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サイド・エフェクト

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(原題: Side Effects 2013年/アメリカ 106分)
監督/スティーブン・ソダーバーグ 脚本/スコット・Z・バーンズ 美術/ハワード・カミングス 衣装/スーザン・ライアル 音楽/トーマス・ニューマン
出演/ジュード・ロウ、ルーニー・マーラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタム、アン・ダウド

概要とあらすじ
スティーブン・ソダーバーグ監督が、薬の副作用が招いた殺人事件と、その事件に潜む陰謀を描いたサスペンス。幸福な生活を送っていたエミリーは、夫がインサイダー取引で収監されたことをきっかけに、かつて患ったうつ病が再発。精神科医のバンクスが処方した新薬により、うつ症状は改善されたものの副作用で夢遊病を発症し、やがて無意識状態のまま殺人を犯してしまう。主治医としての責任を問われ、社会的信頼を失ったバンクスは、エミリーに処方した新薬について独自に調査を開始。やがて衝撃的な真実にたどりつく。バンクス役のジュード・ロウ、エミリー役のルーニー・マーラほか、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタムら豪華キャストが集う。ソダーバーグの社会派作品「インフォーマント!」「コンテイジョン」も手がけたスコット・Z・バーンズが脚本を担当。(映画.comより



あなたは正気ですか?

観てみたいと思った映画は
最低限の情報以上は仕入れないように注意してから
映画を観るようにしているので
ネタバレを過剰に嫌う人たちの気持ちは微塵も理解できないし、
ネタバレしたからといって
ずべての映画の魅力が損なわれるわけではないと考えているからこそ
このブログも基本的にネタバレ前提でやっているのですが
なかには、ネタバレしてしまうと魅力が激減してしまうような
初回の鑑賞に賭けた、いわば出オチ作品もあるわけです。
たとえば『シックス・センス』のような。
じつはね……『シックス・センス』に登場するブルース・ウィルスは……
すでに、ハゲはじめてるんです!!

言っちゃった! ネタバレ、御免!

この『サイド・エフェクト』
あっと驚く大転換が最大の魅力なので
完全にネタバレなしにしようかと、0.2秒ほど考え込みましたが
いつもどおり、とくに気にしないで書くことにしました。
だって、ネタバレ気にするなら
映画サイトの紹介記事読んどけって話なのじゃよ。

紹介記事を読んでいても
「サイド・エフェクト」=副作用ってことぐらいしか
覚えていなかった僕は
いかにも可憐で美しいエミリー(ルーニー・マーラ)
いかにも理知的で誠実そうなジョナサン(ジュード・ロウ)をみて
その通りの印象を登場人物たちにもって観ていました。
我ながら、いい客です。
オープニングで謎めいた血の足跡が示されていても
エミリーが精神を病んでいるのは、
夫(チャニング・テイタム)の逮捕やその後の流産など、
それなりに疾患の引き金となる条件が整っているので
どんどんエミリーは病状を深刻なものにしていくのだろうと
考えていました。

ところが突然、
エミリーが夫を刺し殺してしまうという凶行に出て
物語が一変。
このシーンの唐突な編集は見事だと思いましたが
このあたりはまだ予想の範囲内。
エミリーが凶行に及んだのは
ジョナサンが処方した「アブリクサ」という抗うつ剤の
副作用が原因だという疑惑が持ち上がり、
ジョナサンは窮地に陥って
物語は法廷劇の様相を呈してきます。

製薬会社との契約で
患者に新薬のモニターをさせるジョナサンが
金に目がくらんだのは否定できないものの
彼の行為は違法行為でも裏取引でもないわけで
ジョナサンに落ち度はないはずなのですが
信用を失ったジョナサンに対する周囲の態度の豹変ぶりがおぞましい。
もっとも腹立たしいのは、ジョナサンの嫁
連れ子を養ってもらっているうえに、
自分の就職のことで頭がいっぱいで、
ジョナサンの苦悩を思いやるわけでもなく
マスコミの報道や噂や正体不明の手紙に騙されて
目の前にいるジョナサンがいくら訴えても聞く耳を持たず
ジョナサンを非難しはじめる始末。
これはまさしく精神病患者に対する態度と同じでしょう。
本人を信用せず、ジョナサンに三行半をつきつけて出て行った嫁が
ラストシーンでぬけぬけと元の鞘に収まっていたのは
許せません。

バカ嫁に愛想を尽かされながらも
自分の身の潔白を証明するために奔走するジョナサンに
次々と現れるヒントは、かなり都合のいいものでしたが
「眠くなるよ」という前置きでジョナサンがエミリーに
クスリを注射すると、エミリーは話している途中で眠ってしまうのですが
じつはそのクスリはただの食塩水だったと明かされた瞬間には
のけぞりました。
ここが最大のネタバレポイントで
エミリーはもともと精神を病んでおらず、
精神科医シーバート(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と組んで
精神を病んでいるフリをしていたのです。

→精神を病んでいることを周囲に印象づける
→誰でもいいけど精神科医にかかる
→根回しして、その精神科医に新薬を処方させる
→夫を殺す
→夫を殺したのは新薬の副作用のせいだから無罪になる
→新薬の会社の株は暴落。あらかじめ買っておいたライバル会社の株は沸騰
→差額で大儲け

という、なんだかまわりくどい計画だったのです。
しかも、ジョナサンと患者との性的関係を材料にしていたシーバートが
エミリーとレズの関係にあったという皮肉。
そうだとわかると、
夫が出所した直後のセックスのときのエミリーの無表情
地下鉄に飛び込みそうになったときに
警官の名前が入ったプレートにズームしたのも納得できます。

さーて、真実はみえた。
それでも、同じ罪を二度裁けない法制度によって
裁判をやり直すことができないとなってからの
ジョナサンの巻き返しが痛快です。
憎たらしいシーバートは別件になるから逮捕されてよし、ですが
エミリーの裁判は間違いでしたというわけにはいかないのです。
ではどうするか。
狂ったというやつには、狂ったままでいてもらうしかないでしょう!

精神異常者を題材にした作品の多くは
本人はあくまで正気だと訴えているのに
精神異常者扱いされてしまう物語だと思うのですが
この作品の場合は
精神異常者になりすましていたら、正気だと思ってもらえなくなった
という点において新鮮です。
「すんません、ボク、狂ってるんです」と自らいう人は
精神異常者にも正気の人にもいないのですから
一度、精神異常者だと見なされてしまうと
いくら「自分は正気だ」と訴えても通用しないのが
この手の映画のミソであり、恐ろしいところです。
欲のために精神異常者を演じて、ジョナサンを貶めたエミリーが
精神異常者としてその後の人生を送ることになるのは、
当然の帰結であり、ざまーみろなのです。

この作品を最後に、映画界から引退すると宣言している
スティーブン・ソダーバーグ監督

どうやらテレビの世界へ身を投じるそうですが
映像に係わっているかぎり、
ケロッと引退を撤回して映画に戻ってきそうな気がします。

『コンプライアンス 服従の心理』で騙される店長役を演じた
アン・ダウドは、この作品でもやっぱり騙されてました。





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