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不思議惑星キン・ザ・ザ

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(原題:Kin-Dza-Dza 1986年/旧ソ連 135分)
監督/ゲオルギー・ダネリア 脚本/ゲオルギー・ダネリア、レヴァス・ガブリアゼ 撮影/パーヴェル・レベシェフ 音楽/ギア・カンチェリ
出演/スタニスラフ・リュブシン、ユーリー・ヤコヴレフ、エヴゲーニー・レオノフ、レベン・ガブリアーゼ

概要とあらすじ
ソ連で公開当時、評論家からはさんざんな不評だったにもかかわらず、ソ連全土で1570万人を動員。妻に頼まれ夕飯の買い物に街へ出た建築技師マシコフに、「あの人が変なことを言ってます」と学生ゲデバンが助けを求めてきた。浮浪者のようなその男は、自分は他の惑星から来た者で、自分の星に帰りたいと2人に話す。そんな話など信じないマシコフは、男が持っていた“空間移動装置”のボタンを押してしまう……(映画.comより抜粋



クー! クー! キュー!

レンタルビデオといえばVHSで、
まだDVDなど影も形もなかったころから気になっていた
『不思議惑星キン・ザ・ザ』
陳列棚に置かれたパッケージのジャケットを見れば
ヘンテコな映画だということはすぐにわかるし、
それはすなわち面白そうな映画だということで
とっとと観ればいいのですが
わかったような気になると後回しにしてしまうのが人情。
この期に及んでやっとこさ自分の怠慢と向き合う気になったのです。

オープニングタイトルで、荒涼とした砂漠が映し出され、
きたきたと思っていると、すぐに一般家庭の部屋からはじまって
仕事から帰ってきたばかりのウラジーミル(スタニスラフ・リュブシン)
奥さんにパンとマカロニを買いに行かされ、
あれあれと思っていると、シャープカ(=ロシア帽)を被った若い男、
ゲデヴァン(レベン・ガブリアーゼ)が現れ、
ヘンな奴がいるんですけどどうしましょうかと話しかけてきたので
行ってみると、どうみても乞食のような風体の男が
空間移動装置がどうしたとか、意味不明なことをいい連ねるので
からかい半分でウラジーミルが乞食が持っていた機械を押すと
次のカットでウラジーミルとゲデヴァンは砂漠の中……

というのがことの始まりですが
ふたりが異星の砂漠に飛ばされてしまうまでに
火花が散ったり電流が走ったりすることもなく、
あっけなく異世界へと場面が展開するのが心地よい
のです。
不運なふたりと同様に、映画を観ている観客も
なにもわからないまま物語が始まるのがいいのです。

途方に暮れるふたりの前に現れたのが
釣り鐘のような形をした宇宙船に乗った
ウエフ(エヴゲーニー・レオノフ)とビー(ユーリー・ヤコヴレフ)

「クー!」としか喋らないふたりの行動はまさに奇行で
(ちなみに罵声は「キュー!」でそれ以外は全部「クー!」)
まったくコミュニケーションが取れず、
スラップスティック・コメディのようなやりとりが面白いのですが
一度、その場を離れていった釣り鐘型宇宙船が空に消えてから
引き返してくるまでの間(ま)が最高です。

小汚い見た目とはうって変わって
どうやら高度な技術とテレパシーまで使えるウエフたち異星人ですが
なぜかマッチが貴重品なのです。

そして、なんといっても、鼻の鈴!(=ツァークと呼ばれている)
どうやらウエフはチャトル人と呼ばれる人種(階級?)で
パッツ人であるビーはチャトル人より身分が低いらしく、
パッツ人はその証しとして鼻に鈴をつけなければならないようなのですが
耳にイヤリングをつければオシャレといわれるのに
鼻に鈴をつけるとなんであんなに可笑しいんでしょうか。
どんなに真剣な顔をしていても鼻の鈴がちりんと鳴るだけで
爆笑なのです。

釣り鐘型宇宙船にはじまって、
ディストピアを表現する衣装や美術のデザインが素晴らしい。
ウラジーミル(=地球人)のワイシャツ姿が
いかに均質的でつまらないかということを
際だたせているようにも感じますが
チャトル人とパッツ人のあいだにある違いといえば
判別する機械のランプがオレンジになるかグリーンになるかというだけで
身分の違いの根拠がまったく説明されないのが特徴的です。
社会的なメッセージがはっきりと表現されているわけではありませんが
鼻に鈴をつけたり、わざわざ檻に入って演奏したりする
この星でのしきたりにはことごとく根拠がなく、
本来何も違いがないのに差別したり、差別されたりするさまは
現実の世界の理不尽さを思い起こさないわけにはいきません。

ゲデヴァンがあっさり地球に帰ってきて怒られている
と思ったら夢オチで、第一章が終わり、
第二章に入っていく構成も見事だと思いましたが
第二章に入ると、第一章のいかにもヘンテコ映画らしい展開から
少しずつ変化していって、徐々に友情ドラマの様相を呈してきます。
セットもエキストラも大がかりになり、
単に奇をてらったシュールなコメディではないことがわかります。
ウラジーミルは、何度も裏切るウエフとビーを見捨てることができず、
地球に戻るチャンスが巡ってきてもふいにしてしまいます。
損得のことで頭がいっぱいで
マッチのことばかり気になっているウエフとビーは
なぜウラジーミルが自分たちを助けるのか理由がわからない様子でしたが
やがて言葉だけでなく、ウラジーミルの気持ちも
理解するようになるのです。

設定が奇想天外だし、ヘンテコだし、笑えるし、
でも最後にはグッとくる、というただならぬ作品です。





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2016/10/21 (金) 06:19:38 | URL | Ж・слутанаев #bzb2jBZU [ 編集 ]

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