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血のバケツ

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(原題:A BUCKET OF BLOOD 1959年/アメリカ 66分)
監督/ロジャー・コーマン 脚本/チャールズ・B・グリフィス 撮影/ジャック・R・マークエット 音楽/フレッド・カッツ
出演/ディック・ミラー、バルボーラ・モリス、アントニー・カーボーン、エド・ネルソン、ジョン・シェイナー、バート・コンヴィ、ブルーノ・ヴェソタ

概要とあらすじ
芸術家が集うカフェで給仕の仕事をしているウォルター(ディック・ミラー)の夢は、彫刻家として有名になる事だった。ある日、彼はアパートの大家が飼っている猫を過失から殺してしまう。そして翌日、彼は彫刻家として最初の作品をカフェに持ち込む。粘度で作られた彫刻のタイトルは「死んだ猫」。美術商でもあるカフェのオーナーがそれを店に飾ると大評判になり、今まで冷たかった客達もウォルターに一目おく様になる。しかし、オーナーはふとした偶然から、彫刻の中に猫の死骸が入っていることに気付く。そこにウォルターが現れ、今度は人間の男を作ったと言う……。ウォルター役のディック・ミラーは、低予算ホラー映画の常連としてマニアにはお馴染みの俳優。ジョー・ダンテの『グレムリン』や、スピルバーグの『1941』等への出演でも知られているが、TV版「マイアミ・バイス」の脚本を手掛けるなど多彩な才能の持ち主でもある。監督のロジャー・コーマンは、代表作「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(1960)を2日間で撮影し、そのセットを流用して5日間でこの作品を撮り終えた。(Amazonより抜粋



ゲージツの話をしよう

B級映画の帝王ロジャー・コーマン
自らメガホンを取った『血のバケツ』です。
上の紹介にもあるように
2日間で撮影した『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の
セットを流用して5日間で撮影した
というあたりに、
ロジャー・コーマンらしいコストパフォーマンスを感じるものの
数ある扇情的な作品群の中でも
かなりシリアスで大まじめに作られた作品なのではないでしょうか。

「芸術の話をしよう」というセリフで始まる
ひげ面の男のポエトリー・リーディングが行なわれているのは
パブのようであるけれど、
おそらくは文化人や芸術家が集うサロンと呼ばれるような場所なのでしょう。
サックスのアドリブ演奏に乗せて朗々と詩を読むひげ面の詩人は
自身のことを「ビート族」だといっていることからも
アレン・ギンズバーグをイメージしてるのでしょうか。
しきりに、みな芸術家たれと創作活動を鼓舞しています。

そこでウェイターをやっているのが
ウォルター(ディック・ミラー)
いつもおどおどして、ちょっと頭が弱そうなウォルターは
周囲からからかわれてばかりですが
彼も芸術家たちの仲間入りをしたいと考えています。
基地外と芸術家が紙一重であるという意味において
ウォルターの「ちょっと頭が弱そう」な設定というのは
効果的であるように思います。

サロンには、ヘロイン売買の現場を押さえようと
私服刑事が交替で張り込みをしているのですが
その後の展開のきっかけにはなるものの、あまり重要ではなく
なんとなくノワールな雰囲気を醸し出すために用意されたのではないかと
思いたくなります。

とにかく芸術家になりたいウォルターは、
粘土を買い込んで彫刻を作ろうとすれど、技術も才能もまったくなし。
おせっかいな大家が飼っていた猫の鳴き声にいらだっていると、
どうやら猫は壁のなかに迷い込んで出られなくなっているようす。
いま、助けてやるからなとばかりに
ナイフを壁に突き立てたウォルターは猫を刺し殺してしまいます。
嘆くウォルターでしたが、はたとアイデアを思いつき、
ナイフが刺さったままの猫の死体の上に粘土を塗り、
彫刻作品としてサロンで披露すると、これが大評判。

ウォルターは一躍新進気鋭の芸術家として
認められるようになるのですが、
やがて彼の「モデル」は猫から人間へとエスカレートし……

てな具合に、ウォルターは破滅の一途を辿ることになるのですが
猫の死体に粘土を塗りたくった「彫刻」を絶賛する芸術家たちの
審美眼のいかがわしさが浮き彫りになっているのが皮肉で
あきらかにそのような芸術家たちをコケにする意図が窺えます。
どっからどうみてもゴミにしか見えないような物でも
顎に手を当てて「う〜む。これは画期的な表現だ」などと
詭弁を繰り返す芸術に対して、中指を立てているように感じるのです。

『コーマン帝国』でも書きましたが
どうもロジャー・コーマンは
芸術とエンターテイメントの垣根を壊そうとしているように感じます。
それは芸術に対する反抗心は
コーマン自身のコンプレックスが原因なのかも知れませんが
エンタメか芸術かという、不毛な対立を解きはなって
いいものはいい、悪いものは悪いというシンプルな価値基準へと
立ち返らんとする試みのように感じるのです。

自分の考えに引き寄せて、この作品を解釈しようとしているきらいは
多分にあるかもしれませんが
この作品のサスペンスの裏に隠された
ロジャー・コーマンのくすぶる怒りの炎を
感じとらずにはおれません。





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