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殺しの分け前/ポイント・ブランク

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(原題:Point Blank 1967年/アメリカ 92分)
監督/ジョン・ブアマン 脚色/アレクサンダー・ジェイコブス、デイヴィッド・ニューハウス、レイフ・ニューハウス 原作/リチャード・スターク 製作/ジャド・バーナード、ロバート・チャートフ 撮影/フィリップ・ラスロップ 音楽/ジョニー・マンデル
出演/リー・マービン、アンジー・ディキンソン、キーナン・ウィン、キャロル・オコナー、ロイド・ボックナー、マイケル・ストロング、ジョン・バーノン、シャロン・エイカー、ジェームズ・シッキング

概要とあらすじ
リチャード・スタークの小説『ザ・ハンター』を、アレクサンダー・ジェイコブス、デイヴィッド・ニューハウス、レイフ・ニューハウスの3人が脚色、イギリスBBC・TV出身のジョン・ブアマンが監督したハードボイルド・タッチのサスペンス・アクション篇。撮影は「真昼の衝動」のフィリップ・ラスロップ、音楽は「アメリカ上陸作戦」のジョニー・マンデルが担当した。出演は「特攻大作戦」のリー・マーヴィン、「悪のシンフォニー」のアンジー・ディッキンソン、「消えた拳銃」のキーナン・ウィンとキャロル・オコナー、ブロードウェーの舞台俳優ロイド・ボックナーほか。製作はジャッド・バーナードとロバート・チャートフ。(映画.comより



おまえの敵はだれだ

リチャード・スタークの小説『悪党パーカー/人狩り』が原作の
『殺しの分け前/ポイント・ブランク』
日活時代の鈴木清順が引き合いに出されるのもうなずけるほど
ハードボイルドで摩訶不思議な映画です。
ジャンル的にはクライム・アクションに分類されるんでしょうか。
(ジャンル分けにはまったく興味がないけど)
メル・ギブソン主演の 『ペイバック(1999)』
この作品に続く二度目の同名小説の映画化だそうですが
未見なので比較することはできず、
むしろ、ジム・ジャームッシュ監督の
『リミッツ・オブ・コントロール(2009)』に強い影響を与えていると
いわれるほうが納得しやすいのです。

冒頭からいきなりたたみ掛けるように物語が始まります。
主人公のウォーカー(リー・マービン)と旧知の(戦友?)
マル(ジョン・バーノン)が床に倒れて悶絶していたかと思うと
なんの取引か知らないが、とにかくその売上金をふたりで強奪し、
シメシメと思っていると、
ウォーカーの妻リン(シャロン・エイカー)が参加していることがわかり
え? たった9万3,000ドルしかないの?
じゃ、あいつ殺しちゃえ! ってことで
ウォーカーはマルに撃たれるのです。牢屋のなかで。
牢屋? え、ここはあの有名なアルカトラズ?
でも刑務所内には誰もいないよ? どゆこと〜?
てな具合に、かましてくるのです。

時は経って、観光フェリーに乗っているウォーカー。
「ここアルカトラズは潮の流れが速いため、脱出不可能で〜」
なんていうガイドの放送から
アルカトラズ刑務所はすでに閉鎖されて観光地化していることを悟ります。
だから裏取引の現場に選ばれていたのですな。
そんな脱出不可能なアルカトラズから生き延びたウォーカーに
声をかけてきたのは謎の男ヨスト(キーナン・ウィン)
ウォーカーを撃った後、金とともに嫁のリンまで横取りしたマルの居場所を
教えてやるよと誘ってくるのです。

かくして、ウォーカーは自分の「分け前」を手に入れるべく
行動を起こし、徐々に核心に迫っていきます。
合わせ鏡のなかで延々と続くメイクを施すリンの姿や
ウォーカーが地下道らしき場所を歩き、マルの家にたどり着くまで
時を刻むように鳴り続ける靴音
など
特異な演出が続きますが
まずはリンと一緒に暮らしているというマルの家を訪れるものの
マルは不在。リンは思い出を語った後でベッドで自殺します。
その後、すぐに映し出されるリンの墓標と
そのすぐそばで土を掘り返しているショベルカー
が意味深です。

リンの妹クリス(アンジー・ディキンソ)をダシに使って
居場所を突き止めたマルは
ウォーカーにせまられると、おろおろと動揺し
ベランダから転落死してしまいます。
冒頭の強奪シーンを思い起こして、
このあたりで誰しも気がつくはずだと思いますが
復讐に燃えているはずのウォーカーは
誰一人自らの手で殺していない
のです。
自動車屋(名前失念!)から
その後登場する中ボスのカーター(ロイド・ボックナー)
やはり中ボスのブルスター(キャロル・オコナー)にいたるまで
誰一人ウォーカーが殺した人間がいないのです。
この作品を単にリベンジ・ムービーとしてみるなら
かなり不可解でしょう。
ウォーカーが発砲するのは、誰もいないベッドや電話機ばかりです。

ラストの最後の取引に近づくにつれて
過去の映像のフラッシュバックが挿入される頻度が増していきます。
そして、ついに突き止めたラスボス・フェアファックスは
すなわち、最初にウォーカーに声をかけてきたヨストなのです。
ヨストはウォーカーを利用して中ボスたちを始末させ、
組織に自分だけの力が及ぶように仕組んでいたのですな。
あれほど自分の分け前を欲しがっていたウォーカーは
金が手に入ることがわかっていても
最後は姿を現しませんでした。

この作品は、好きな人の間で評価が高く、
ウォーカーはじつは冒頭のシーンで殺されていて
彼の亡霊、もしくは生き残った者のなかに残っている罪悪感が
因果応報よろしく彼らを悩まし、
死に至らしめている
という解釈があるそうですが
そう考えるとなにかと辻褄が合います。
いかに厳重な警戒をしていても、
易々と浸入してしまうウォーカーはまさに亡霊のようだし、
それを臭わすような細かなセリフもあったように思います。
別の解釈では、この作品全体が
「主人公が死ぬ間際に見た夢」という考え方もあるようですが
映像から受け取れるものを逸脱しているように感じて、
さすがにこれは考えすぎだと思いますが、どうでしょう。

寡黙な男が主人公のクライム・アクションの皮を被っているものの
じつはかなり深遠なテーマが隠されているように
思わなくもなくはない、
見返すたびに印象が変わるような作品です。





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