましたが、今作はどう考えてもB級ではないでしょう笑
そして最後、二階堂ふみの目が白く濁るシーンですが、これは別に乗り移ったとかではなく、ただの暗喩です。ここにそんなオカルト的な内容をぶっ込んだらそれこそB級ですよ笑
それからto be continudeてのは、捕まったとしても物語は終わらないという意味で二階堂ふみも「次のゲームを始めてるんだ」というように、彼らの世界の中で物語は続くのです。

全体的に、物語を読み取れていません、もうすこし考察を頑張りましょう笑

2016/05/26 (木) 00:12:57 | URL | めっきー #Tu7/Ja2Y [ 編集 ]

Re: アホなのか?

めっきーさん。
まずは、ひとの意見に対して異論をいうときの礼儀をわきまえましょうね。アホなのか?

> 今更ですが、感想を拝読させて頂きましたが、全く映画の内容を理解出来ていないようで。
=ははー。左様でございますかー。「映画の内容」をねぇ〜。フムフム。それで、それでぇ?

> まず蓮実教諭が最後まで表情を変えないというのは、彼の役のためです。
=当たり前でしょ。アホなのか? だから「いたしかたなしか」と書いています。アホなのか?
 それを僕は物足りなく感じたと言っているんですよ。アホなのか?

> サイコパスを題材にした作品なのですから、サイコパスの犯人は罪悪感など毛頭も感じないはずです。
=「サイコパスの犯人は罪悪感など毛頭も感じないはず」というのはあなたの身勝手な主観だし、
 罪悪感を感じろなどとはどこにも書いておりません。アホなのか?

>これで蓮実教諭が動揺なんてしていたら笑います。
=笑いたければ勝手に笑えばいいんですが、動揺して欲しいなどとはどこにも書いておりません。
 ホントに文章読んでる? 視力はあるの? 日本語はダイジョブデスカ? アホなのか?

>これはそういう、飄々とした顔を怖がって楽しむものです。
=どういうふうに楽しもうがあなたに決めつけられる筋合いはありません。アホなのか?

> それから、B級上等と書かれていましたが、今作はどう考えてもB級ではないでしょう笑
=「どう考えても」とはどう考えたんですか? アホなのか?

> そして最後、二階堂ふみの目が白く濁るシーンですが、これは別に乗り移ったとかではなく、ただの暗喩です。
=「ただの暗喩」!!!(爆笑)なんの暗喩か言えよ!!「ただの」って!! 
 暗喩の意味、わかってねーだろ! アホなのか?

> もうすこし考察を頑張りましょう笑
=モウスコシニホンゴガンバテ♡(5点アゲマス)

2016/05/26 (木) 01:18:27 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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