" />

HAZARD ハザード

hazard.jpg



(2006年(公開)/日本 103分)
監督・原案/園子温 脚本/園子温、熊切和嘉 撮影/柳田裕男 音楽/原田智英、倉一宏 編集/掛須秀一 美術/丸山裕司
出演/オダギリジョー、ジェイ・ウェスト、深水元基、池内博之、椋名凛、萩原明子、村上諭、石丸謙二郎

概要とあらすじ
「自殺サークル」「紀子の食卓」の鬼才・園子温監督がオダギリジョーを主演に迎え、ニューヨークを舞台に若者たちの危険な日常を描いた青春ドラマ。退屈な学生生活にうんざりしていた日本の青年シンは、大学の図書館で見つけた本で、ニューヨークの犯罪都市「HAZARD(ハザード)」の存在を知る。刺激を求めて単身ニューヨークへと渡ったシンは、そこで出会ったギャングスターのリーやタケダと行動を共にするようになるが……。(映画.comより



なにからなにまで青臭い

公開されたのは2006年ですが
撮影されたのは2002年で、時代設定は1991年という
なんだかややこしい『HAZARD ハザード』
おそらく、文化庁の新進芸術家在外研修員として
1年間アメリカ留学した園子温監督の経験に
基づいてつくられているのでしょう。

ほとんどのシーンがニューヨークでのゲリラ撮影によるもので
16mmフィルムのざらざらした映像は
アメリカン・ニューシネマの雰囲気を意識してのことでしょうか。
独特の躍動感と熱気のようなものが感じ取れます。
ただ、全体を通してとにかく青臭い。

「眠い日本、でも眠れない日本」とつぶやく
シン(オダギリジョー)
図書館で偶然手にした本をみて、
ニューヨークに旅立つ決意をするのですが
シンがなぜ日本での生活に退屈しているのかという動機などは
一切描かれません。
当然ながら、園子温監督の心境を投影させているはずですが
園子温にとっては、日本から出て行きたい理由などいわずもがなで、
説明の必要などないということでしょうか。
シンが日本の生活に飽き飽きするエピソードはまったくなく、
決めた行き先が、なんだか危険がいっぱいで
刺激的そうなニューヨークとなると
やっぱり若者の青臭さが際だってしまいます。

ニューヨークに到着したシンは、
日系のリー(ジェイ・ウエスト)タケダ(深水元基)という
ふたりのチンピラに出会い、行動を共にするようになります。
日本が嫌でニューヨークに来たくせに、
つるむのはやっぱり日本人かよ、と思わなくもありませんが
ま、それは置いておくとして、
リーとタケダが強盗を繰り返す姿はただのギャングなわけで
まさか強盗をかっこいいと思ってはいないはずですが
これこそが自由だ! とでもいわんばかりの演出には
しらけるばかりです。
とくに、四六時中ラリってるようにハイテンションなリーが
「チェケラ!」「ユノー? メ〜ン!」と、とにかくうるさく、
バカなラッパーみたいで
見ているほうが恥ずかしくなってきます。

ニューヨークらしい(?)悪徳警官が登場して
リーたちからみかじめ料を取ったりしていましたが
それまで好き放題に犯罪行為を行なっていたリーが
特別なへまをやらかしたわけでもなく、
その警官によってリーが逮捕される理由も
よくわかりません。
なんかこう、理不尽な権力みたいなことなんでしょうか。
逮捕されたリーとシンがやり取りする
「見えないコイン」のくだりも
かなり甘ったるくて寒々しいのです。

あれやこれやと経験したシンは
たくましくなって(?)日本へ帰ってきます。
日本が嫌で飛び出したんだし、
そこそこ英語も喋れるようになったんだから
そのままニューヨークにいればいいじゃないかと思いますが
どういうわけか帰国します。
税関職員(石丸謙二郎)に、「見えないコイン」を見せて
「あんたが一生かかっても稼げない金だよ」とからむシンは
たくましくなったというより、ただ無礼になっただけです。

ラストシーン、
渋谷のスクランブル交差点で
からんできたチーマー(死語?)を逆にもてあそぶシンは
確かにたくましくなったと言えなくもないけれど、
そのいきがり方そのものが子供っぽく、
成長したというよりは、無鉄砲な子供に退行したようにしか
見えませんでした。

ところどころに挿入される幼い女の子のナレーション
どのような意図を持っているのかわかりませんが
この物語をひとつの寓話とするための手法のように思えます。

初期の園子温作品には
共通して青臭いルサンチマンが感じられますが
自主制作作品などにみられる痛々しいほどの青臭い訴求力には
心を動かされずにはいられないものの、
商業映画としてのエンターテイメント性を取り入れようとすると
ぞっとするほど空々しくも青臭い表現になってしまっているあたり、
やっぱり過渡期の作品なのかなあなんて思います。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ