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私が、生きる肌

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(原題:La piel que habito 2011年/スペイン 120分)
監督・脚本/ペドロ・アルモドバル 撮影/ホセ・ルイス・アルカイネ 衣裳/ジャン=ポール・ゴルチエ
出演/アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ジャン・コルネット

概要とあらすじ
ペドロ・アルモドバル監督とアントニオ・バンデラスが「アタメ」(1989)以来22年ぶりにタッグを組み、最愛の妻を亡くし禁断の実験に没頭する形成外科医と、数奇な運命をたどるヒロインの姿を描く問題作。画期的な人工皮膚の開発に執念を燃やす形成外科医ロベルは、かつて非業の死を遂げた最愛の妻を救えるはずだった「完璧な肌」を創造することを夢見ていた。良心の呵責や倫理観も失ったロベルは、ひとりの女性を監禁して実験台にし、人工皮膚を移植して妻そっくりの美女を作り上げていく。(映画.comより)


おしりがかわいいこと、この上なし!

おお、アルモドバルの新作だ、と思っているうちに
劇場公開期間は軽やかに過ぎ去ってしまい、
やっとこさBlu-Rayを借りて観ることになった『私が、生きる肌』ですが
アルモドバルの新作だというだけで
観るべき条件は整っているようなものなので
おおざっぱなあらすじすら知ろうともせず、
あたりまえのように期待して鑑賞したところ、
あたりまえのようにその期待に応えてくれました。

いつもオープニングタイトルがグラフィカルで
かっこいアルモドバル作品ですが
『私が、生きる肌』は、従来より少し控えめではあるものの
白ふち文字がぬるっと浮き出てくるクレジットの
絶妙なやぼったさがこれまたカッコイイ。
強烈な赤がかならずポイントとして挿入されるのは
いつものとおりですが、ただ単に画面の色調を整えているのではなく
赤以外にもビビッドな色が氾濫します。
にもかかわらず、画面全体のバランスに支障を来すどころか
ひとつに制御された美しさが迫力を持って映し出される
アルモドバルの色彩感覚とそのノウハウとは一体何なのか……
惚けた顔してカッコイイーと言っていられれば
それだけで満足な僕なら
「そりゃあ、スペインだからな」とゆるゆるに論を結んだあと、
できるだけ速やかに話題を切り替えるようにします。

形成外科医ロベル(アントニオ・バンデラス)
隣の部屋に隔離しているベラ(エレナ・アナヤ)をカメラで監視し、
ロベルの部屋の壁に取り付けられた巨大なモニターに映し出されるベラと
それを見ているロベルを映し出すシーンは
ベラとロベルとの対比が遠近感を狂わせて
シュールで美しいのですが、
ワケあり家政婦のマリリア(マリサ・パレデス)
キッチンで見ているモニターが
いかにも監視カメラのものといったモノクロであるのに対して
ロベルが見ているモニターは、単に見ているのではなく
文字通り愛でているのであって、
ベラに対するロベルの愛情が強まるのと呼応して
モニターの中のベラもズームアップされて巨大化し、
二人の関係のバランスが逆転していく様子を表現しています。

ビセンテ(ジャン・コルネット)は、
色っぽい男前だけど、結構小柄だなあと感じていたのですが
それもそのはず、ちゃんと訳あってのキャスティングだったと
後になってわかるのですが、
ロベルがビセンテを襲う理由が娘をレイプされた腹いせだと
思っていたもんですから、気分のいい驚き。
アルモドバル監督自身が言っているように
『顔のない眼』『フランケンシュタイン』『めまい』など
古いスリラーのテイストをベースにしながらも
自身特有の色彩感覚と女性の情念を織り交ぜて
定番の面白さはそのままに新鮮な輝きを加えています。

それにしても、ここまでイカれた
マッド・サイエンティストの話だとは思わなかった!
『ムカデ人間』よりも、ひんやり怖いです。
しかも、セックスまでしっかり描いているところが
見ている側をなんとも複雑な気にさせてくれます。
こういうセックス・シーンでも、
ちゃんと乳首を吸ってるあたりはさすがですね。
そうなったら、そりゃ乳首を吸うのはあたりまえですから!
鎖骨というかデコルトのあたりに頭こすりつけて
誤魔化されたりすると、もう一気に興醒めなのですよ。

同じように人間の外観や美貌をコントロールする内容の
『へるた〜なんとか』など、引き合いに出すのも馬鹿馬鹿しいが
どこをとっても両者の完成度は
雲泥の差なのです。月とすっぽんなのです。
『私が、生きる肌』が映画なら、
『へるた〜なんとか』は便所の落書きの書き損じです。

細かいところでは、
虎の仮装をしたマリリアの息子の存在が放つ不穏さや
ビセンテの勤める店の女性店員がレズであることが
ラストシーンで効いていたり、
ロベルが針金で縛られた盆栽をいじっているあたりは
にくい演出でした。

ラストはちょいと蛇足な気もしますが
画面を見ただけで「ああ、アルモドバルだ」と思わせる
美しい映像は健在で、
なにしろ登場人物たちに対するアルモドバルの愛情が
いつもながらに感じられ、
問答無用に好きだと言ってしまおう、そうしよう。





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