" />

dot the I/ドット・ジ・アイ

dotthei.jpg



(原題:Dot the I 2003年/イギリス・スペイン合作 92分)
監督・脚本/マシュー・パークヒル 撮影/アフォンソ・ビアト 音楽/ハビエル・ナバレテ
出演/ガエル・ガルシア・ベルナル、ナタリア・ベルベケ、ジェームズ・ダーシー、トム・ハーディ

概要とあらすじ
独身最後のパーティで偶然居合わせた一人の男とキスしたことから、危険な三角関係に陥っていくヒロインをミステリアスに描いたラブ・サスペンス。主演は「天国の口、終りの楽園。」のガエル・ガルシア・ベルナル。監督はこれが長編デビューのマシュー・パークヒル。ロンドンに暮らす美しいスペイン人美女カルメンは、郊外の邸宅で優雅な生活を送る優しい恋人バーナビーにプロポーズされ、承諾する。ある夜カルメンは、女友達だけで独身最後のパーティを開いた。そしてパーティの決まりに従い、その場にいる一番セクシーな男性とキスすることになった彼女は、ビデオカメラを手にした青年キットを選ぶ。ゲーム気分の気楽なキスのはずが、唇を重ねた瞬間、彼女はキットこそ運命の男だと確信してしまう。やがて、何かに導かれるように再会する2人だが……。(映画.comより



そのセリフ、そのまま返すわ

普段から、これは面白そうだと思った映画は
それ以上の情報を仕入れないようにしているのですが
ひとから勧められた作品の場合には
なおさら何にも考えず、とにかく観てみることにしています。
でも、『dot the I/ドット・ジ・アイ』を観たあとでは
どんな作品なのか少しは知っておいたほうがよかったような気もするし、
やっぱり何も知らずに観てよかったような気もする……
ま、どちらにせよ僕には作品の出来に
納得がいかなかったのは間違いありません。

そんなかんじで鑑賞に挑んでいるもんですから
冒頭の、微笑む彼女をデジタルカメラで撮影するという
リア充シーン
に舌打ちしつつ、
これは恋愛映画なんだと思いながら観始めたわけです。
それは間違いではないし、
結果的にみれば監督の企みにまんまとはめられていたことになるので
「いい客」だといわれても、やぶさかではないのですが
僕にとって問題だったのは
最も重要なフリの部分に当たる、作品の前半を占めるこの恋愛模様
腹が立って腹が立って、どうしようもなかったことです。

結婚を目前にした花嫁が
最後の独身生活を楽しむというヘンナイト・パーティー
カルメン(ナタリア・ベルベケ)が女友達と共に
男装しておかっぱに付けひげをつけていたまでは
あら、いいじゃないのと思ったものの、
パーティーのルールによって店内の男と独身最後のキスをしなければならず、
キット(ガエル・ガルシア・ベルナル)がカルメンに指名され、
ふたりは軽くチューをしてみなが拍手で祝福するところを
ふたりは盛り上がってなかなかチューをやめない、と。
要は、ちょっとしたジョークのつもりが本気で恋に落ちちゃったわ、と……

このあたりから、僕の眉間は徐々に皺を刻み始めたのですが
進行が性急すぎて少しも物語に没入できないのです。
ほとんど登場人物の感情の起伏が描かれることなく、
満足できない結婚と本当の愛情との間で
引き裂かれるカルメンの悲恋を押しつけてくるだけで
どう見てもカルメンはマリッジ・ブルーのビッチにしかみえません。
また、カルメンが冒頭のプロポーズを受けた頃までの可憐なイメージと
キットと行動を共にするようになったころのアバズレな印象とが
まるで別人のようで、一体どういう人間なのかさっぱりわかりません。
キットは、どこまでもずうずうしくカルメンにつきまとい、
なにを勘違いしたらお前みたいな小汚いチビが
結婚間近の女性にぐいぐいアピールできるのか
、キットの神経を疑うばかり。
カルメンに嫉妬深いと思われている
旦那のバーナビー(ジェームズ・ダーシー)の行動は至極真っ当で
だんだん不憫に思えてくる始末。

ダッサダサの音楽とともに、あまりに腹立たしい展開に
僕はリモコンの2倍速のボタンを押しました。
めったに早送りで観るようなことはしないのですが
観るのを止めてしまいたいという気持ちをなんとか踏みとどめたのです。
えらいぞ、オレ。

テキパキ動く登場人物たちをしらけながら眺めていると
なにやら展開が変わったようす……
どうやら前半は、映画監督を目指すバーナビーが
自分の婚約者であるカルメンを誘惑させるためにキットを雇い、
マリッジ・ブルーに揺れるカルメンを隠しカメラを駆使して撮影し、
一本の映画として完成させようとする企み
だったことがわかります。

たしかに、胸くそ悪い恋愛委劇が繰り広げられる前半のなかに
ときおり意味不明なデジタルカメラによる映像が挿入されていたりしましたが
どうやらあれががらりと変わる後半の展開へのヒントだったようです。
本来ならここで、ええ〜っ! こんなことになるの?
と、驚かせたいところでしょうが
前半で十分にしらけきっているため、ああ、そういうことがしたいのかと
まったく主語を用いないでぺらぺら喋り続ける馬鹿女の話の内容を
やっと整理できたときのような徒労感しか感じません。
前半の物語がフェイクなのはいいとしても
くだらない展開だけど、なにかがおかしいぞ、なんかあるぞと
興味を持続させてくれなければなりません。
それには、細かいカットで真実をチラ見せするのではなく、
回想であったようにバーナビーがおいおい泣いた後で
にやっと笑う瞬間をとらえるだとかのほうが効果的ではないでしょうか。

その後、自主制作の映画祭に作品を出品したバーナビー。
その作品は「三角関係をリアルに描いている」という理由により
満場一致で賞を受賞しますが
隠しカメラで撮られた映像は本当に「リアル」なんでしょうか。
ましてや三角関係という複雑な心理を
隠しカメラでとらえることは可能でしょうか。
あきらかにどんでん返しを目的として作られたこの作品は
その対比としてのリアリティを勘違いしているように感じます。
そのようなリアリティに対する認識の軽薄さが
前半のようにぐだぐだな展開でも許容してしまうのではないでしょうか。
いっそのこと、前半はすべて手持ちカメラのPOVで通したほうが
むしろ潔かったと思うのです。

タイトルの「dot the I」とは
「dot the i's and cross t's」という慣用句からとられていて
最後にはちゃんとアイの点を打てよということで
「細かいところに注意を払う」という意味だそうです。

細かいところに注意を払う、か……お前がな!!





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ