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エリジウム

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(原題: Elysium 2013年/アメリカ 109分)
監督・脚本/ニール・ブロムカンプ 製作総指揮/スー・ベイドン=パウエル 撮影/トレント・オパロック 美術/フィリップ・アイビー 衣装/エイプリル・フェリー 編集/ジュリアン・クラーク、リー・スミス 音楽/ライアン・エイモン
出演/マット・デイモン、ジョディ・フォスター、シャルト・コプリー、アリシー・ブラガ、ディエゴ・ルナ、バグネル・モーラ、ウィリアム・フィクトナー、ファラン・タヒール、ブランドン・オーレ、ジョシュ・ブラッカー、エマ・トレンブレイ

概要とあらすじ
「第9地区」のニール・ブロムカンプ監督がマット・デイモンを主演に迎え、富裕層と貧困層に二分された世界を舞台に描くSFサスペンスアクション。2154年、人類はスペースコロニー「エリジウム」に暮らす富裕層と、荒廃した地球に取り残された貧困層とに二分されていた。地球に住む労働者で、事故により余命5日と宣告されたマックスは、エリジウムにはどんな病気でも治すことができる特殊な装置があることを知り、厳しい移民法で出入りが制限されているエリジウムへ潜入を試みる。エリジウム政府高官役でジョディ・フォスターが共演。「第9地区」のシャルト・コプリーも出演。(映画.comより



気にするな。次だ、次!

『第9地区』で才能を見込まれたニール・ブロムカンプ監督
潤沢な予算と豪華なキャスティングで作った新作『エリジウム』
図らずも結果的には、
お金をかければ作品の出来がよくなるわけではないということを
証明してしまったようです。

それにしても不思議なのは
単純に考えると、予算が増えれば
予算がなくて断念せざるを得なかったこともやれるようになるはずで
作り手としては大歓迎なはずなのですが
予算の増加が作品の出来にプラスアルファをもたらさないのは
なぜなんでしょう。
大金を渡された途端に
ブロムカンプ監督のセンスが鈍ったわけじゃあるまいし、
だとすればやっぱり、予算が増えた分、
作品に口を出す人間も増えたということなのではないでしょうか。
どんな世界にもよくあることで、対処が難しいのですが
作品づくりに口を出す人間が増えれば増えるほど
作品の質は落ちていくのが常
なのです。
ものづくりにおいて、合議制民主主義など害悪でしかありません。
作家の才能を見込んで出資したのならば
あとは黙って作品のできあがりを待つ、というのが理想なのですが
金を出したからには意見を言わせろという馬鹿が多いので
困ったことになるのですよ。
ま、監督に任せすぎて潰れてしまった映画会社もあるのですが。

前置きが長くなってしまいましたが
そんなわけで、この作品は『第9地区』ほどの斬新さがありません。
舞台を南アフリカからロス・アンジェルスに移し、
人種差別を格差社会へと置き換えて
ほとんど同じテーマで描かれてはいるものの、切実さがないのです。
SFというエンターテイメントの仮面を被ることで
かえって現実の理不尽な構造をあぶり出した『第9地区』と違い、
現代の格差社会の構造を単純な善悪に設定したがために
まるで選挙演説のように陳腐なメッセージになってしまっています。

貧民街の描写はお手の物だし、
あっけないと思えるほどのゴア表現にはらしさを感じるものの
編集のテンポがずっとあわただしく小刻みで
全体として緩急に乏しいといえます。

設定自体にもいろいろと齟齬を感じる部分が大いにあって、
エリジウムの管理システムってかなり脆弱だし、
地球に住む人間たちも超ハイテクなのだから
いくらでも攻撃できるよなとか、
エリジウムの総裁に平気で楯突くジョディ・フォスターが自由すぎて
どういう管理社会なのかピンと来ないとか、
すっかり歳をとって皺が深くなった、そのジョディ・フォスターは
なぜポッドで若返らないのか
とか(大きなお世話か)
会社のCEO自らが
エリジウム再起動のプログラミングをする
のもどうかと思うけど、
自分の頭にシステムを記憶するのは
そもそもリスクが高すぎないか
とか。
あと、白血病の娘が唐突に語る「カバとミーアキャット」のお話も
あまりにも状況にどんぴしゃすぎて
お見通しかっ! とかとか。

愛する女性と少女を救うために自己犠牲を厭わないヒーローというのは
これまでになんども映画で観たことがある気がしますが
良心的に推察すると、この作品のテーマにおいては、
主人公の自己犠牲は単にヒロイックな行動ではなく
利己的にならずに譲り合うことという主張を受け取れなくもありません。

どんなケガや病気でもポッドにはいって治してしまえば
おそらく死ぬこともなくなるのでしょうが
決して死なない世界って、本当に願うべきものなんでしょうか。
いろんなことがどうでもよくなって、
つまんないような気がするけどな。





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