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ウィ・アンド・アイ

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(原題:The We and the I 2012年/アメリカ 103分)
監督/ミシェル・ゴンドリー 脚本/ミシェル・ゴンドリー、ポール・プロック、ジェフ・グリムショー 撮影/アレックス・ディセンホフ 美術/トンマーゾ・オルティーノ 衣装/サラ・メイ・バートン 編集/ジェフ・ブキャナン
出演/マイケル・ブロディ、テレサ・リン、レイディーチェン・カラスコ、レイモンド・デルガド、ジョナサン・オルティス、ジョナサン・ウォーレル、アレックス・バリオス、メーガン・マーフィ

概要とあらすじ
「エターナル・サンシャイン」「恋愛催眠のすすめ」のミシェル・ゴンドリー監督が、自らの高校時代の体験をもとに、ティーンエイジャーたちの本音を描き出していくドラマ。米ニューヨーク、ブロンクス。とある高校の学期が終わり、明日から迎える夏休みに高校生たちは浮き足立つ。下校バスの車内では、いつもの面子がいつものように恋愛話や仲間のスキャンダル話で盛り上がっている。しかしバスが進み、生徒がひとりまたひとりと降りて車内が静寂に包まれていくと、やがて彼らの内に秘めた個性と本音が見えてくる。物語の多くがバスの車内で展開される。キャストには実際の高校生たちを起用した。(映画.comより



戦慄! 血も涙もない恐怖の路線バス

数々のMVを作ったことで有名な
ミシェル・ゴンドリー監督の作品は
『エターナル・サンシャイン』も『僕らのミライへ逆回転』も
『グリーンホーネット』もなーんにも観たことがありません。
かろうじてオムニバスの『TOKYO!(2008)』を観ているものの
カラックスの『メルド』は強烈に覚えていても
ゴンドリー監督『インテリア・デザイン』は
ワンカットも記憶にございません。

まあ、そんなわけで
僕にとって、ほぼ初めてといっていいミシェル・ゴンドリー監督の
『ウィ・アンド・アイ』
監督自身の体験を元に作られた、ブロンクスの高校生の群像劇です。
明日から夏休みの学期最終日に、
下校する生徒たちが乗り込んだバスが街を進んでいく間に
それぞれが抱える問題や葛藤が描かれるという点で
『桐島、バス降りるってよ』なんていってみたくなるのはさておき、
この作品の登場人物に自分を当てはめてみるなんてことは、
ほとんど無理なのではないでしょうか。

全体が3つのパートに分けられていますが
終始、バスのなかで騒ぎまくるバカガキの醜悪さと幼稚さが半端なく、
前半で観るのをやめようかと思うほどでした。
とくに最後尾に陣取ったバカ4人組をみても
(なんでこういうバカって最後尾に座りたがるんだろうか)
こういうバカ騒ぎって楽しかったな〜なんて感情移入する余地は一切なく
ただただむかついて気分が悪いだけです。
どう考えても、彼らの行為は
子供のいたずらなんて呼べるような可愛いものではなく
これがホラー映画なら、すぐに全員殺されろと思うようなやつらです。
おばあさんに対する嫌がらせも胸くそ悪いものでしたが
友達が床に塗ったバターですべって転ぶ映像を見ては大笑いし、
その映像をメールで回して喜んでいるガキどもの幼稚さにうんざりです。
彼らは15〜16歳のようですが
これでは「うんち」で大爆笑する小学生くらいにしか見えません。
それともアメリカの高校生ってこんなもんなのでしょうか。

コミカルな妄想・回想シーンがときおり挟まれることから推測すると
ゴンドリー監督はこのようなガキの度が過ぎた悪ふざけを
やんちゃな若者の微笑ましい姿として見せたがっているように思えて
それは少なくとも僕には受け入れられるものではなく
絶望的な感覚のギャップを感じます。

なんとか憤りを抑えながら観ていると、パート2になり
シリアスなBGMの音量が少しずつ大きくなってきて、
そりゃそうだ、このままで終わるわけがない、
これからこいつらは大変なことになるのだ! と期待したのですが
あいかわらず会話による細かい心理描写が続き、
悪ふざけが一線を越えて深刻な問題に発展することもないのです。

舞台となるブロンクスという場所は、
昔ほど治安が悪いわけではないそうですが
それでも低所得者層が多く暮らし、
黒人とヒスパニック系が中心のガキたちが
それぞれに家庭環境に問題を抱えていることもわかるのですが
それはこの作品にとってあくまでモチーフに過ぎず
彼らの恵まれない生活の現実を訴えるようなものではありません。

じゃあ、なんなのかと言えば
原題の『The We and the I』 とは、
仲間と一緒の「We」でいるときの自分と
一人になったときの「 I 」の自分は別のもの
だということのようです。
……多かれ少なかれ、誰だってそうでしょ?
これが一本の映画になるほどの発見とは思えません。
そこから日本人が得意とする同調圧力による無意識の暴力だとか
もうちょっと掘り下げてくれるとグッと面白くなったと思うのですが。
せめて、あれだけ前半で腹が立ったクソガキどもに対して
気がつくといつのまにか肩入れしちゃってる、というような
心地よい裏切りが欲しかったところ。

すっかり乗客が減ったバスのなかで
バターで転んだ映像のやつが路上で刺されて死んだ事がわかり、
それでもパーティーのメールを気にする男に
「血も涙もないのね」と言って泣きながらバスを降りる彼女。
事の重大さに気づいたかに見える男は
彼女の後を追ってバスを降り、彼女を抱きしめます。
そして、エンドロールで
ハドソン川をバックに仲直りして談笑するふたり……

いやいやいやいや。 バターのやつ、死んだんだよね?
やっとふたりは打ち解けたとさ……じゃなくてさ!
もう一回いうけど、バターのやつ、死んだんだよね?
おまえら、血も涙もないじゃねえか!

演じる役者たちのほとんどが素人で、実際の高校生だそうで
自然な演出はたいしたもんだし
大勢の登場人物それぞれにエピソードがあったりと
巧妙さを感じないわけではありませんでしたが
そもそも物語の根幹の部分で納得がいきませんでした。

しっかし、登場人物が誰も最後まで真剣にならなかったなぁ。





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