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RIZE ライズ

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(原題:Rize 2005年/アメリカ 87分)
監督/デビッド・ラシャペル 撮影/モーガン・サッサー 音楽/ジョナサン・マカヒュー 編集/フェルナンド・ビレナ
出演/トミー・ザ・クラウン、ラリー、リル・シー、ドラゴン、タイト・アイズ、ベイビー・タイト・アイズ、ミス・プリッシー、リル・トミー、ビック・エックス、ラ・ニーニャ、リル・マム

概要とあらすじ
研ぎ澄まされた肉体を激しく振り動かして踊る最先端のダンス・スタイル“クランプ・ダンス”に人生を掛ける人々の姿を活写した長編ドキュメンタリー。全米でもっとも危険な地区とも言われるLAのサウスセントラル。犯罪と暴力に溢れ、死と隣り合わせのこの街で、若者たちが生き残る唯一の手段、それが“クランプ・ダンス”だった。本作は、そんなクランプ・ダンスを通して子どもたちに生きる意味を教えるトミー・ザ・クラウンの活動と、彼が主催するダンスバトル大会の熱気をヴィヴィッドに映し出していく。監督は、本作で映画監督デビューを果たした世界的ファッションフォトグラファーのデヴィッド・ラシャペル。目にも止まらぬスピードで激しく躍動するダンサーを独自の美学で鮮やかにフィルムに焼き付ける。(allcinemaより



踊る阿呆に、見る阿呆。同じ阿呆なら?

アンディー・ウォーホルの最後の弟子といわれる
写真家デビッド・ラシャペルのドキュメンタリー、
『RIZE ライズ』です。
これまた、ずっと観たいと思いつつ後回しにしてきた作品ですが
やっぱり観ておいてよかった。

自分で踊るダンスといえば
小学生の頃、汗だくになって踊った盆踊りくらいしか記憶にないのですが
他人が踊っているのを観るのは好きなのです。
その反面、せいぜい手足を伸ばしたり縮めたりするだけのダンスを観て
なんでこんなに昂揚するのか不思議でもありました。

「この映画のダンスシーンは早送りではありません」
というメッセージで始まるオープニングに胸躍らせたものの、
直後にワッツの暴動(1965)と
ロドニー・キング殴打事件の後のLA暴動(1992)のニュース映像が流れ、
この作品が、すんごいダンス・テクニックをみて
ただイエ〜イというだけの映画ではないことがわかりました。

舞台はLAのサウスセントラル。
最近では『エンド・オブ・ウォッチ』でそのリアルな現状が描かれましたが
全米で最も危険な地域だといわれ、
殺人と略奪が横行するこの町の荒んだ姿の背景には
ギャングになるか、刑務所に入るかの二択しかないような
根深い貧困
が横たわっています。
どうやっても抜け出せないような困窮した生活に耐えかねた人々が
やけ気味に暴力を振るうか、人のものを強引に奪うか、
またはその両方を選択するのは、致し方ないような気もします。
倫理というやつは、最も重要であると同時に
最も捨てやすいものでもあるのでしょう。

そんな暗闇に一筋の光を見出したのがトミー・ザ・クラウン
彼自身、元ギャングでしたが
ピエロのメイクと衣装で幼稚園や誕生パーティーで
ダンスや芸を披露するうちにみんなから慕われ、
父親のいない子供にとって、彼が父親のような存在になっています。
彼が行く先々で人が集まっては歌い踊る光景が本当に楽しそう。
とくに小さい子供が腰を振りながら踊る姿は
かわゆすぎて、たまらんのです。

トミー・ザ・クラウンのおかげで、
ギャングになるか、刑務所に入るかの二択のほかに
「ピエロになる」という選択肢を得た若者が次々と増え、
50以上のダンスチームができあがるのです。
パーティーなどでダンスを披露して収入を得られるのと同時に
彼らが抱えた鬱屈を表現するのにもダンスは適しているようで
彼らはさらにその先にあるかもしれない栄光をダンスに託しています。

ひとりひとりのダンサーに焦点を当てて
彼らが抱える問題や深刻な家庭環境をあぶり出していく
シリアスなシーンが続くのですが
やがて、ダンスバトル大会へと移り
スポ根的なクライマックスを迎えるところが
エンターテイメントとしての楽しみも損ないません。

その大会で行なわれる審査基準が拍手と歓声の大きさという
アバウトなもので、案の定、負けたチームから不満が出ていましたが
それはともかく、ここはクランプ・ダンスと呼ばれる
高速なダンスバトルを堪能しましょう。
観ているだけで腰が痛くなりそうなクランプ・ダンスは
ステップがどうとか、マスゲーム的な連動性とかが魅力ではなく
抑えきれない衝動のせいで勝手に身体が動いているような、
むしろ原始的ともいえるような踊り方で、
これが彼らの言語だというほかありません。
順序が前後しますが、ダンス大会より前のシーンで
ダンスチームが踊るカットと、アフリカ原住民が踊るカットが
交互に入れ替わる
のをみると
これはもう技術うんぬんよりも、彼ら黒人たちに
もともと流れる血なのだと思わざるを得ません。

とはいえ、ダンスが苦手な黒人だっているはずで
そんなひとには、お気の毒ですなとしかいいようがないのですが
終盤で、クランプ・ダンスを真似する(といったら失礼か?)白人が登場し、
また、アジア系の血を引く子供も登場します。
最後に黒人以外のダンサーを登場させたことに監督の意図を感じます。

かわいい子供から、でっぷり太った輩まで登場しますが
どう考えても、ジムで鍛えているとは思えない(お金ないし)
イケイケのダンサーたちの引き締まった肉体の素晴らしさはもはや芸術。
あんな身体になってみたいと思うものの
……あの動きは、腰が一発でやられちゃうでしょう?
気安く真似すると、エライ目に合いますよ。





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