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バクステール/ぼくを可愛がってください。さもないと何かが起こります。

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(原題: BAXTER フランス/1998年 80分)
監督/ジェローム・ボワヴァン 原作/ケン・グリーンホール 脚本/ジャック・オーディアール、ジェローム・ボワヴァン 撮影/イヴ・アンジェロ
出演/リーズ・ドラマール、ジャン・メルキュール、ジャック・スピエセル、フランソワ・ドリアンクール

概要とあらすじ
あなたの知らない闇がある。犬目線で語られる異色サイコサスペンス!バクステールという擬人化した犬の視点で語られるブラックユーモアの数々。バクステールが抱える悩み、怒り、精神の揺らぎ、諦め、皮肉、すべてが現代的であり、まさに現代人の抱える闇を表現して見せる。またバクステールが好意をよせる少年もまた「人間が理解できない恐れ」を抱えるという点でつなぎ合わされ、多重的な構造で物語は進行していく。1989年のアヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭にて上映され、大きな反響を呼んだ。(Amazonより



話が通じないんだワン!

副題、ながっ! ていうのはおいといて
ペット愛好家というのは世界中にいて
さぞかし動物を可愛がっておられるのでしょうが
ど〜考えても、犬や猫は
首輪をつけられたり、部屋に閉じ込められたり、去勢されたりするよりは
好き勝手に野山を駆け回っていたいはずだと
僕なんぞは思っているので、
一日中狭いマンションの一室に閉じ込めてられていた犬なり猫なりが
帰宅するやいなや玄関に走ってきたのを抱き上げて
「あらま〜、さびちかったのぉ? おむかえちてくれたのぉ?」
なんて光景を思い浮かべただけでヘドが出るのです。
そのような意味において
擬人化された飼い犬であるバクステールがモノローグで語る心中が
飼い主である人間が都合よく擬人化したペット像とは
まるっきり裏腹であることが痛快なのです。

オープニングで、檻に閉じ込められた犬たちが
暗闇の中で牙をむき出しにして吠える姿を映し出すことで
すでに犬本来の凶暴性を表現していると思われますが
この作品の主役に抜擢されたブルテリアという種類の犬が
見ようによっては人間の顔つきにも見えるところが特徴です。
ブルテリア犬といえば、
まっさきに『バタアシ金魚』のフーバーを思い出してしまうのは
僕だけかもしれませんが
あの試合直後のボクサーみたいな顔がこの作品にとって重要なのです。

飼い犬がモノローグで喋るというと
かわいいかわいいというだけの動物映画か、
オフビートなコメディを連想しそうですが
この作品はかなりブラックかつシリアスです。

バクステールの最初の飼い主である老女のくだりでは
独居老人のわびしさを表現し、
次の飼い主の若夫婦のくだりでは
移り気な愛情の身勝手さが表れています。
ここまでのバクステールは人間観察者としてメタな存在でしたが
3人目の飼い主が少年(リーズ・ドラマール。役名失念!)になると
犬本来の(?)従順さにも目覚め、
メタな存在から物語の内部へと取り込まれていきます。

かわいい顔した少年がヒトラーに傾倒していることと
少年に厳しくしつけられるバクステールが喜びを感じることとは
無関係ではないでしょう。
そこには支配と服従ののっぴきならない関係が
表れているように感じます。
また、すっとぼけた表情のバクステールが見せる野性の暴力と
無垢な少年の残忍で歪んだ暴力とが重なります。

頭の中で、犬が犬なりのことを考えていても
周囲の人間たちに真意がまったく伝わらないのは当然ですが
それは人間同士でも同じことで
最初の老女と娘とのしっくりこない関係や
老女に気を寄せるおせっかいな老人にはじまり、
ラブラブだったのに赤ちゃんが生まれてから
ギクシャクしはじめる若夫婦。
少年のガールフレンドの父との関係。
少年の家庭はといえば、父親が女性教師と浮気中で
両親の仲は冷え切った状態であったりと、
登場する人間たちは、みな意思の疎通で苦しんでいるようにみえます。
それに気がついたのか、少年の父親が妻や少年に
「最近、話してなかったね」と関係修復を試みようとしますが
一度離れてしまった心を再び通わすのは簡単ではなさそうです。

モノローグで思いを語るバクステールの存在は
意思の疎通がままならないことの象徴なのではないでしょうか。

残酷な結末のあと、窓辺から隣の家を見つめる少年は
バクステールの魂が乗り移ったかのようでした。





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