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よく知りもしないくせに

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(原題:Like You Know It All 2009年/韓国 126分)
監督・脚本/ホン・サンス 撮影/キム・フンクァン 編集/ハム・ソンウォン
出演/キム・テウ、コ・ヒョンジョン、オム・ジウォン、ユ・ジュンサン、チョン・ユミ、ハ・ジョンウ

概要とあらすじ
世界各地の映画祭で注目を集める韓国の俊英ホン・サンスが、アート系映画監督のギョンナムと、ギョンナムをめぐる人間模様を軽妙なタッチで描いたラブコメディ。映画祭に審査員として呼ばれた映画監督ギョンナムは、そこでかつての親友サンヨンと遭遇する。サンヨンの家で彼の妻と共に飲み明かすギョンナムだったが、翌日、なぜかサンヨンから絶交を言い渡されてしまう。数日後、済州島を訪れたギョンナムは、先輩チョンスの妻となった元恋人スンと再会し、関係を持つが……。(映画.comより



うまく言えないけど、やみつき。

『3人のアンヌ』
初めてホン・サンスという監督のことを知り、
完全に一目惚れ、というかノックアウトされた僕は
ホン・サンス監督の過去作を辿らねばならぬと
まず選んだのが『よく知りもしないくせに』
この選択が妥当なのかどうかわかりませんが
とにかくこのタイトルに惹かれたのでした。
原題は「Like You Know It All」だから
「全部知ってるみたいに」となるのでしょうが
「よく知りもしないくせに」のほうが断然趣があります。
とにかくこれが、僕にとって
2本目のホン・サンス監督作品なのですから
作品の系譜を辿って検証することなどできないのですが
そこは、ほれ。自分を自分で大目にみてやって
いつもどおりに勝手なことを書き連ねる所存ですのよ。
それこそ、「よく知りもしないくせに」。

韓国映画といえば、過激なバイオレンス描写や
かと思えば強烈に甘ったるくバタくさい恋愛ものをイメージしますが
ホン・サンス監督作品はそのどちらでもなく
韓国映画という範疇にすら入らないような気がします。
韓国を舞台に、韓国語を話す韓国人達が登場するのにもかかわらず
ちっとも韓国映画を観ているという気がしません。
「韓国のゴダール」「ロメールの弟子」と評されるようですが
フランスのヌーヴェルバーグの作品のような
グラフィカルでエッジの効いたおしゃれさはなく
むしろ登場人物たち(とくに男性)は不格好で
お世辞にもかっこいいとは言い難い。
にもかかわらず、なんだかわけのわからない魅力に
取り憑かれてしまうのです。

あきらかにホン・サンス監督自身をモデルにしていると思われる、
人の良さそうな垂れ目の映画監督ギョンナム(キム・テウ)
映画祭に審査員として招かれるところから物語はスタート。
この作品に登場する女性は、みんなかわいらしくて色っぽいのですが
最初に登場する映画祭コーディネーターのヒョニ(オム・ジウォン)
水玉ワンピ姿がもう魅力的。あらステキ。
ところが、ギョンナムが学生達に
「今度呑みに行こうよ」と誘うのを聞いたヒョニは
「守れない約束はしないで! 口だけなんでしょ?」
出会って間もないのに、なぜか突然怒り始めます。
すでに、なにかが少しずつズレているのです。
そして『3人のアンヌ』でもみられた突然のズームアップ
このズームが僕にはツボなのです。

どうということはない会話が続き、
だらだらと時間が過ぎているように思えるのですが
会話は常に少しずつ噛み合わず、
それぞれが勝手な思い込みで話しているようでいて
なんとなく話が繫がる
、という具合で
眠気を誘いそうなシーンが続くのにどんどん引き込まれていきます。
これが本当に不思議な感覚なのですよ。

『3人のアンヌ』で、不思議な居酒屋のシーンがあったように
この作品でもとにかくよく酒を飲むのですが
古い友人から、嫁に色目を使ったという理由で
「二度と自分の前に現れないでくれ」と絶交を言い渡され、
ギョンナムのホテルの部屋で酒盛りをしたヒョニからは
「あなたが置き去りにしたせいで私はレイプされた!」と叱責されるのです。
ギョンナムには身に覚えのないことですが
酔っていて記憶は曖昧だし、
そう思われても仕方のない妄想もしていたので
とりあえず謝って逃げ出すしかないのですが
もうこのあたりでは夢と現実との境界があやふやになっています。

先輩の画家チョンス(ユ・ジュンサン)の妻スン(コ・ヒョンジョン)
ギョンナムのかつての恋人だったことで
あきらかな事件が起こります。
チョンスの留守中にスンとギョンナムは
やけぼっくいに火がついてしまうのですが
「世界で一番かわいい!」とスンへの思いを募らせるギョンナムに対して
スンのほうはいたってドライ。
女のたくましさにひきかえ、男の見苦しさが際だちますが
二人の不倫を目撃したハ・ジョンウ
わざわざチョンスに電話で浮気を知らせ、
なぜか悲しみのあまりに自分が泣いてしまうという
笑うべきなのかよくわからない滑稽なシーンで
より一層男の執着心を表しているようにも思えます。

なんとか苦しみながら解釈を試みましたが
あの独特の雰囲気をどうやって言葉で表現すればいいのか
いまだにわかりません。
二回も出てくる「パンを買いに行ってたもんで」
「一番大切なものは? 自由だよ。腕相撲やりましょう」とか
意味があるのか、ただふざけているのかわからない
味わい深いセリフの数々も
深読みすればするほど本意から遠ざかっていくような気がします。

難解な映画というのとは違う、ちょっと居心地の悪い空気のなかで
笑いそうになるのを堪えているような感覚は
やみつきになりそうです。





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