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アメリカン・ハッスル

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(原題:American Hustle 2013年/アメリカ 138分)
監督/デビッド・O・ラッセル 脚本/エリック・ウォーレン・シンガー、デビッド・O・ラッセル 撮影/リヌス・サンドグレン 美術/ジュディ・ベッカー 衣装/マイケル・ウィルキンソン 編集/ジェイ・キャシディ、クリスピン・ストラザーズ、アラン・ボームガーテン
 音楽/ダニー・エルフマン
出演/クリスチャン・ベール、ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・レナーカー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンス、ルイス・C・K、マイケル・ペーニャ、アレッサンドロ・ニボラ、ロバート・デ・ニーロ

概要とあらすじ
「世界にひとつのプレイブック」「ザ・ファイター」のデビッド・O・ラッセル監督が、1970年代アメリカで起こった収賄スキャンダル「アブスキャム事件」を映画化。詐欺師がFBIに協力し、おとり捜査によって真相を暴いた実話を、「ザ・ファイター」のクリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、「世界にひとつのプレイブック」のブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ラッセル監督作初参加のジェレミー・レナーら豪華俳優陣を迎えて描いた。79年、ラスべガスやマイアミに続くカジノタウンとして開発中のニュージャージー州アトランティックシティ。詐欺師のローゼンフェルドを逮捕したFBI捜査官のディマーソは、司法取引でローゼンフェルドを捜査に協力させ、偽のアラブの大富豪をエサにした巧妙なおとり捜査によって、カジノの利権に絡んだ大物汚職政治家たちを逮捕していく。(映画.comより



人は信じたいものを信じる

おそらく、いま最も「ハッスル」している
デビッド・O・ラッセル監督の新作『アメリカン・ハッスル』
『ザ・ファイター(2010)』
『世界にひとつのプレイブック(2013)』
足して2をかけたらコメディになった、そんな作品です。
最初にわざと「ハッスル」という言葉を使ってみましたが
日本では「はりきって頑張る」みたいに使われる「ハッスル」は
本来は「無理矢理押し付ける、詐欺」などを意味するのだとか。
気をつけよう、暗い夜道と和製英語。

いきなり、詐欺師アーヴィンに扮するクリスチャン・ベールが
丁寧にヅラをセットするシーン
から始まり、笑いを誘いますが
観終わった今になると、すでにこのオープニングで
誰にでも隠し事があることを示唆しています。
もし、安価なヅラをお召しの方がこの作品を観に行く際には
その日ばかりは、ぜひ帽子を着用していただいたほうが
ご自身にとっても周囲にとっても安心できるかと。

メソッド俳優クリスチャン・ベールは
『ザ・ファイター』ではガリガリのヤク中でしたが
今回はでっぷり太って腹を突き出し、
頭の毛を剃ってハゲになる気合いの入れよう。
でも、胸毛は付け毛だとか。
さすがのベールも生えないものを生やすのは無理のようです。

もうひとりの『ザ・ファイター』組が
シドニーに扮するエイミー・アダムス
『ザ・マスター』のほうが記憶に新しい彼女は
ほとんどのシーンで半チチを出しっぱなし
むんむんした色気を放っておいでです。
(シドニーがずっとノーブラの理由は
 一番下の町山智浩さんの解説動画をどうぞ)
しかも頭がキレる女性ですが、一方で変身願望を抱えています。
面接に行った雑誌「コスモポリタン」の今月の特集が
「クンニ特集」って、なんだよそれ。わはは。

アーヴィン(クリスチャン・ベール)と
シドニー(エイミー・アダムス)は
デューク・エリントンをきっかけに意気投合し、
愛人兼詐欺のパートナーとなって稼ぎまくります。
アーヴィンが営むクリーニング屋で愛を確かめ合う二人のまわりを
吊された洗濯物がメーリーゴーランドのように回ります。
あんなロマンチックな洗濯物をみたのは初めてです。

裏稼業が順調に進んでいた二人でしたが
FBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)
おとり捜査にひっかり敢えなく逮捕。
詐欺仲間を売れば無罪放免にしてやるという司法取引に応じて
話がどんどんややこしく面倒になっていくのです。

ブラッドリー・クーパーは
『世界にひとつのプレイブック』をそのまま引き継いだような役柄。
気に入らない上司を電話機で殴るほどキレやすく、
野心家ですが、あまり頭がキレるようには見えません。
(リッチーがパンチパーマの理由も
 一番下の町山智浩さんの解説動画をどうぞ)

『世界にひとつのプレイブック』からのもうひとりは
アーヴィンの妻ロザリンに扮するジェニファー・ローレンス。
モデルとなった実在の人物は、事件当時50歳だそうで
1990年生まれで23歳の彼女はさすがに50歳にはみえないものの
デビ夫人的ヘアスタイルで高慢ちきな女を怪演しています。
口元を醜くゆがめて、まったく筋の通らない理屈をまくしたてるロザリンは
本当に胸くそ悪くて、憎たらしいクソ女。
でも、エロい。

妻ロザリンと愛人シドニーが、ついに対峙するトイレのシーンが見物です。
23歳のジェニファー・ローレンスと39歳のエイミー・アダムスですが
ジェニファー・ローレンスがふてぶてしいほど貫禄あるの演技で
エイミー・アダムスをマウントします。

何度も「人は信じたいものを信じる」というセリフが出てきますが
ヅラに始まって、家庭環境や出生の秘密など
誰でもなにかしら隠し事を持っていて、
相手やもしくは自分までをも
少なからず騙しているということが語られます。
とくに、シドニーとリッチー捜査官の関係で描かれる恋愛など
まさに騙し合いといえるでしょう。
場合によっては、騙されていることに気がつかないほうが
幸せだってこともあるわけだよ。うん、うん。
残念だったのは、後半でシドニーが自分の経歴の秘密を
リッチー捜査官に打ち明ける方法

訛りを聞き分けられるほど英語力がないとわからないということ。
面白さを一個損した感じです。

本当は一番の悪党であるはずの詐欺師アーヴィンが
どんくさいリッチー捜査官に計画を邪魔され、
妻ロザリンに頭を悩まされて、翻弄される姿が絶妙で
陥れるはずだったカーマイン市長(ジェレミー・レナー)
友情が芽生えて、だんだん良心の呵責に耐えられなくなっていきます。
実際の事件でも、5人の下院議員が汚職で有罪判決を受けたそうですが、
カーマイン市長のような、もともと悪気がない人間をわざわざ騙して
逮捕してしまうおとり捜査のやり方については
物議を醸したのも当然でしょうな。

正直言うと、誰が誰にどうしたのか、
途中でストーリーを見失いかけたのですが
騙し合いの果てに、最後の最後で
わあ〜!ってなります。わあ〜!って。
ネタバレが基本のこのブログでも、さすがにそれがなにかは書けません。
でも必ずや誰しも、わあ〜!ってなるでしょうよ。
もしくは、おお〜!かもしれません。
どっちでもいいけど。

お見事でございました。



TBSラジオ「たまむすび」映画評論家 町山智浩さんの映画解説




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コメント

シネシャンテにて

いやぁ、なんか己の頭の悪さを痛感しましたね。
話が今三くらい解らなくて悔しいかぎりです。

ラッセル監督の大好きな前2作は、ただ見ていれば
“俺もバカだけど、アンタ達もバカだねぇ、ガハハッ”って笑っていられたけど、
今回は騙しあいを理解しないと痛快さを体感できないからねぇ。

特にラストに繋がるアーヴィンとロザリンの会話なんか全くちんぷんかんぷん!
お陰で“死ぬのは奴らだ”のやけっぱち感も半減で悔しかったぁ。

悔しかったと云えば、音楽。
前回のS・ワンダーの歌は知っていたけど
今回知ってる曲はD・エリントンの曲のノリが解る位で
他に使われた曲は1曲も知りませんでした。
知っていたらもっと話に乗れたでしょうね。
次作はサントラ買ってから見なきゃだな。

他にも、
シドニーのイギリス英語のしゃべり方や
アーヴィンのブロンクス訛りとか
ストーリー以外にも人間像が感じられる設定があったのに
解らなくて悔しい限りです。
(でもJ・ローレンスの近郊都市のババぁぶりは最高でした)

それにしても、カーマイン市長は可哀想でした。
でもいまやアトランテックシティは
東海岸のラスベガスって感じになっているからマァいいか。

あとオスカーでは見事に無冠!だったけど、
会場にいたアメリカンハッスルの面子は皆仲いい感じで
賞を採った人達より良い感じで目立っていて、
充実した現場だったのが感じました。

アップされてい“たまむすび”聞きました。
町山さんはこの映画は予習は必要ないって云ってましたね。
…あぁ、俺はやっぱアタマ悪いんだなぁ(涙)

2014/04/03 (木) 19:08:04 | URL | OKU #- [ 編集 ]

Re: シネシャンテにて

>OKUさん
楽しまれたようで、なにより。
アクセントの違いを聞き分けるのは難しいけど
ストーリー自体はわかりましたよ。ラストが痛快でした。

2014/04/04 (金) 09:15:05 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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