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フィルス

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(原題: Filth 2013年/イギリス 97分)
監督/ジョン・S・ベアード 原作/アービン・ウェルシュ 脚本/ジョン・S・ベアード 撮影/マシュー・ジェンセン 美術/マイク・ガン 編集/マーク・エカーズリー 音楽/クリント・マンセル
出演/ジェームズ・マカボイ、ジェイミー・ベル、イモージェン・プーツ、ジョアンヌ・フロガット、ジム・ブロードベント、エディ・マーサン、シャーリー・ヘンダーソン

概要とあらすじ
「トレインスポッティング」原作者として知られるアービン・ウェルシュの小説を映画化し、悪徳刑事の巻き起こす事件をジェームズ・マカボイ主演で描いたクライムコメディ。同僚や友人を陥れる裏工作や残業の不正申告が得意で、売春、不倫、アルコールやコカインにも手を出すスコットランド人刑事ブルース・ロバートソンは、ある日起こった日本人留学生殺人事件の捜査を担当することになる。初動捜査では目撃者が見つからかったその事件を解決してみせ、出世しようと目論むブルースだったが、捜査を進めるにつれて過去の自分と向き合うはめに。やがて目撃者とされる謎の女の存在が浮かび上がり……。(映画.comより



カッコイイと思ってるセンスがダサイ

上映期間を取り逃がしたゆえの落ち穂拾いで
『フィルス』
DVDを観終わったいまになって
アービン・ウェルシュという原作者が
『トレインスポッティング』の原作者でもあることを知りました。
そういわれてみれば、どこか似ているこの2作。
そして僕は『トレインスポッティング』が
好きではないのでした……

まずは、日本人留学生がチンピラに殺される事件が起こります。
バックに流れる軽薄なクリスマスソングが、なかなかナイス。
とはいえ、被害者が日本人というところが
どうしてもスルーできないのは、致し方ないでしょ。
留学生がカンフーのものまねでチンピラに立ち向かおうとするのをみると
あいかわらずぼんやりした欧米人のアジア観が透けて見えて
ちょっとゲンナリ。
ま、その後の警官たちの日本人に対する差別意識も含めて
演出だと考えれば納得もいきます。
暴行現場に不意に現れた着飾った美女の姿を見て
なぜかチンピラたちは逃げ出します。
この「美女」が物語の鍵となっています。

日本人留学生殺人事件の捜査会議に登場した
ブルース(ジェームズ・マカボイ)
席につくやいなや屁をかましますが、
あれはジェームズ・マカボイのマジ屁だそうな。
出世することしか考えていないブルースは、噂通りの悪徳警官。
日常的にコカインをキめ、子供の風船を取り上げて泣かせたり、
淫行の現場では少女にフェラさせるわ、
同僚の奥さんと浮気中だわ、
友人の奥さんにはイタ電をかけたうえで、犯人捜しに乗り出し、
結果的に友人を犯人に仕立て上げたり、と
やりたい放題です。
暴力を振るうことがなかったのが不思議なくらいですが
謀略の限りを尽くして、周囲を陥れようとしています。

「FILTH(フィルス)」とは
警察を意味するスラングで、
加えてゴミ、汚物、悪党などなどを意味するのだとか。
簡単に言えば、フィルス=クズってことですな。
文字通り、ブルースはフィルスそのものなのです。

ブルースは職権乱用しつつ、乱痴気騒ぎを繰り返していて
日本人留学生殺人事件の捜査が進んでいるようには見えないのですが
さすがにブルースの振る舞いにムカムカし始めたところで
少年の死体を映し出した短いカットがインサートされます。
いわずもがな、そのカットは
ブルースがなにかしらトラウマを抱えていて、
それが彼の無軌道な行動の原因であるということを
即座に理解できるのですが
いくらなんでもタイミングとして早すぎます。
死体の少年が誰なのかはわからないものの、
死体であることそのものが饒舌で
ブルースは過去に哀しい出来事があったから
それを紛らわすために自暴自棄になっている、
じつは同情すべき人物なんだなということがわかりすぎてしまいます。
しかもタイミングが早いもんだから
これからブルースに対する嫌悪を膨らませようとしていたのに
台無しなのです。

ブルースに対する観客の嫌悪を引き出すだけ引き出してから
じつは彼にはこんな過去が……と打ち明けられれば
ええー! そうなん?! と驚けるのですが
このカット以降、ブルースが内面に抱える闇を小出しにするので
長い言い訳を聞いているような気分になって
物語に対する興味が一気に失せてしまいました。

インサートされた少年の死体のカットによって
この物語の先行きに大方の予想がついてしまっているので
よくわからない医者が登場しようが
ああ、悩んでいるブルースの妄想ね、はいはい、としか思えないし、
花屋ですれ違った女性との取って付けたような会話も
急病で路上に倒れた男性を助けようとするシーンも
はい、これからブルースのいい面を語りまーす! と
いわれているようで しらけるばかりです。

『トレインスポッティング』の細かい内容は覚えていないのですが
少しずつ思い出してきたこの2作に共通するつまらなさは
人間描写の薄っぺらさです。
ブルースは、悪い奴のときは悪いことをして、
いい奴のときはいいことをするのですが
人間はそんなにはっきりと白黒分けられるものではありません。
ものすごく単純化されたキャラクター設定が
結果的に感情移入する隙をなくしてしまっています。

やがて、冒頭の日本人留学生殺人事件の現場に現れた美女は
女装したブルースだった
ことがわかります。
ブルースは、どうやら妻と離婚したものの未練たらたらで
元妻を身近に感じたいから妻の格好をしているんだとか。
ふーん。としか、いいようがありませんな。
そもそもミステリーの作りとしてまったく盛り上がらないのですが
妻と娘を失ったことが、ブルースの自暴自棄な行動の動機だったとして
じゃあ、死体の少年=ブルースの兄(?)を
事故に見せかけて殺してしまったというトラウマは
どこへいったの? 関係ないじゃん!

なんか、思い浮かぶトラウマを盛り込んで
因果関係らしきものを描こうとはしているけれど
ここでも人間の心理に対するいいかげんな接し方が垣間見られて
到底、納得できるものではありません。

全てを失ったブルースは、昇格どころか制服警官に降格。
路上で助けようとした男(結局死亡)の
妻からもらったマフラーを使って、自殺を試みます。
ええええ〜?? 自殺?
そこまで思いつめていた動機もよくわからないし、
自己完結しすぎ。
さらには、首を吊る寸前にカメラ目線で
「ルールに例外なし」という、ピンと来ない捨て台詞……

こういうのを、カッコイイと思ってるんでしょうな。
はっきり申し上げて、ダサイです。

最後の最後まで
人生をナメきった作品でした。





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