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ドン・ジョン

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(原題:Don Jon 2013年/アメリカ 90分)
監督・脚本/ジョセフ・ゴードン=レビット 撮影/トーマス・クロス 美術/メイガン・C・ロジャース 衣装/リア・カッツネルソン 編集/ローレン・ザッカーマン 音楽/ネイサン・ジョンソン 音楽監修/ジョン・ハウリハン
出演/ジョセフ・ゴードン=レビット、スカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア、トニー・ダンザ、ロブ・ブラウン、グレン・ヘドリー、ブリー・ラーソン、ジェレミー・ルーク

概要とあらすじ
「(500)日のサマー」「ダークナイト ライジング」の人気俳優ジョセフ・ゴードン=レビットが初監督を務めたラブコメディ。家族関係も良好、教会にもきちんと通う真面目な青年ジョンは、女性に関して負け知らず。周囲からは伝説のプレイボーイ、ドン・ファンにちなんでドン・ジョンと呼ばれていた。それでも満足できないジョンは、毎日ネットでアダルトビデオを鑑賞して自慰行為にふけり、理想の性生活を追い求めている。そんなある日、全くタイプの異なる2人の女性と出会ったジョンは、セックス以上の人生と愛を知ることになる。共演にスカーレット・ヨハンソン、ジュリアン・ムーア。(映画.comより



遠回りしたわりに、そこ?

なんでまた、ジョセフ・ゴードン=レビット
自分の初監督作の題材に
セックスよりポルノが好きな男の物語を選んだのか。
それは、各所に掲載されている彼のインタビューを読むと
スター俳優である自分自身が
メディアによって都合よく作り上げられたイメージに
常に翻弄されている実体験から着想したということのようです。
そんな思いを、メディアで作られたイメージを
身勝手に消費する人間を通じて描こうとしたのが
この『ドン・ジョン』

映画を3つのパートに分け、それぞれの主題に合わせて
編集のテンポや音楽の使い方を変えていく
ハリウッドのスタンダードな映画作法にのっとったというジョセフは
やっぱり真面目な人なのねと感心しますが
ジョセフが演じるドン・ジョンは、
これまでの彼のイメージとうって変わって、
ムキムキマッチョな女たらしです。
身体に張り付いた筋肉のみならず、
スポーツカーを乗り回すのもマッチョの現れですが、
掃除好きだったり、車を運転しているときだけ凶暴になったりするのは
自分の気分がいい居場所に閉じこもって、その中で自分を万能と感じるような
排他的な性格を表しているのかもしれません。

Macのじゃ〜んという起動音とともに、ドン・ジョンも「起動」するのですが
女にモテない男がポルノに突っ走るのとはワケが違って
ドン・ジョンの場合は、毎晩のようにクラブで女をひっかけては持ち帰れるほど
モテモテのプレイボーイでもあるわけで、
なかなか癪に障る男なのです。
さりとて、そこがひとつのミソでもあるわけでして
男が自慰をするのは、セックスできないときの
代替案もしくは応急処置ではない、ということです。
「セックスとポルノは別物なんだ!」とドン・ジョンも力説しておりましたが
これはまさにそのとおり。よく言ってくれたな、ジョン!
ま、あんまりドン・ジョンに肩入れすると
こっちまで軽蔑されそうなのでこのへんにしておきますが
それを誇張して表現するためのドン・ジョンの設定なのです。

とはいえ、実態よりも自分に都合よく作り上げたイメージのほうを
尊重してしまうある種の病理を表現するなら
ネット上のポルノ女優に恋をしてしまうというような設定でないと
微妙に筋が合わないような気もするが、ま、いいか。
ドン・ジョンとつるんでいる男友達が
見かけた女に点数をつけている
のは、まさに身勝手でゲスの極み。
ていうか、まさしく猿のようにオナニーに励むドン・ジョンをはじめ、
30歳前後とおぼしきこの男たちのやることはあまりにも子供っぽい。

「いきなり動画を見たりはしない。まずは写真から気分を盛り上げるのだ」
なんつって、オレ流オナニーの講釈で始まり、
いかに、実在の女とセックスするよりポルノのほうが優れているかを
かなりしつこく解説していますが
イキそうになると男優の顔にカットが変わってガッカリという
オナニーあるあるは、さすがに使い古されていて、いまさら感が強い。
(一体どこで使い古されたのか知らんが)

とくに前半はポップな編集が続きますが、
Macを起動→じゃ〜ん→おっぱい!→おしり!→フェラ!
というくだりが、繰り返すほどには面白くなく、
教会の懺悔室でオナニーの回数を告白するシーンや
ドン・ジョンと父親はいがみ合ってるけど、
ふたりとも白のタンクトップでじつはよく似た親子だね、とか
いかにもそのうち大事なことをいいそうな
ずっと携帯をいじっているだけの妹などなど
仕掛けがあざとく感じられる部分もありました。

そしてついにスカジョが登場。
最高にいい女バーバラ(スカーレット・ヨハンソン)
セレブ女優のスカジョに対して誰もが抱くイメージを
そのまま利用しているのでしょう。
スカジョは、子供の頃からやばかった……
『バーバー(2001)』の頃なんて、少女のあどけなさも残しつつ
すでに危険な色気を漂わせていてだな……
30歳になったいまでは、もう無双状態なのですが
ドン・ジョンとつきあい始めたバーバラは
全身から誘淫剤をむんむんにまき散らしているのにもかかわらず
簡単にはセックスさせません。
自分の値打ちをご存じなのですよ。まったく。
自分の部屋の前で、ドン・ジョンの首筋に繰り返しキスをし、
お尻を突き出してドン・ジョンの股間に押し付け、
「イきたくなったら、イっていいのよ」なんていいながら
自分だけ部屋に入り、お・あ・ず・け。
……殺す気かっ!?

そんなバーバラは映画好きで
(劇中映画にはチャニング・テイタムとアン・ハサウェイが)
ラブロマンスを観てはうっとりし、
理想の王子様がやってくるのを待ち続けているような女。
ジョセフ・ゴードン=レビットが
「ポルノをほかのメディアと比較してみたかった」といっているように
ドン・ジョンがポルノでモッコリするのも
バーバラがラブロマンスでウットリするのも同じ
だ、というわけです。
バーバラは自分の価値観をドン・ジョンに押し付けてくるのですから
自分だけで密かにポルノを楽しんでいるドン・ジョンよりも
タチが悪いともいえます。
ドン・ジョンがあいかわらずポルノを観ていたことが発覚し、
ふたりの恋は破綻してしまいますが
ポルノ閲覧が発覚する原因が、ブラウザの履歴というのは
やっぱり使い古されたというか、ありきたりすぎで、あまりにもトホホ。
いまどき、履歴が残っていることに驚くのは、
世界中でドン・ジョンくらいではないでしょうか。

「おばさん」ことジュリアン・ムーアが登場して、
ドン・ジョンに少しずつ変化が見え始めるのですが
ジュリアン・ムーア扮するエスターは
ドン・ジョンがエロ動画を見ていたことを冷やかしたり、
古いポルノのDVDをわざわざ勧めてきたりするので
じつは性の達人だったりするのかと思いきや、
どうやら歳をくってるから性的な話題にあけすけなだけで
夫と子供を交通事故で亡くした未亡人だからといって
ドン・ジョンが経験したこともないような
最高のセックスを味わった理由になるとも思えず、
このエスターという女性の描き方は非常に中途半端でした。

最終的には、独りよがりはよくないから
相手のことを理解し、お互いに尊重し合おうね……っていう
ごくごく普通の結論に!!

普通すぎてびっくりしたよ。逆に。
他者を受け入れようっていうのは
それはそうなんだけど、それがなかなかできないのはなんでだろう……
ていうところまで掘り下げないとねえ。

メディアに溢れるイメージに翻弄される人々はたしかにいるし、
「ポルノをほかのメディアと比較してみたかった」という
意図もわかるんだけども
さらにもう一歩先を見据えて欲しかったところ。
とくに、この作品でも登場する映画やテレビが
それを観るものは基本的に受け身で、
場合によっては意に沿わないものも目にする可能性があるのと違って
自分の知りたい情報だけを自ら探しに行き、
自分にとって心地よい情報にまみれる傾向の強いネットの特殊性は
別物としてクローズアップしてもよかったのではないかと思いますよ。

がんばれ! ジョセフ!





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