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オペレッタ狸御殿

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(2005年/日本 111分)
監督/鈴木清順 脚本/浦沢義雄 撮影/前田米造 視覚効果/石井教雄 プロダクションデザイン/木村威夫 美術/安宅紀史 編集/伊藤伸行 振付/滝沢充子 音楽/大島ミチル、白井良明 衣裳デザイン/伊藤佐智子 照明/矢部一男 録音/山方浩
出演/チャン・ツィイー、オダギリジョー、薬師丸ひろ子、由紀さおり、山本太郎、高橋元太郎、パパイヤ鈴木、篠井英介、市川実和子、平幹二朗、美空ひばり(デジタル出演)

概要とあらすじ
毎回狸と人間が繰り広げる恋の行方をユーモラスに描き一世を風靡した往年の人気シリーズ“狸御殿”を、「ツィゴイネルワイゼン」「ピストルオペラ」の鈴木清順監督が独自の美学で鮮やかに甦らせたミュージカル時代劇コメディ。主演は「グリーン・デスティニー」のチャン・ツィイーと「血と骨」のオダギリジョー。美も富も名声も全て一番を追求するがらさ城城主の安土桃山は、ある日、手下でもある切支丹の予言者・びるぜん婆々による予言を聞いて唖然とした。その予言は、城主の世継ぎである彼の息子・雨千代が間もなく父の美しさを凌ぐ、というものだった。自分の意にそぐわない者は妻でさえも追放した安土桃山は、雨千代も妻と同じく迷えば生きて帰れないという霊峰・快羅須山へ棄てることを決意。だが、その謀略を運良く免れた雨千代。やがて彼は、わけあって唐の国から狸御殿に招かれている美しい狸姫と出会い、たちまち恋に落ちるのだが…。(allcinemaより)



レッツ! セージュン!

僕は鈴木清順監督が大好きで、
作品はかなり観ているほうだと思うのですが
この『オペレッタ狸御殿』はなかなか観る気になれず、
重い腰を上げるようにして、やっとDVDを手にしました。
というのも、この作品が
当時売り出し中のオダギリジョーチャン・ツィイーを主役にした
ラブストーリーのオペレッタ時代劇だということで
その表面上の軽さがかえって警戒心を強くさせていたからです。
だってだって、鈴木清順が軽いだけの作品を
作るわけがないじゃないですかっ。

「狸御殿」は、1940〜50年頃に流行した
木村恵吾原作の「オペレッタ喜劇」シリーズの総称で
鈴木清順はいつか自分も作りたいと思いつづけていたそうです。
それにしても当時82歳の鈴木清順監督の
エネルギッシュな感性には土下座するしかありません。

ストーリーは、
狸の狸姫(チャン・ツィイー)と人間の雨千代(オダギリジョー)が
禁断の恋に落ちて、苦難を乗り越えたのちに
めでたく結ばれる
といういたってシンプルなもの。
とはいえ、それを彩るのはエンジン全開の清純美学。
あいかわらずの過剰な装飾と唐突な省略によって
観客を混乱させるのです。

ただ、僕が鈴木清順監督の作品に魅力を感じるのは
突拍子もないビジュアルが
清順監督の脳内ではしっかりとした脈絡をもって
映像化されている
と感じるからです。
そのなかには、単なる言葉遊びも含まれると思いますが
音楽、演劇、グラフィックデザイン、絵画などなど
膨大な知識と美意識を清順監督のフィルターにかけて
出てきたのが映画だと思えるのです。
僕のような阿呆には、そのひとつひとつの脈略を
説明してみせることなど不可能ですが
ただ奇をてらったデタラメとは一線を画した
「説得力」を感じるのです。

そもそも、この作品はオペレッタですから
突然登場人物が心の内を朗々と歌い出すわけで
その時点でかなりシュールというか、
そういうものだ、という鑑賞する側の態度が求められるものなので
清順監督の演出が難解だとかいう以前の問題なのです。
むしろ、オペラやオペレッタという演劇形式が
清順監督にとっては、もってこいなのかもしれません。

そうはいっても、前半は
溢れかえる奇抜な演出に頭がついていかなかったのですが
気がつくと作品の世界観にどっぷりとはまっておりました。
唐突で過激ともいえる演出が
徐々に歌舞伎の見得と同様の様式美として
受け入れられるようになってくるのです。
そもそも、能や歌舞伎のシュールな様式美を受容する文化を持つ日本人が
この程度でわけがわからないなどといってる場合ではないのです。

あきらかに、スタジオのセットとわかるシーンと
ロケされたシーンとの対比も意図されたものでしょう。
一見、狸の世界 vs 人間の世界という構図に見えて
ロケで撮影されているのが、百姓たちが登場する場面と
狸姫と安土桃山(平幹二朗)が対決する砂浜の場面だけ
(あと、最初の雨千代が花畑にいる場面)だと考えると
スタジオでの撮影は、作られた虚構の世界=妄想で
狸の存在だけではなく、人間も妄想のなかで暮らしていると
いえなくもなくはない。
チャン・ツィイーのカタコトの日本語と中国語も
異世界を演出するのに有効でした。
余談ですが(そうでもないか?)
平幹二朗扮する安土桃山が倒れている絵画の上に
「1582」という数字があったのは
織田信長が本能寺の変で死んだのが1582年なので
安土桃山というふざけた名前に
織田信長が投影されているのは間違いないでしょう。

また、完全デジタルで再現された美空ひばりが登場しますが
あのCG技術の精巧さを見れば
それ以外の一見チープに見える特殊加工が
意図されたものであるのは容易にわかるはずです。

口上で始まり、
「狸は人に恋してはなりませぬ。
 ましてや人が狸を恋うるなぞ、もっての他の皮算用。
 なれど、今宵は十三夜。
 咲こう筈なき恋の花を、見事咲かせて見せました。」

という口上で終わるこの作品は
映画が絵空事であることを強調しています。
このセリフの後、僕は思わず
「いよっ!」と声を出してしまいました。

薬師丸ひろ子の演技は素晴らしかったし、
ラップを歌う由紀さおりもみられました。
ぜひぜひ、セージュンに酔いましょう。
レッツ! セージュン!





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