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バウンド

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(原題: Bound 1996年/アメリカ 108分)
監督・脚本/アンディ・ウォシャウスキー、ラナ・ウォシャウスキー 撮影/ビル・ポープ 音楽/ドン・デイビス 編集監督/ロバート・ゴールドスタイン、アンドレア・ドパソ 編集/ザック・ステーンバーグ 衣装/デザインリジー・ガーディナー
出演/ジェニファー・ティリー、ジーナ・ガーション、ジョー・パントリアーノ、ジョン・P・ライアン、クリストファー・メローニ、リチャード・C・サラフィアン、ピーター・スペロス

概要とあらすじ
マフィアの金を奪って逃走せんとする2人の女の姿を描いたクライム・サスペンス。「暗殺者」「アンフォゲタブル」の脚本を手掛けたラリー(65年生まれ)とアンディ(68年生まれ)のウォシャウスキー兄弟が初監督と脚本、製作総指揮を兼ねた第1回作品で、ひねりの効いた脚本とユニークな人物設定、斬新な映像・音響設計など才気あふれるところを見せる。腕のいい盗みのプロ、コーキー(ジーナ・ガーション)は5年間の刑期を終えて出所した。彼女はマフィアのビアンキーニから、彼の所有するシカゴのアパートの内装と配管工事を任された。隣の部屋には、組織のマネーロンダリング担当のシーザー(ジョー・パントリアーノ)とその情婦ヴァイオレット(ジェニファー・ティリー)が住んでいた。(映画.comより抜粋



サスペンスの王道[詰め合わせ]

まだ「兄弟」だったころのウォシャウスキー兄弟による
初監督作『バウンド』
『マトリックス(1999)』で一躍有名監督になる3年前の作品で、
随所に『マトリックス』へと繫がるようなアイデアがみられます。
『マトリックス』のような大きな世界観ではないものの、
練り込まれた脚本に誰もが唸ることでしょう。

もちろん、この作品のほうが随分前に作られているのですが
『アデル、ブルーは熱い色』の記憶が生々しいもんで
コーキー(ジーナ・ガーション)をみると
『アデル〜』のエマが頭に浮かんできてしまいます。
レズの男役って、なんでみんなショートカットで
ニヒルににやっと笑うんでしょうな。そういうもん?
別に嫌いじゃないんだけど、共通する独特な格好の付け方が
ちょっとゾワっとします。

オープニングから凝ったカメラワークではじまり、
バスタブの排水溝につっこまれたホースなどなど、
セックスのイメージに溢れています。
シーザー(ジョー・パントリアーノ)の情婦、
ヴァイオレット(ジェニファー・ティリー)とコーキーは
たまたま同じエレベーターに乗っただけで一目惚れしますが
ふたりがお互いの気持ちを確かめ合って
一夜を共にしてからの痴話げんかという流れが
たいして尺を使っているわけでもないのに退屈に感じて
あれ〜、評判ほどじゃなかったかな、なんて思い始めていました。
もちろん、これは静かなる前振りだったわけです。

シーザーの仲間がクスねた大金を
さらにクスねようと考えたヴァイオレットは
コーキーに話を持ちかけます。
コーキーが5年間服役していた理由が仲間の裏切りだったことが
ヴァイオレットとの関係を最後まで信頼できないものにしています。
それでも、巧妙なトリックを思いついたコーキーが
ヴァイオレットに計画を説明していくくだり

それだけでワクワクするし、
計画を知っている観客もふたりの一味になったような気分になり、
シナリオ通りにいくの? いかないの? という
ハラハラドキドキを味わうことができる点で秀逸です。

シーザーと犬猿の仲である
ジョニー(クリストファー・メローニ)が金を持って逃げたと
シーザーに信じ込ませるのも、
ジョニーは騒ぐだけの能無しだけど親分の息子という
腹の立つキャラクターがしっかり伝わるからこその仕掛けで
案の定、シーザーは「やっぱりあの野郎か!」と
ヴァイオレットの話を鵜呑みにします。
ま、よくよく考えれば
自分の父親でもある親分の金を横取りして逃げるのに
一番ふさわしくないのがジョニーのはずなんですが。

ほぼほぼ、うまくいきそうだったコーキーの計画でしたが
シーザーだってそんなにバカじゃない。
ここで自分が逃げてしまえば、それこそ自分が疑われるってことで
動揺しながらも、彼は彼なりに知恵を絞るのです。
最初に登場したときは、ただいけ好かないだけの
脇役感たっぷりなシーザーでしたが
だんだんたくましさすら感じてきます。

ここからは、
ばれるの? ばれないの? 間に合うの? 間に合わないの?
っていう、サスペンスの王道テクニックが
小気味よく連続
して本当にワクワクします。
ついにコーキーの存在がシーザーにばれてしまうときの
冒頭から何度も登場した「壁が薄い」という設定が鍵となり、
見事な伏線になっています。
その直前にも、壁越しに電話で話すコーキーとヴァイオレットが
壁に手を当ててお互いの存在を確かめ合うシーン
(そして壁の上をまたいで移動するカメラワークも)
気が利いています。

よく考えれば、シーザーは
愛する情婦に裏切られて、身に覚えのない濡れ衣を着せられ、
なんとか生き延びようとじたばたした挙げ句に
結局、殺されて罪を着せられるのですから
気の毒っちゃ、気の毒ですな。

ほとんどがマンションの二部屋で繰り広げられるドラマは
ちょっと広めの密室劇という印象がないわけではないけれど
それが決してネガティブな要素にはならず、
むしろサスペンスの面白さが濃縮されているし、
壁一枚挟んでいるだけで、現場と司令室の関係のような
はがゆい隔絶感
も感じられて、
素晴らしい作品でした。
ウォシャウスキー姉弟は、近作の『クラウド・アトラス』とか、
どんどん物語が壮大になってわけがわからなくなっているので
こういうの、もっとつくってほしいもんですね。





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