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M★A★S★H マッシュ

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(原題:M*A*S*H アメリカ/1970年 116分)
監督/ロバート・アルトマン 製作/インゴー・プレミンジャー、レオン・エリクセン 原作/リチャード・フッカー 脚本/リング・ラードナー・Jr 撮影/ハロルド・E・スタイン 特撮/L・B・アボット 美術/アーサー・ロナーガン、ジャック・マーティン・スミス 編集/ダンフォード・B・グリーン 音楽/ジョニー・マンデル
出演/ドナルド・サザーランド、エリオット・グールド、トム・スケリット、ロバート・デュヴァル、サリー・ケラーマン、ジョー・アン・フラッグ、ゲイリー・バーゴフ、ロジャー・ボーウェン、ルネ・オーベルジョノワ

概要とあらすじ
1950年代、朝鮮戦争のさなか。第4077MASH(移動野戦外科病院)に、3人の外科医、ホークアイ、デューク、トラッパーが赴任。彼らはいずれも名医だったが、平気で軍規を無視し、とんでもない悪戯を繰り返す。やがてその行状を将軍が知るが……。軍医たちが巻き起こす騒動を描き、戦争や体制を風刺したブラック・コメディ。原作は実際に従軍医だったリチャード・フッカーの同名小説。カンヌ国際映画祭グランプリに輝き、アメリカン・ニューシネマの代表作として知られる傑作。(映画.comより



自殺は苦痛じゃない。気分が変わるもの。

傑作として名高い『M★A★S★H マッシュ』
大絶賛を浴びたのは、
長引くベトナム戦争(1960〜1975年)によって反戦の気運が高まった
当時の時代背景が大きく影響していたようです。
Bru-rayの特典映像には、当時のスタッフによるインタビューや
実際に朝鮮戦争に赴いた医者たちの証言がてんこもりで
楽しい内容になっておりました。

そんな特典映像のインタビューのなかで
ロバート・アルトマン監督
「ベトナム戦争を意識していた」と言うように
朝鮮戦争(1950〜1953年休戦)を舞台にしていながら
朝鮮らしさがまったくありません。
(日本のシーンも含め、ロケ地はすべてロスのサンタモニカ)
ひとりだけ登場する現地の朝鮮人のホー・ジョンという名前は
ちっとも朝鮮人らしくないし、
市街地が登場するシーンでは、看板にはハングル文字があるものの
頭に三角の笠を被った通行人が行き交い、そこはまるでホーチミン。
ま〜た西洋人のいいかげんなアジア観かと思うなかれ、
これも暗にベトナム戦争を表現するために意図されたものなのです。

「自殺は苦痛じゃない。気分が変わるもの。
 やるもやらぬも自分次第。好きにするがいい」

という皮肉な歌詞と相反する牧歌的なメロディーの
「もしもあの世に行けたなら(Suicide Is Painless)」をバックに
ヘリで運ばれてくる負傷兵を映し出したシニカルなオープニングが
この作品のすべてを物語っているのではないでしょうか。
(作詞をしたのは当時14歳のアルトマン監督の息子だとか)

MASH(Mobile Army Surgical Hospital=移動米軍外科病院)に
ホークアイ(ドナルド・サザーランド)
デューク(トム・スケリット)が外科医として着任し、
あとから加わったトラッパー(エリオット・グールド)の3人は
女に色目を使い、マティーニを飲み、
くだらないイタズラばかりを繰り返しています。
細かいジョークが連発するものの、
爆笑するまでには到らないのはアメリカンジョークになじめないからか。
とにかく、へらへら笑いながら
バカなことばっかりやっている3人を見ていると
あまりの傍若無人ぶりに呆れ始めてしまいます。
彼らの標的になるカタブツのフランク(ロバート・デュヴァル)
“ホットリップス”(サリー・ケラーマン)
むしろ気の毒に思えてくるほど。

とはいえ、ホークアイたちが優秀な外科医であることは間違いなさそうで
あいかわらず軽口はたたいているものの
仕事をないがしろにするようのことはないし、
急患で呼ばれれば、休憩中でもごねることなく患者の元へ向かいます。
実際にMASHにいた医師の証言によると
12時間勤務でシフトが組まれ、
3分以内で戻ってこれる距離にしか移動が許されず、

次から次へと送り込まれてくる負傷兵に対して医師の手が足りないので、
ひとりが80時間連続で執刀することもあったとか。
それほど過酷な状況だったということですが
そんな正気ではいられない状況だからこそ
ホークアイたちは、悪ふざけをすることで精神的な均衡を保っていたのです。

ホークアイが吹く口笛にいらっとするのですが
彼らの飄々とした態度と対比されるのが、血だらけの負傷兵たちの姿です。
負傷兵たちは、大声で喚いたり
セリフでなにか重要な事を言ったりするわけではありませんが
その血の量の多さにぎょっとし、現実に引き戻されます。
また、この作品は一応戦争映画でありながら
手術室のグロさと引き替えに戦闘シーンが一切登場しません。
それは、戦争そのものの非現実感を表していそうだし、
戦う目的を見失っているのに死者だけは増え続けるベトナム戦争を
暗喩しているように思えます。

自分はホモだと突然言い始め、
自殺を決意したペインレス(ジョン・シャック)のための送別会(?)が
ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を忠実に再現しているのが楽しいのはさておき、
その後、別の部隊とのアメフトの試合になるのですが
この試合のシーンが意外と長い。
そもそもアメフトという競技が、
前線で身体をぶつけ合い、後方から爆弾を敵地に投下した回数で勝敗を競う
擬似戦争スポーツ
といわれるように
(多かれ少なかれ、どの球技もそういわれるけれど)
アメフトがこの作品における戦闘シーンとなっているのではないでしょうか。
あいかわらず、ちょっとずれてはいるものの
からかわれっぱなしだったホットリップスが結構なじんでいて
一生懸命応援している姿が微笑ましいのです。

Bru-rayの特典映像には
制作当時の20世紀フォック上層部との駆け引きや、
出演者と監督との確執などなど
興味深い話がたくさん聞けますよ。
ぜひ。









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コメント

『M*A*S*H』に大影響うけました

高校生のとき『M*A*S*H』に大影響をうけました。
以来「悪ふざけをすることで精神的な均衡を保つ」は自分の座右の銘になってしまったようです。

ブログに「Suicide Is Painless」の和訳をのっけてます。
タイトル「自殺。正解。」
『M*A*S*H』なので、折り目正しくメチャクチャな超訳ですww
おひまなときに、ご一読を。


2015/05/14 (木) 14:06:36 | URL | 朕 #- [ 編集 ]

Re: 『M*A*S*H』に大影響うけました

> 朕さん
コメントありがとうございます。
「超訳」、拝見しました。原型を留めてませんね。
これは悪ふざけですw

2015/05/14 (木) 22:16:31 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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