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ブギーナイツ

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(原題:Boogie Nights 1997年/アメリカ 155分)
監督/ポール・トーマス・アンダーソン 脚本/ロイド・レビン 撮影/ロバート・エルスウィット 美術/ボブ・ジンビッキ 音楽/マイケル・ペン
出演/マーク・ウォールバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア、ヘザー・グラハム、ジョン・C・ライリー、ウィリアム・H・メイシー、フィリップ・ベイカー・ホール、リッキー・ジェイ、ドン・チードル、フィリップ・シーモア・ホフマン

概要とあらすじ
時は1977年。ディスコで皿洗いのバイトをしているエディ・アダムスは、その巨大な男性自身からポルノ映画監督のジャック・ホーナーにスカウトされる。エディが飛び込んだポルノ業界では麻薬に溺れて息子の親権を手放したポルノ・クイーンや、色情狂の妻の浮気に悩まされるマネージャーやゲイの男など、さまざまな人間が存在していた。やがて芸名をダーク・ディグラーとしたエディは、次々と主演作をヒットさせ、またたく間にポルノ界のスーパー・ヒーローに上り詰めていくのだが……。70年代後半のポルノ産業を舞台にした辛辣な人間ドラマ。(allcinemaより



巨根は才能。

ポール・トーマス・アンダーソン(以下PTA)監督が18歳のときに撮った
8mmの短編映画『The Dirk Diggler Story』を長編に作り直したという
『ブギーナイツ』
そんなに若いときに8mmカメラを握って撮るのがポルノ業界かよと思ったら
監督が育ったサン・フェルナンド・ヴァレーという場所は
ポルノ製作のメッカだったそうで、納得。
いやいや、納得はしないけれども
とにかくPTA監督の実体験が色濃く反映されているようです。

オープニングで、「Boogie Nights」と書かれた看板のクローズアップから
道路を横断し、ポルノ映画監督ジャック(バート・レイノルズ)
愛人でありポルノ女優のアンバー(ジュリアン・ムーア)を引き連れて
車でキャバレー(?)を訪れ、席に着くと
おしっこが漏れそうなローラーガール(ヘザー・グレアム)が登場して
トイレに急ぐのを追いかけながら
ジャックが下働きのエディ(マーク・ウォールバーグ)に目を付けるまでを
ジョン・C・ライリードン・チードルなどの
主要な登場人物たちを紹介しつつ
ワンカットで見せる長回しのシーンが圧巻です。

ジャックのプール付き豪邸で行なわれたパーティーのシーンでも
行き交う人々の合間をカメラがすり抜けながらそれぞれの台詞を拾い、
水中に潜るまでワンシーン・ワンカットで見せつけ
映画的な喜びに満ちています。

PTA監督の実体験が反映されているのは出身地だけではなく
PTA自身がかなりの落ちこぼれで、高校をダブったあげくになんとか卒業したそうで
母親からクズ呼ばわりされていたエディや
高校の勉強をやり直そうとするローラーガールはPTAの自己投影でしょう。
エディの部屋にブルース・リーのグラビアの切り抜きや
ファラ・フォーセットや『セルピコ』やスーパーカーのポスターが貼ってあるのも
PTA自身の少年時代の部屋を再現しているのかもしれませんね。

「巨根」という才能を武器に、ポルノ男優として
スター街道を上り詰めたエディ=ダーク・ディグラーでしたが
1970〜1980年へと移り変わる時代に沿うように
身を滅ぼしていきます。
ただ、子供じみた理想を掲げるダークだけが
社会の変化に適応できなかったわけではなく、
ダークと決裂する映画監督のジャックも
フィルムからビデオへと映像技術が移り変わっていく中で
理想と現実の狭間で苦しみつつ
生き延びる道をかろうじて選択しているのです。
その結果がポルノ映画からアダルトビデオへの転換で
リムジンに乗って、日本のAVでもよくある「逆ナン」ものをやろうとするものの
無礼な素人に憤ってボコボコにします。
(普通、この素人は仕込みを使うと思うけど)
たとえ、アナルでも何でも平気でおっぴろげる新人が現れても
ジャックにはジャックなりのポルノに対する不可侵な美学があるのです。

このシーンでボコボコにされるくそガキと同様に
オーディオ好きなドン・チードルを「ポルノのひと」と呼び
融資を断る銀行員も本当のゴミです。
風俗店に行って「もっとまともな仕事すれば?」なんて
風俗嬢に説教するバカと同じで
自分の下世話な欲望の処理を他人に依存して
優位に立ったつもりでスマしている最も醜悪な人間どもです。
僕には、ポルノに関わっていることが
なぜ蔑視されなければならないのか理解できません。
もちろん、ポルノが特別立派だというつもりはありませんが
公明正大なことをいいながら
週刊誌の袋とじをこそこそ破いているようなやつよりは
よっぽど上品だと思います。

ただ、それじゃあ自分の彼女や奥さんがポルノ女優だったらどうなのか
といわれれば、勝手だと言われるかもしれませんが
恋愛とセックスに関する独占欲はまた別の問題で
そのへんの心理の複雑さは、妻を射殺したあと自殺してしまう
ウィリアム・H・メイシー
に表れています。

なぜか中国人の子供が部屋の中で爆竹を鳴らし続けるシーン
おかしくもあり、緊張感もあって
ちょっとタランティーノ風味でしたが
あのシーンは、その昔PTAの父親が子供番組の司会をやっていて
視聴者から送られて来たプラモデルを爆竹で爆破していたことへの
オマージュだとか……そんなもん知るか!

ラストシーンで、鏡の前に立ったダークの巨根がついにあらわに!
と思ったら、ボカシが。

そのボカシそのものが下品ですけどね。

70年代〜80年代の音楽に彩られた
盛りだくさんの群像劇で
くだらない偏見を持たない人には、グッとくる作品です。





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