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トゥ・ザ・ワンダー

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(原題:To the Wonder 2012年/アメリカ 112分)
監督・脚本/テレンス・マリック 撮影/エマニュエル・ルベツキ 美術/ジャック・フィスク 編集/A・J・エドワーズ、キース・フレイジー、シェーン・ヘイゼン、クリストファー・ロルダン、マーク・ヨシカワ 音楽/ハナン・タウンゼント
出演/ベン・アフレック、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムス、ハビエル・バルデム

概要とあらすじ
「天国の日々」「ツリー・オブ・ライフ」の巨匠テレンス・マリックが、フランスとアメリカを舞台に、男女の愛の移ろいを美しい映像とともに描きだしていくドラマ。フランスにやってきた作家志望のニールは、モン・サン=ミシェルで出会ったシングルマザーのマリーナと恋に落ちる。10代で結婚し、娘をもうけたものの、夫に捨てられ絶望の淵にいたマリーナは、ニールとの出会いで心が救われる。2人はアメリカへわたり、オクラホマ州の小さな町で暮らしはじめるが、時とともに情熱は失われ、ニールは幼なじみのジェーンに心惹かれはじめる。ニールとの関係に苦悩するマリーナは、町の人々に慕わるクインターナ牧師に悩みを打ち明けるが……。「アルゴ」で監督としての評価を確たるものにしたベン・アフレックが俳優として主演を飾り、オルガ・キュリレンコ、レイチェル・マクアダムス、ハビエル・バルデムと共演する。撮影は「ニュー・ワールド」「ツリー・オブ・ライフ」に続きマリックと3度目のタッグとなる名匠エマニュエル・ルベツキ。(映画.comより



光と水と永遠の愛

正直に告白すると、『トゥ・ザ・ワンダー』
僕にとって初めてのテレンス・マリック監督作です。
いや、もしかしたら『シン・レッド・ライン(1998)』
観てるような気がしないでもないけれど
観たかどうかの記憶があやふやな時点で
それは観ていないも同然。
難解と評される監督だけに
ちょっぴり緊張しながらの鑑賞とあいなりました。

たしかに、抽象的なモノローグで登場人物の心情が語られるものの
極端にセリフが少ないので
「お話」を期待していると難解かもしれませんが
内容はいたってシンプル。
そのシンプルさが、かえってわかりづらいのかもしれません。

ひとつには、
「寡黙な『ブルーバレンタイン』」とでも言いたくなるような
恋愛の絶頂期と絶望期の理不尽なギャップ。
それに加えて環境破壊と、さらには神の不在まで
個人〜社会〜宗教が孕んでいるジレンマのようなものを
表現しているのではないでしょうか。

テレンス・マリック監督は、一貫したシナリオを作らず、
そのシーンのメモを俳優に渡して即興的に演出していくそうですが
おそらく30歳前後のニール(ベン・アフレック)
マリーナ(オルガ・キュリレンコ)のふたりが
まるで10代の恋人同士のようにじゃれ合うさまは
やりすぎな気もするが、単純に微笑ましくてうらやましい。
「あなたとならどこへでも。一緒に過ごせればいいの」
と語るマリーナは、子供もいる年齢なのに
まるで恋に恋する乙女のようで
全編を通じてマリーナに扮するオルガ・キュリレンコが
可愛くって、美しくて、仕方がありません。
『オブリビオン(2013)』のときの100倍は美しいのです。

マリーナは娘のタチアナを連れて
ニールと一緒にアメリカのオクラホマに移り住み、
美しい大自然に囲まれて快適に過ごし、
タチアナもすっかりニールに懐いていたのですが
なかなか友達ができないタチアナが
フランスに帰りたいと言い始めた頃から
少しずつ関係がぎくしゃくし始めます。
結局、滞在ビザが切れたマリーナとタチアナは
フランスに帰ることになりますが
ニールがなにかしらの手立てを講じて引き留めれば
(この時点ではマリーナは前夫と離婚ができない状態)
ふたりはアメリカに居続けることもできたので
この時点でニールとマリーナの関係には
すでに埋めることのできない溝ができてしまっています。

フランスに戻ったマリーナは
親権の問題か、タチアナとも離れて暮らすようになり
仕事にも苦労する始末。
かたやニールは、幼なじみのジェーン(レイチェル・マクアダムス)
恋愛関係になり、ジェーンはニールにベタぼれなのです。
ほとんどセリフがないせいか、
ニールはぬぼ〜っとした男のように見えるので
なんでこいつは、いつも美女にモテモテなんだこのやろうと
思わないわけではありません。

ニールとマリーナは結婚し、
マリーナはアメリカの永住権を手にするのですが
「あなたとならどこへでも。一緒に過ごせればいいの」
という、純粋な愛の衝動にかられての結婚生活ではなく
ふたりの関係はある種の「契約関係」となってしまい、
破綻の一途を辿るのです。
一方で、クインターナ牧師(ハビエル・バルデム)
いくら祈りを捧げても、苦しんでいる人たちを救えないことで
自分の無力に苦しみ、神の存在に疑問を持ち始めます。

一貫して水のイメージで溢れていて
冒頭で、波打ち際を歩くニールとマリーナの足元と
環境保護の調査官を務めるニールが
掘削現場の汚れた水たまりを歩く姿が対比されています。

暴れて部屋の中をメチャクチャにしたりと
どんどん精神的におかしくなっていくマリーナは
ニールとの愛情を取り戻すために
IUD(子宮内避妊具)を取り除くものの
ゆきずりの男と関係を持ち、確信的に妊娠してしまうのですが
ここまでくると狂った愛情としか思えません。
ニールがほとんど心情を語らないせいもあって
マリーナは過剰な自己愛によって壊れていくように見えます。

オクラホマの自然を映し出す映像は圧巻で
強い自然光によって輝くさまざまな被写体は美しいの一言。
映画館で観たかった。

詩を読むような気分で、どうぞ。





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コメント

そういう映画だったのですか

こんばんは。

本作品、未見なのですが予告を見ても、
どうも内容が把握できなくって
観ないままでいます。

でも、映像が美しいですよね。
それに反して、話はドロドロですか?

2014/02/20 (木) 21:42:20 | URL | ぷっちん #Drcz0VvE [ 編集 ]

Re: そういう映画だったのですか

> ぷっちんさん
コメントありがとうございます。
とても美しいドロドロでした〜。
ぜひ。

2014/02/21 (金) 08:01:03 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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