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サウンド・オブ・ノイズ

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(原題:Sound of Noise 2010年/スウェーデン・フランス合作 102分)
監督・脚本/オラ・シモンソン、ヨハネス・シェルネ・ニルソン 音楽/フレッド・アヴリル、マグヌス・ボルイェソン
出演/ベングト・ニルソン、サナ・パーション、マグナス・ボイエソン、フレデリック・ミア、アンダース・ベステガルド、ヨハネス・ビョーク、マルクス・ハラルドソン

概要とあらすじ
身の回りにある日用品を使い、町中のいたるところに音楽を作り出す神出鬼没の音楽テロリストと、音楽嫌いな警察官の攻防を描いたスウェーデン発の異色クライムコメディ。音楽一家に生まれ育つも、生まれつきの音痴のため音楽が嫌いな警察官アマデウスは、ある事件現場でメトロノームを発見。それを手がかりに捜査を開始するが……。監督のオラ・シモンソン&ヨハネス・シェルネ・ニルソンが2010年に発表し、カンヌ映画祭などで評判となった短編「アパートの一室、6人のドラマー」を長編化した。(映画.comより



期待するから、裏切られるのさ……

もーのすごーく楽しみにしていたのに
上映期間を逃してしまった『サウンド・オブ・ノイズ』
やっとDVDで観ることができました。
リズム全般、打楽器全般が大好きな僕は
この作品の紹介記事と予告編を観て
「ストンプ」のようなものを想像し、
はたまた、スーツに目出し帽というポスターのビジュアルも
イカしてるじゃないのさ。
それはそれは期待に胸膨らませていたのでした。
ところが……

高名な音楽家の家に生まれたけれど
音痴なために音楽家にはなれずに刑事になった
アマデウス(ベングト・ニルソン)
幼少期のスチール写真で始まるオープニングから
あれ? こっち(=アマデウス)の視点なのかと虚を突かれましたが
その後、ドラムセットを仕込んだ車を走らせながら
ドラムのリズムに合わせてアクセルを踏むシーンで一安心。
いやいや、一安心したのもつかの間、
やっぱり音楽に対してトラウマを持つアマデウスを中心にした
物語構成になっていくのです。

主人公のサナ(サナ・パーション)は
車の中でドラムを叩いていた男が考えた
「街と6人のドラマーのための音楽」という計画(作品?)に乗り、
4楽章からなる音楽パフォーマンスを実行に移すのですが
ゲリラ的なパフォーマンスをする動機や
音楽的な思想はまったく描かれないので、彼らにさっぱり肩入れできず、
それから集められる、いわば協調性のないほかのドラマーたちが
サナたちが考えるリスクの高い計画に参加する動機もさっぱりわからないし、
ひとりひとりのキャラもまったく強調されないので
単に頭数を揃えたようにしか見えないのです。
(そもそも、なぜ6人必要なのかも不明)

かろうじて、サナが学生時代から
既存のアカデミックな音楽のあり方に不満をもっていたことは語られますが
サナたちが不満を抱える要因が描かれない限り、
不満は不満でしかないのです。
おそらくは権威主義的なものに対する反発が
この作品には含まれているとは思うのですが
有名な指揮者であるアマデウスの弟に代表される権威の側の人間たちが
アカデミックではない音楽や、情動的かつ庶民的な音楽を
見下しているようなくだりもないので
余計に反抗期の子供がヘソを曲げたようにしか感じられず、
説得力がありません。
強いて言えば、アマデウスに対する家族達の言動が
侮蔑的に表現されているものの、
それはあくまでアマデウスのコンプレックスによるもので
音楽そのものの価値観の対立に由来するものではありません。


もっとも残念なのは
音楽テロ集団である彼らの演奏がまったくカッコよくないことです。
どう考えても音程が表現できないようなもので音程を表現したり、
サンプリングした音をあとでミックスしたり、
完全にアフレコの演奏ではなにも昂揚しません。
彼らが計画する4楽章が進んで、どんどん大がかりになるにつれて
いいかげんさが顕著になっていきます。
最後の「ELECTRIC LOVE」
なぜかまったく無人の発電所にやすやすと侵入し、
レバーを上げ下げするだけで街中の電気が明滅したり、
電線にぶら下がってワイヤーを叩くメンバーたちの姿には鼻白むだけです。
僕には、この作品の作り手たちが音楽を愛しているとは思えません。

音楽テロ集団の動機もはっきりさせず、
チーム名がないのも面白味にかけるのですが
アマデウスのトラウマを中心に物語を構成したことが
最大の失敗だと思われます。
楽器として使われた人間の声は聞こえないとかいう
さっぱりわからない理由
で、
アマデウスの耳が聞こえたり聞こえなくなったりする設定も
邪魔でしかないのですが
中途半端に音楽テロ集団のほうも描こうとするものだから
どっちつかずで焦点がぼやけっぱなしなのです。

ていうか、ヒロインであるはずのサナが
なんであんなおばちゃんなんだよ!!!

サナは誰が観ても可愛い子にしないとダメでしょうが!
つーか、アマデウス主体で物語を構成するなら
途中までは音楽テロ集団は目出し帽を被りっぱなしにして
正体がわからなかったところで
美しいサナの顔がやっと現れる……てな具合に
ミステリーの要素も加えないとダメでしょう?
サナが若い娘で、アマデウスとの年齢が離れていれば
ジェネレーションのギャップによる対立をも
描くことができたと思うのです。

ラストで、逃げた音楽テロ集団は
「生活のため」にボサノバを演奏し、サナは歌を歌っているのです。
いやいや、生活のためとか……
過激パフォーマー集団なんだからさ、
そんなのいままでにずっと直面してきた問題だろ?
ていうか、表現者として生きていくうえでは
必ずつきまとう問題だろ? なんだよ、いまさら。
そんなの乗り越えたから、音楽テロ集団をやってたんじゃないのかよ。

音楽だけではなく、表現するということ全般に対して
真剣に向き合うことなく、
なんとな〜く大人たちが気に入らないから作ったような作品です。
クラシック音楽ってつまんないよね〜みたいな発想て
それ自体が頭悪すぎて、つまんないよね〜。





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