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オンリー・ゴッド

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(原題:Only God Forgives 2013年/デンマーク・フランス合作 90分)
監督・脚本/ニコラス・ウィンディング・レフン 撮影/ラリー・スミス 美術/ベス・マイクル 編集/マシュー・ニューマン 音楽/クリフ・マルティネス
出演/ライアン・ゴズリング、クリスティン・スコット・トーマス、ビタヤ・パンスリンガム、ラター・ポーガーム、ゴードン・ブラウン、トム・バーク、ヤヤ・イン

概要とあらすじ
「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督とライアン・ゴズリングが再タッグを組んだサスペンスドラマ。タイのバンコクを舞台に、兄を殺され復讐を遂げようとする男の前に、神を名乗る謎の男が立ちはだかる様子を、レフン監督独特の映像美と過激なバイオレンス描写とともに描き出した。バンコクでボクシングクラブを経営し、裏では麻薬の密売にもかかわるジュリアン。ある日、兄のビリーが惨殺され、アメリカで巨大犯罪組織を仕切る母のクリステルは、ジュリアンに復讐を命じる。しかし、そんなジュリアンの前に、元警官で裏社会を牛耳っているという謎の男チャンが立ちはだかる。(映画.comより



好きなんだからしょうがないじゃん!

「好き・嫌い」というやつは、
「評価する・しない」とは別物で、根拠がないものです。
「○○という理由で、好き」という場合は
本人が認めなかったとしても、基本的にあとづけです。
だからこそ、恋愛において
相手の顔にある同じものが
アバタになったり、エクボになったりするのです。

『オンリー・ゴッド』
そんなふうに「好き・嫌い」がはっきりわかれてしまう作品です。
映画祭でも、スタンディングオベーションとブーイングが
同時に起こったそうで、その光景を思い浮かべると、ある意味痛快。
とにかく『ドライヴ(2011)』にヤラれた人は
観るしかないでしょう。

『ドライヴ』もかなりヘンテコな作品でしたが
『オンリー・ゴッド』はさらに上をいく倒錯っぷりです。
独特な照明やシルエットの使い方はあいかわらずで、
前半の多くのシーンは、まるで暗室の中にいるような
赤い暗闇
に覆われ、かと思うと画面一面が青に染まったりします。
(意図的な色分けがされているようにも感じるけれど
 初見では判別不可能でした)
『ドライヴ』で、ライアン・ゴズリングが暴力をふるっているのを
椅子に腰掛けたストリッパーたちが黙ってみているという
異様なシーンがありましたが
『オンリー・ゴッド』は、あのシーンを90分に拡大したような作品です。

セリフが極端に少なく、ほとんど目配せだけで会話しているようで
主人公ジュリアンに扮するライアン・ゴズリング
ワンシーンを除いてずっと無表情のまま。
最後は顔がぼこぼこになってます。

16歳の売春婦を殺してしまったジュリアンの兄ビリー(トム・バーク)
その売春婦の父親が殺したことによって復讐劇が始まるのですが
父親にビリーを殺させるのが、
警察と「復讐の天使」チャン(ビタヤ・パンスリンガム)
僕はずっとチャンは警官だと思って観ていたのですが
元警官だそうで、とにかく、チャンは警察をも牛耳って
すべての善悪を裁く「神」そのものなのです。
凶悪なノッチみたいな顔をしたビタヤ・パンスリンガムは
タイでは有名な俳優さんで、剣道5段の腕前だそうで。

チャンはいつも刀を背中から抜いて出すのですが
どう考えても背中に刀の鞘が仕込まれているとは思えず、
「シャキーン!」とマンガチックな効果音とともに刀を抜くチャンの姿は
あきらかにファンタジー。だからこそ無敵なのです。
そして、謎のカラオケ。神が歌うカラオケ。

ビリーの死の知らせを聞いてアメリカからバンコクにやってきた
母親クリスタル(クリスティン・スコット・トーマス)
登場したときから恐ろしいほど悪態で、どうみても「魔女」。
なんせふたりの息子に麻薬の売買をやらせている元締めですから。
兄ビリーを溺愛し、ジュリアンを頼りなく思っているクリスタルですが
「ビリーのあそこは大きかったわ……
 ジュリアンも小さいわけじゃないけど。」

と、食事の席で完全にイカれたことを言い始めます。
推測ですが、クリスタルは二人の息子の両方と
近親相姦関係だった
のではないでしょうか。
だからといって(←この表現もどうかしてると思うが)
死んだ息子のムスコのでかさをしみじみ語るクリスタルは狂っていますが
お兄ちゃんのムスコのほうがいいと言われた弟・ジュリアンが
マイ(ラター・ポーガーム)のような美女を前にしても興奮しないような
性的に不能な状態になるのもやむなし。
ビリーは超ロリコンのドS。ジュリアンは超マザコン。
子育て、大事。

歩くシーンが多かったのも印象的だったし、
そもそもの寡黙な作風から
僕はどうしても北野武監督作品が頭に浮かんでくるのですが
襲撃したチンピラが逃げるのを走って追いかけるチャンとのシーンは
『その男、凶暴につき』を思い出しました。

レフン監督によると、たびたび登場するこぶしは
暴力と性(=男根)の象徴
だそうですが
最終的に、チャンに両手を差し出すジュリアンは
すべての欲望を捨てて、
赦し(=forgive)を得るということでしょうか……ね。
母親によってさんざん去勢されてきたジュリアンを思うと
ちょっとかわいそうな気がしないわけでもないけど。

最後の〆は、やっぱりチャンのカラオケ! わはは!
グッとくるような、笑っちゃうような
なんとも言えないエンディングです。
いっそのこと、歌詞を字幕にしてほしかった。
エンドロールの最初には
「アレハンドロ・ホドロフスキーに捧ぐ」とありました。

シンメトリーの構図や、人物にゆっくりズームしていくカメラなど
もう、わかったから! と言いたくなるほど繰り返すので
ちょっと映像スタイルに固執しすぎじゃないかとは思いましたが
「嫌いですか?」と聞かれれば
「……好きです」と答えるしかありません。

なにやら、レフン監督は
日本で撮影する予定の『The Avenging Silence』という作品を
企画中だとか。
う〜ん、超たのしみ。





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