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ホドロフスキーのDUNE

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(原題: Jodorowsky's Dune 2013年/アメリカ 90分)
監督/フランク・パビッチ 撮影/デビッド・カバロ 編集/アレックス・リッチアーディ、ポール・ドハーティ 音楽/カート・シュテンツェル
出演/アレハンドロ・ホドロフスキー、ミシェル・セイドゥー、H・R・ギーガー、クリス・フォス、ブロンティス・ホドロフスキー、リチャード・スタンリー、デバン・ファラシ、ドリュー・マクウィーニー、ゲイリー・カーツ、ニコラス・ウィンディング・レフン、ダン・オバノン

概要とあらすじ
「ホーリー・マウンテン」「エル・トポ」などでカルト的人気を誇る奇才アレハンドロ・ホドロフスキー監督が映画化に挑んだものの、実現に至らず失敗に終わった幻のSF大作「DUNE」。フランク・ハーバートの「デューン 砂の惑星」を原作に、サルバドール・ダリやミック・ジャガー、オーソン・ウェルズ、メビウス、H・R・ギーガー、ピンク・フロイドら豪華スタッフ&キャストをそろえながらも、撮影前に頓挫した同作の驚きの企画内容や製作中止に追い込まれていった過程を、ホドロフスキー自身やプロデューサー、関係者へのインタビュー、膨大なデザイン画や資料などから明らかにしていくドキュメンタリー。(映画.comより



客観的に判断し、魂で決断する

新宿シネマカリテで開催された
「カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2014」
オープニング上映『ホドロフスキーのDUNE』を観るために
少し早めに劇場に着くと、なにやら輝きを放つ女性を発見。
黒でキメたその女性をいい女だな〜なんてチラ見していると
やぼったそうなふたりの男性が遅れて到着したので
なんだよつまんねえなと思いながら席に着いたら
なんと、上映前にその3人が登場。
『チチを撮りに』の中野量太監督と俳優さんでした。
やぼったいなんつって、失礼しましたー。

つい先日、残念ながら
H・R・ギーガーが74歳で亡くなってしまいましたが
今年85歳になるホドロフスキーは
元気などころか、エネルギーに満ちあふれているようです。
ご多分に漏れず、『エルトポ』にはじまって、
『ホーリー・マウンテン』『サンタ・サングレ/聖なる血』
観てきたのですが
長年映画作りから遠ざかっていたホドロフスキーがいまだに健在で、
幻のSF大作『DUNE』の製作過程を熱く語る姿は
それ自体が奇跡のようにも感じます。

『DUNE』はフランク・ハーバート原作の小説ですが
監督・脚本・主演と、作品のすべてにかかわり、
自身の世界観と美意識を徹底して表現してきたホドロフスキーは
まぎれもない孤高の芸術家だとは思うものの
この作品をみていると
彼が非常に個性的でありながら、
ちっとも独善的な人間ではない
ことがわかります。
自分が思い描くビジョンに従って、
メビウス、ダン・オバノン、H・R・ギーガーという才能に目をつけて
彼らスタッフが最大限の能力を発揮できるように振る舞う姿勢は
相手の個性に対する敬意に溢れています。
強烈な才能を持った多くのスタッフを扱うのは
かなり難しいことだと思いますが
ホドロフスキーは芸術を共有できる人間を求めているのであって
スタッフたちをコントロールしようという気がないのでしょう。
そのかわり、芸術を共有できるかどうかということについては
一切の妥協がないようです。

ホドロフスキーの頭の中にあるビジョンに沿って
美術を担当するスタッフたちが手がけたデザインは
どれもこれも恐ろしいほど完成度が高く、
この時点でかなり価値の高いものと思われます。
なかでも、メビウスが描いた絵コンテ
その技術の高さには唸るほかなく、
あとはただ、絵コンテ通りに撮影すればいいような出来です。
その絵コンテを素材にして、
ホドロフスキーがイメージしていたオープニング・シーンを
シミュレーションしてみせたアニメ
が秀逸で、
このままこの続きを観たいと思うほどでした。

準備段階にもかかわらず、
誰もが大傑作間違いなしと認める企画でありながら
映画会社の意向で
ホドロフスキーを監督から外せといわれ、
企画が頓挫してします。
さぞかしホドロフスキーの絶望は深かったことでしょう。
なにしろホドロフスキーあっての『DUNE』だったのに
最も肝心な彼を外してしまうのですから
金の勘定しかできない連中ってのは、
本当にどうしようもないクズです。

売ることだけを考えている人間の言うとおりにつくって
商品が売れた試しなどありません。
彼らのほとんどは、
商品を売って儲けたいと考えているにもかかわらず
商品が売れるということがどういうことなのか
まともに考えたこともないのです。
客を喜ばせるために新しいものを生み出す能力のない彼らは
すでにヒットしたものをコピーするのが関の山で、
そんなものがヒットするわけもなく、
結果的に儲かりもしないのですが
どんな分野でもこんなバカは永遠に消え去ることはないでしょう。
ま、ホドロフスキーが考えていた『DUNE』の上映時間が12時間!
ていうのは、さすがに無茶だと思いますが。

ずいぶん映画から話が逸れてしまいましたな。
インタビューに答えるホドロフスキーは
終始饒舌ではありましたが
ポケットから取り出した金を握りしめて
「こいつが悪いんだ!」というときの表情は
それまでと違った怒りに満ち、目線はインタビュアーではなく
カメラに向けられていました。

ホドロフスキーを外した『DUNE』は
デビッド・リンチが監督することに。
絶望していたホドロフスキーは
「リンチほどの監督なら、素晴らしい作品になるに違いない」
ここでも客観的な視点とほかの作家に対する敬意をみせています。
とはいえ、自分の手で実現できなかった悔しさはあるわけですが
デビッド・リンチの『DUNE』を観たがらなかった彼が
息子に尻を叩かれて映画館に行ったときの感想が最高です。
「徐々にうれしくなってきたんだ。これは失敗作だってね!」

略して「カリコレ」の初日ということもあって
上映終了後には配給会社UPLINK代表の
浅井隆氏によるトーク
があって、
カンヌ映画祭での本作品の買い付けや
ホドロフスキーが来日した際のエピソードなど
現場にたずさわる方にしかわからない裏話が聞けました。
なかでも興味深かったのは
ホドロフスキーの『DUNE』の斬新なアイデアが
さまざまなSF作品に影響を与えていることを示すために
『スターウォーズ』『エイリアン』など多数の作品のワンシーン
引用されていたのですが
これらの映像には使用料が一切かかっておらず、
なんと監督がBru-rayから映像をコピーしたのだとか。
これは「フェアユース」と呼ばれるそうで、
あきらかに悪意のない引用と判断されるものには
使用権が発生しないそうです。
お金がかかったのは、ミック・ジャガーの写真と
ピンク・フロイドのライブ映像だけ
だそうで。

そしてそして、ホドロフスキー23年ぶりの新作
『リアリティのダンス』へ。
楽しみ。





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