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ザ・イースト

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(原題:The East 2013年/アメリカ 116分)
監督/ザル・バトマングリ 製作総指揮/トニー・スコット 脚本/ザル・バトマングリ、ブリット・マーリング 撮影/ロマン・バシャノフ 美術/アレックス・ディジェルランド 編集/アンドリュー・ワイスブラム、ビル・パンコウ 音楽/ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演/ブリット・マーリング、アレクサンダー・スカルスガルド、エレン・ペイジ、ジュリア・オーモンド、パトリシア・クラークソン

概要とあらすじ
脚本も手がけた主演作「アナザー プラネット」(2011)がサンダンス映画祭で賞賛された女優ブリット・マーリングが、製作・脚本・主演の3役を兼ねたスパイスリラー。環境汚染や健康被害をもたらす企業を標的に過激な報復活動を重ねる環境テロリスト集団「イースト」からクライアント企業を守るため、正体を偽ってイーストへ潜入した元FBI捜査官のサラ。当初は彼らのやり方に反発を覚えるが、次第にその理念に正当性を感じるようになり、カリスマ性をもつリーダーのベンジーにも心ひかれていく。やがてイースト過去最大のテロ計画が実行されることになり、サラは当初の目的と自らの本心との間で揺れ動くが……。共演に「トゥルーブラッド」のアレクサンダー・スカルスガルド、「JUNO」のエレン・ペイジほか。監督は、カルト教団に潜入するカップルを描いたスリラー「Sound of My Voice」(11・日本未公開)でもマーリングとタッグを組んだ新鋭ザル・バトマングリ。(映画.comより



罪深きは無関心

正直に告白すると、
スーパーの陳列ケースで賞味期限を確認し、
手前にある商品をスルーして奥に手を突っ込んで
より新しい牛乳を買った経験は一度ではないし、
コンビニで弁当やおにぎりがすっかり売り切れていたりすると
品揃えの悪い店だと舌打ちしたこともあります。
その反面、大量の食品が揃えられた生鮮食品売り場を訪れるたびに
絶対、こんなに必要ないよな、とも思うのです。

そんな、どっちつかずで中途半端な僕ですが
目の前の問題と根本的な問題の両方を
一気に解決する方法なんてあるんでしょうか。
そんなじれったい現実を突きつけるのが
『ザ・イースト』です。

環境汚染や健康被害をもたらしている企業を
攻撃する集団エコ・テロリストから企業を守るために
民間の調査会社の社員サラ(ブリット・マーリング)
エコ・テロリスト集団の一員として潜入し、
攻撃を未然に防いで集団を壊滅させるのが任務です。
この「民間の調査会社」というところがミソなのですが、
(詳しいことは↓の町山智浩氏の解説をどうぞ)
サラの彼氏が持つのんびりした雰囲気が
現実に起こっていることを知らない、
もしくは知っていても知らないふりをしている大多数の人々を
表しているように感じます。

サラが潜入した集団「ザ・イースト」の暮らしぶりは
まさにカルト集団です。
全員が拘束着を着て、手が使えない状態で
口にくわえたスプーンでスープをすくって
隣の人に食べさせる食事シーン

助け合いや思いやりのようなものを表現しているのでしょうが
その発想そのものが気色悪くて、ショッキング。
自分でできることは自分でやりゃあいいじゃねえか、と
彼らの考え方に対する嫌悪感が膨らみます。

集団の一員イジーに扮するエレン・ペイジ
あいかわらず癪に障る小生意気なキャラクターでしたが
わざと経験のないサラに鹿をさばけと命じたシーン
イジーの身体から銃弾を取り出す後半のシーンと重なります。
その鹿を丸焼きにして、夜な夜な酒盛りをする集団を
隠し撮りしていたサラは聾唖の女性団員に見つかってしまうものの
手話で彼女を説得。
この隠れた状態での手話というのが
実用的にも演出的にも非常に効果的でした。

副作用の強い薬を販売している製薬会社の
パーティーに忍び込んだ集団は
経営者をはじめとするパーティーの参加者たちが飲むシャンパンに
その副作用の強い薬を混ぜる作戦を実行します。
それに気づいたサラは、なんとか作戦を阻止しようと
会社に連絡するも
「うちのクライアントじゃないから放っときなさい」と返される始末。
なんせ、民間の調査会社ですから
目的はあくまで利潤の追求であって、
正義や法律を守るために行動しているわけではないのです。

一度は普通の生活に復帰するものの、
再び潜入捜査を命じられたサラは
集団の考え方に徐々に親近感を覚えるようになります。
これはカルト集団に潜入しているうちに洗脳されてしまった、
というのとは違うように思います。
彼女は、集団がやっていることもおかしいけど、
自分の会社や企業だって、そこそこおかしいことやってるぞ
ていうことに気づいてしまったのではないでしょうか。
集団のメンバーの過去が少しずつ明らかにされていくにつれて
彼らの憤りは十分理解できるし、同情だって感じます。
前半で、集団のカルト的な側面を強調して
観客の集団に対する敵意と嫌悪感を促したあとで
サラの心境の変化を通じて、
彼らの共感するという道もあることを示していく展開は見事です。
しかも、集団に対する共感や同情へと
観客を導くのがこの作品の意図ではなく
清濁入り交じった現実を両側面からみせて
観客に問いかけてきます。

日本にもちょろちょろやってくる
シー・シェパードみたいなやつらは
暴力を使って自分たちの理想を押し付ける傲慢な連中だと思いますが
「ザ・イースト」の主張する問題は、
犠牲者や被害者も出ているし、
明らかに正されなければならない現実の問題でしょう。
「眼には眼を」という報復行為は痛快でさえあるかもしれません。
それでも、企業に対する報復は新たな犠牲者を生むだけで
根本的な問題の解決に繫がるのかというと疑問です。
また彼らは、自分たちの主張を
社会問題としてできるだけ広く訴えたいという願いから
よりスキャンダラスで、よりショッキングな手段を選ぶ傾向にあるのも
本質から逸脱しているようにも感じます。

さりとて、エコ・テロリストに狙われる企業や
世界規模での経済活動や食糧事情、
僕たちの生活そのものにも問題があるのは明らかで
……なんとかならないもんでしょうか。
まずは問題意識を持たないとね。

それにしても、
製作・脚本・主演を務めるブリット・マーリング
才色兼備とはこのことですな。
ザル・バトマングリ監督とは恋人同士だとか。

……ちっ。



↓ あいかわらず映画の裏側がよ〜くわか〜る




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