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死霊館

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(原題: The Conjuring 2013年/アメリカ 112分)
監督/ジェームズ・ワン 脚本/チャド・ヘイズ、ケイリー・W・ヘイズ 撮影/ジョン・R・レオネッティ 美術/ジュリー・バーゴフ 編集/カーク・モッリ 音楽/ジョセフ・ビシャラ
出演/ベラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、ロン・リビングストン、リリ・テイラー

概要とあらすじ
「ソウ」「インシディアス」のジェームズ・ワン監督が実話をベースに描き、全米ではR指定ながらも興行収入1億ドルを突破する大ヒットを記録したホラー。1971年、アメリカ・ロードアイランド州に建つ一軒家に、両親と5人の娘たちが引っ越してくる。古ぼけてはいるが広々とした夢のマイホームに沸き立つ一家だったが、奇妙な現象が次々と発生。娘たちに危害が及んだことから、一家は心霊学者のウォーレン夫妻に助けを求める。夫妻が周囲の土地を調べると、恐るべき血ぬられた歴史が明らかになり、夫妻は一家を救おうと館に巣食う邪悪なものに立ち向かうが……。ウォーレン夫妻にパトリック・ウィルソンとベラ・ファーミガが扮する。(映画.comより



目隠しかくれんぼ、お断りします。

冒頭に「これは事実を元にしています」と謳っているからといって
鵜呑みにしてはいけないのがホラー映画。
結構、本気で嘘をついているケースがあるのは事実です。
ま、手品の「種も仕掛けもございません」という口上と同じだと思えば
騙されたと腹を立てる気にもならないのですが
この『死霊館』の場合は、ほんとにほんと、実話のようです。

引っ越した新居がじつは呪われていたというホラー映画
枚挙にいとまがないほど何度も作られてきました。
そこには住み慣れない家の居心地の悪さだとか
場所そのものに対する土地勘の無さだとかが入り交じり、
たとえ悪霊が出てこずとも誰もが感じる新生活の不安を基板にして
そんなところに引っ越してしまった運命のイタズラをトッピングしながら
構成されています。
それはバカンスのために偶然立ち寄った空き家や別荘も同じでしょう。
だからこそ、何度も題材として採用されるのではないでしょうか。
でも、それはホラー映画の題材としての話。
これ、事実ですから。
むしろこの事実を元に多くのホラー映画が作られたのではないかと
思いたくなるほどです。
『悪魔の棲む家』はこの超常現象夫婦の話を参考にしているそうな)

とはいえ、いくら事実だからといって
だって、事実だもん! で済まされないほど
ホラー映画としてはあまりにもベタな設定です。
ドキュメンタリーとして描かずに
エンターテイメントとして成立させるためには
事実に即していればいい訳ではありません。
ドキュメンタリーとエンターテイメントの中間をねらった
モキュメンタリーやファウンド・フッテージものもありますが
正統派というか、王道というか、伝統的というか
とにかく真っ当に怖がらせようとした制作の態度に気概を感じます。
その勇気ある試みは成功したといえるのではないでしょうか。

その証拠に、この作品には
過剰なゴア表現や大量の血しぶきなどは登場しません。
『フッテージ』『ポゼッション』を思うと
むしろ、これが最近の流行なのかもしれませんが
まずは、いかにも幸せそうな家族の交流を描き、
それをバネにして後半の呪われた家の描写へとじっくり準備しています。
あまりにもじっくり準備しているのでダレそうになると
犬が死んだりする小ネタで引っ張ります。

基本的には、脅かし系の怖さですが
腹が立つほど巧妙に計算された脅かしには
素直に、わあ! と叫んだあとに悔しい気分にさせてくれます。
じゃあ、それがありきたりでつまらないのかと言えば
そうでもないんだよな〜、これが。
ドアが勝手に開いたとかいう、地味〜な現象をしつこく繰り返すので
ホラー映画を見慣れた人間にとってはなおさら
恐怖の派手さを求めるよりも原初的な恐怖へと立ち返らせてくれるのです。

恐がりのくせに、ホラー映画が大好きな僕は
いい年こいた今でも、寝てるときに脚を引っ張られたと勝手に想像して
勝手に怖がっているのですが、
(未だに一度も引っ張られたことがないけど)
この作品は、布団に入ったときにふっと浮かぶ妄想だとか、
なんとなく鏡を見るのが怖くなったりだとか
日常的な恐怖を思い起こさせてくれるのです。
要するに、恐ろしいことが起こった事実よりも
恐ろしいことが起こるかも知れないと思っている状態が一番恐ろしいのです。
ジェームズ・ワン監督は、薄っぺらい専門学校生みたいな風貌ですが
そのことをよーくご存じなのでしょう。

余談ですが、
世の中には超常現象や心霊現象を全否定する人たちがいて
一昔前にテレビに頻繁に登場していた某教授が
人魂は天然ガスにたまさか火がついたものだとして
墓地にアクリルで作った透明なパイプを設置し、
人魂の動きを再現していたのをみて、違和感を感じたのですが
たとえ同じ現象を別の方法で再現できたからといって
もともとの体験が偽りか錯覚であると証明するのは無理があるでしょう。
それはあたかも、プリンに醤油をかければウニの味がするから
君が食べたのはウニではない
といっているようなものだし、
そもそも霊体験をしたすべての人が
思い違いをしたり、嘘をついていると断定してしまうほうが
よっぽど狂信的なような気がするのです。

作品に話を戻しますと
終盤で悪魔に乗りうつられた母親が椅子に縛り付けられるシーンでは
特殊メイクなり、CGなりを使って
最もおぞましいビジュアル表現が可能であるにもかかわらず
母親は布にくるまれて表情が窺えず、
口から吐いた血が布ににじんでいく
という描写は
先述したような、想像させて怖がらせる表現の最たるものでした。
また、地下室で母親がエラいことになっている間、
東洋系の助手がいなくなった末っ子を捜すという
同時進行のサスペンス
が見事でした。

本件とは直接関係のない呪われた人形のエピソードから始まる脚本も
効果的だったと思うし、
なにからなにまでベタなお話でありながら
よくぞここまで盛り上げてくれました。
監督&スタッフ&出演者の手腕に拍手であります。







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