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ダラス・バイヤーズクラブ

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(原題:Dallas Buyers Club 2013年/アメリカ 117分)
監督/ジャン=マルク・バレ 脚本/クレイグ・ボーテン、メリッサ・ウォーラック 撮影/イブ・ベランジェ 編集/ジョン・マック・マクマーフィ、マーティン・ペンサ 音楽/カート&バート
出演/マシュー・マコノヒー、ジャレッド・レト、ジェニファー・ガーナー、ダラス・ロバーツ、グリフィン・ダン

概要とあらすじ
マシュー・マコノヒーが、エイズ患者を演じるため21キロにおよぶ減量を達成して役作りに挑み、第86回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した実録ドラマ。1985年、テキサス生まれの電気技師ロン・ウッドルーフはHIV陽性と診断され、余命30日と宣告される。米国には認可された治療薬が少ないことを知り、納得のできないロンは代替薬を求めてメキシコへ渡る。そこで米国への薬の密輸を思いついたロンは、無認可の薬やサプリメントを売る「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立。会員たちは安い月額料金で新しい薬を手にすることができ、クラブはアングラ組織として勢いづく。しかし、そんなロンに司法の手が迫り……。ロンの相棒となるエイズ患者でトランスセクシャルのレイヨンを演じたジャレッド・レトも、アカデミー助演男優賞を受賞した。(映画.comより



自分の居場所は自分で作る

つい先日、アカデミー賞主演男優賞を受賞した
マシュー・マコノヒーの『ダラス・バイヤーズクラブ』。

本当にイケイケノリノリ状態のマシュー・マコノヒーは
最近僕が見た中でも
『バーニー みんなが愛した殺人者』『ペーパーボーイ 真夏の引力』
『マジック・マイク』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
立て続けに話題作へ出演している無双状態。
(残念ながら『MUD』は未見。)
そして『ダラス・バイヤーズクラブ』では
役づくりのために21キロも減量したのですから
そりゃあ、賞のひとつくらいあげないといけないでしょう。

いきなり、主人公ロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)
ロデオ場で3Pをしているシーンから始まりますが
彼が粗野な性格で無類の女好きである(すなわちゲイではない)ことが
一発でわかります。
マシュー・マコノヒーが、過酷な減量の末にこの役に挑んでいることは
事前に知ってはいたものの、いざその姿を目の当たりにすると
唖然とするほかありません。
記憶に新しい『マジック・マイク』の半裸姿を思い浮かべて比べると
まるでマコノヒーのおじいちゃんを出演させたような印象です。
この作品では裸になることは(一瞬を除いて)ありませんでしたが
シャツやジーンズのたるみ具合を見るだけで痛々しく感じるほどです。

ロンは典型的なテキサスの荒くれ者で
トレーラーハウスで暮らし、酒と女と博打に明け暮れていましたが
事故で入院したのをきっかけに自分がHIVに感染していることを知り、
余命30日と宣告されます。
当時、HIV陽性すなわちエイズ患者=ゲイという認識で
とくに保守的なアメリカ南部では、ゲイを毛嫌いすることから
死が目前に迫っていることの恐怖と衝撃に加えて、
周囲からはゲイだとバカにされ差別を受けるという二重苦となるのです。
もちろんロンもゲイを差別する側の人間でした。

エイズ患者が急増しているのにも拘わらず
FDA(アメリカ食品医薬品局)がなかなか抗HIVの薬を認可しなかったため
エイズになってしまうと、あとは死を待つだけという状況だったようです。
(そのあたりの詳しい背景は、↓の町山智浩さんの解説をお聴きあそばせ)

ゲイでもないのに、なんでオレがエイズになるんだ!と
自暴自棄になるロンでしたが、ほんの一瞬差し込まれるカットによって
腕に注射痕のある売春婦と過去にヤったことを思いだし
自分がエイズだと認めざるを得なくなります。
病院の看護師を買収して薬を手に入れるものの長くは続かず、
自殺を考え始めたとき、看護師に渡されたメモを握って
メキシコへ向かったロンは、そこにはアメリカにはない薬があることを知り、
その薬をアメリカに持ち帰って売ることを思いついて、
「ダラス・バイヤーズクラブ」へと繫がっていくのです。

最初のうち、ロンは自分のために薬を入手することに加えて
金儲けのことしか考えていなかったように思います。
また、苦しむ患者を目の前にしても
なにもしようとしない医師や政府に対する対抗心も
強かったのではないでしょうか。
最初に登場したころと、「ダラス・バイヤーズクラブ」で活動しているときの
ロンの表情がまるで違う
のは見事としかいいようがありません。
あいかわらずガリガリに痩せてはいますが
生命力に満ちあふれているように見えました。

もともとゲイ嫌いでゲイの知り合いもいないし、
薬を売ろうとしてもなかなか客をつかめなかったロンは
オカマのレイヨン(ジャレッド・レト)を相棒にします。
このジャレッド・レトがまた、18キロ減量したそうで
マコノヒーとの演技というか、なりきり対決は凄まじいものとなっております。
ジャレッド・レトは『チャプター27』
ジョン・レノンを殺したマーク・チャップマンを演じるために
2ヶ月間で30キロ太ったこともあるそうですな。

ロンが「ダラス・バイヤーズクラブ」の事務所にしたのが
モーテルの一室だというのも日本では考えられないですよね。
日本だと、普通のマンションを事業用で借りるなら
やれ敷金が何倍だとか、不動産屋が難癖つけてきますから。
やがて薬を求める人たちがロンの元へ列をなして訪れるようになるのですが
そのなかに女性のエイズ患者を発見したロンが
すかさずその女性と一緒にトイレに駆け込んだ
のは笑いました。
お互い感染してるんだから関係ないもんね。
ロンはずいぶん溜まってたんでしょうな。女性もね。

世界中を駆け回って薬を集めてくるロンは
遠路はるばる日本にもやってきます。
岡山県にある林原研究所にも足を運んでいたようですが
ジャパンといえばトキオ、トキオといえばシブーヤてな具合に
渋谷のスクランブル交差点が映されましたが
1980年代後半の渋谷に、当時は存在しなかったTSUTAYAがあったのは
見なかったことにしよう。

ロンは「ダラス・バイヤーズクラブ」で活動するうちに
徐々にゲイに対する偏見が薄れ、
売上を度外視してでも求める人に薬を分け与え始めます。
「死なずにいるのに一生懸命で、生きるのが辛い」
というセリフが印象的でしたが
理不尽な世の中に対して呪詛を吐き、自暴自棄になるのではなく
自分の居場所は自分で作るとでもいうようなロンの姿勢に
強く感銘を受けました。
ロンの場合は、死が目前にある具体的な問題として存在していましたが
病気にかかって余命を宣告されずとも
自分で勝手にあきらめて、ぼけっと死ぬのを待つことはありませんやね。
どっちにしろ、いつかはどーせ死ぬんですから。
(いっそのこと余命を宣告されたほうが、気が楽になるような気もするけど)

もしかしたら、難病ものと思われるかもしれない作品ですが
ほら、泣きなさいとでも言わんばかりに
感動を押し付けるような作品ではありません。
むしろ、からっと乾いたやる気が出てきますよ。







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