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her 世界でひとつの彼女

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(原題: her 2013年/アメリカ 126分)
監督・脚本/スパイク・ジョーンズ 撮影/ホイテ・バン・ホイテマ 美術/K・K・バレット 衣装/ケイシー・ストーム 編集/エリック・ザンブランネン、ジェフ・ブキャナン 音楽/アーケイド・ファイア、オーウェン・パレット
出演/ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリビア・ワイルド、スカーレット・ヨハンソン、クリス・プラット、マット・レッシャー

概要とあらすじ
「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の奇才スパイク・ジョーンズ監督が、「かいじゅうたちのいるところ」以来4年ぶりに手がけた長編作品。近未来のロサンゼルスを舞台に、携帯電話の音声アシスタントに恋心を抱いた男を描いたラブストーリー。他人の代わりに思いを伝える手紙を書く代筆ライターのセオドアは、長年連れ添った妻と別れ、傷心の日々を送っていた。そんな時、コンピューターや携帯電話から発せられる人工知能OS「サマンサ」の個性的で魅力的な声にひかれ、次第に“彼女”と過ごす時間に幸せを感じるようになる。主人公セオドア役は「ザ・マスター」のホアキン・フェニックス。サマンサの声をスカーレット・ヨハンソンが担当した。ジョーンズ監督が長編では初めて単独で脚本も手がけ、第86回アカデミー賞で脚本賞を受賞。(映画.comより



言語化できない、それがLOVEっ!

心理学的なアプローチの作品が際だつ
スパイク・ジョーンズ監督『her 世界でひとつの彼女』です。
あいかわらず余計な副題がついてますが、気にしないことにして
これが長編4作目というのは意外でした。
製作でかかわった『脳内ニューヨーク(2008)』などもあるせいか
もっと多作な印象がありましたが
それくらい記憶に残る作品を作る監督ということなのでしょう。

AI(人工知能)に恋をする男の物語と聞いて
またひねくれた設定を思いついたなと、
『ラースと、その彼女(2007)』のPC版のような内容を
想像しておりました。
もしくは数年前に日本で流行した恋愛シミュレーションゲーム、
『ラブプラス』の進化形のようなシチュエーションに
PCおよびネットに依存する現代社会を
皮肉たっぷりに描くんだろ? そうだろ? 当たりだろ?
と思っていたのですが
一見、奇をてらったような設定は見せかけでしかなく、
恋愛心理の本質を問うような王道のラブストーリーでした。
そういえば、『ドン・ジョン』
生身の女性よりネットのエロ動画に興奮する男の物語でしたが
あのような現代社会に対する批評性も
この作品においては重要ではありません。
『ドン・ジョン』でエロ〜いヒロイン役だった
スカーレット・ヨハンソン
この作品では主人公が恋をするAIの声を演じているというのは
何の因果か。声だけの出演にも拘わらず、
スカジョがやっぱり「いい女」だったのは言うまでもありません。

PCのオペレーションのほとんどを音声認識で行なう
現在よりちょっとだけ先の未来。
具体的に20XX年というような設定はありませんが
建築物やインテリアにほんの少しだけ未来感があります。
主人公セオドア(ホアキン・フェニックス)の履いているズボンの
腰の位置が高かったりするのが、
一見ダサそうで新しい感じがするのは
「ファッションは繰り返す」という考えによって
デザインされているからだそうです。

離婚調停中の妻に対する未練を捨てきれないセオドアは
新発売の「OS1」をPCにインストールし、
そのAIであるサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)
徐々に親密な関係になっていきます。
PCのadminであるセオドアを
サマンサが積極的に理解しようと努めるのは
Amazonの「おすすめ」と同じ
どんどん精度が高まる「おすすめ」に
セオドアの気分がよくなるのは当然なのですが
徐々にサマンサのほうがセオドアに対して
恋愛感情を露わにするようになります。
やがて、セオドアがほかの女性と会うことに嫉妬したり、
皮膚感覚を求めるようになるのです。

生身の肉体を介してセオドアと接したいサマンサは
自分の代理となってくれる女性を捜し出し、
彼女を通じてセオドアと肉体的な愛を確かめ合おうとしますが
これ、非常にややこしいですな!!
「しばらく会えないから、これを私だと思ってね♡」なんつって
彼氏に自分の裸の写真をメールに添付して送るケースの
逆バージョンでしょう?


痴話げんかからの仲直りで
さらに愛情を深め合うセオドアとサマンサは
まるっきり生身の人間同士の恋愛とおんなじなのですが
いつしかサマンサが、すでに死んでいる哲学者の叡智を集めたAIと
なにやら「言語化できない」やりとりをしていることが発覚。
セオドアの嫉妬と疎外感は半端ないのです。
「言語化できない」という表現は、
プログラム間のデータのやりとりという以上に
言葉にできない恋愛感情というものを隠喩しているように思います。

ついには、サマンサは
セオドアと会話しながら同時に8000人以上と会話していることが判明、
しかもそのうち600人以上と恋愛関係にあることがわかり、
セオドアは打ちのめされます。
しかし、ここで重要になってくるのが
セオドアの仕事が、顧客の大切な相手に送る手紙の代筆だということ。
セオドアは多くの顧客の要望に応え、
手紙を受け取る相手が心地よくなるような文章を
本人に変わって日々考えているわけで
これはサマンサ=AIがやっていることと同じなのです。
セオドアは、いいかげんな文章で受取人を騙すつもりもないし、
自分でも出来のいい代筆に悦に入ることもあれば
周囲も彼の文章に感動し、賞賛してくれているのですから
AIであるサマンサが、多くのadminを満足させるためにしていることを
責める資格はないのです。
それでは、セオドアもサマンサも
後ろめたいことをしているのかというと
そうとも言えないのではないでしょうか。

先にも言ったように
この作品はAIとの恋愛という、近未来SFを装った
王道ラブストーリーです。
もしも、セオドアにセフレがいたら、
もっとテーマは明確になったのかもしれません。
恋をした相手に触れたい、抱きしめたいと思うのは
誰しも否定できないわけで
恋愛感情と性欲は非常に密接な関係だし、
その両方がいいバランスを保つことが必要になるのでしょう。
もしも肉体の触れ合い=セックスこそが重要ならば
「気持ち」は必要ないはずだし、
恋愛において、実体のない「気持ち」こそが重要なのであれば
相手がAIでもなんら問題ないはずです。

セオドアがデートした女性が
挑発的なセックスアピールをしておきながら
身体目当ての男はこりごりだと、
「気持ち」の繋がりをかなりせっついた様子でセオドアに求めるのと
肉体を持たず、「気持ち」しかないAIのサマンサとが対照的です。
同僚からダブルデートに誘われたセオドアが
「彼女の脚が好きなんだ」「あら、脚だけ?」という相手のカップルに
サマンサの魅力を聞き返されて応えに窮するのも象徴的です。

要するに、
「君のオッパイとお尻とアソコの締まり具合が大好きなんだ!」
と言われた女性は、ま、たいがい怒ると思いますが
「抱きたいとは思わないけど、君の知性と人間性が大好きだ!」
と言われた場合も釈然としないし、恋愛には発展しないでしょう。
肉体的な魅力を全て除外して、
人格的な魅力をデフォルメしたのがサマンサ
なのです。

それにしてもこの作品、
出てくる女性がみんな魅力的でした。
セオドアの元嫁のルーニー・マーラ
デートの相手のオリビア・ワイルド
サマンサの身代わりになるコも、みんなかわいい!
最近良作にでずっぱりのエイミー・アダムス
この作品が最もキュートでしたよ。
『ぼくのエリ 200歳の少女』『裏切りのサーカス』を撮影した
エリホイテ・ヴァン・ホイテマによる映像は終始ロマンチックで
女性たちの魅力を存分に引き立てていたと思います。

つーか、あのスカジョのOS、欲しいんですけど
どこで売ってますか?





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