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ポール・ヴァーホーヴェン/トリック

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(原題:Tricked/Steekspel 2012年/オランダ 89分)
監督/ポール・バーホーベン 脚本/キム・ファン・コーテン、ロバート・アルベルディンク・タイム、ポール・バーホーベン 撮影/レナート・ヒレッジ 音楽/フォンス・メルキース
出演/ピーター・ブロック、ゲテ・ヤンセン、リッキー・クール、ヨフム・テン・ハーフ、ロベルト・デ・ホーフ、サリー・ハルムセン、カロリーン・スプーア、ピーテル・ティデンス

概要とあらすじ
「スターシップ・トゥルーパーズ」「氷の微笑」の鬼才ポール・バーホーベンが、「ブラックブック」以来6年ぶりにメガホンを取ったサスペンス。映画の冒頭4分だけを公開してその後の脚本を一般公募し、送られてきた1000以上もの脚本から監督自ら選出したものを繋ぎあわせて製作。その過程を追うドキュメンタリーを併せた2部構成となっている。50歳を迎えたプレイボーイの資産家ムレコは、愛する家族や美しい愛人に囲まれて満ち足りた毎日を送っていた。ところが、海外にいるはずの元愛人ナジャの突然の出現により、完璧だった彼の人生は崩壊していく。(映画.comより)



お見通しじゃないほうの「トリック」

ヒューマントラストシネマ渋谷で開催されている
「未体験ゾーンの映画たち 2014」で上映された
『ポール・ヴァーホーヴェン/トリック』
同時期に『トリック劇場版 ラストステージ』が公開されていて
まぎらわしいといえば、まぎらわしいのですが
こちらの「トリック」は
まったく「まるっとお見通し」ではありません。


各所で紹介されているとおり
『ポール・ヴァーホーヴェン/トリック』は、
冒頭の4分間だけを脚本家の書いたシナリオで撮影し、
(5分間と表記してあるところもあるけど)
その映像をネットにアップしてその後5分間のシナリオを一般から公募し、
またその分を撮影してネットにアップ、
それを観た参加者たちが次の5分間のシナリオを応募する、という
「まるっとお見通し」どころか、
まったく先の展開が読めないなかで制作された異色作です。

ネットを活用した、
いかにも現代的な「シェア」の考え方のように思えますが
観客の好みをマーケティングするような迎合的な発想とは違い、
大量に送られてくる応募の中から
面白いと思えるものを選別し、採用を決断するのは
やはりヴァーホーヴェン監督
なのです。
当たり前のように思われるかもしれませんが
民主的な議論による判断がなされたとしても
話し合いからはロクなものはできません。
表現において、最終的に決断を下すのは個人の発想であるべきです。
判断と決断とは別ものなのです。

このような制作方法は
映画としては、画期的だと言えるでしょうが
アメリカのテレビドラマなどは
結末が決まっていないうちから放送スタートし、
違う脚本家がリレーのように引き継ぎながら物語を作っていくので
まったく突拍子もないやり方とは言えないでしょう。

前半は、そんな作品づくりを追ったドキュメンタリーになっています。
「自分を追い込んで、ぬるま湯のような環境にいてはだめだ」
と語る、ヴァーホーヴェン監督は御年75歳。
この企画のコンセプトを喋りまくる姿はまさにエネルギッシュで
老け込む気配など微塵もありません。

そして、後半からいよいよ本編スタート。
大企業の社長レムコ(ピーター・ブロック)の50歳を祝う
誕生日パーティーから始まります。
前半のドキュメンタリーを観たあとなので
「そうか〜この時点ではまだなんにも決まってないのか〜」
なんて、スタッフでもないのにちょっと感慨深い気持ちになります。

若い俳優たちのほとんどは、俳優学校の学生だそうですが
とくにつぎつぎに登場する女性はみなさん美人。
レムコの娘もかわいいし、
レムコの元愛人ナジャ(サリー・ハルムセン)も色っぽい。
重要な役どころのレムコの娘の友達は
あっさりおっぱいを披露してくれます。
(役名を忘れてしもうた)
そのあと、ゲロにタンポンにと
さりげなく下品なシーンが続きます。
(タンポンはまさかの伏線に!)

レムコの娘は隠れてコカインやってたり、
息子のトビアス(ロベルト・デ・ホーフ)はエロおたくだし、
みんな何かしら隠し事を持っているのですが
物語の中心となるレムコの異常な女好きが
ばれていないと思っているのはレムコ本人だけというのも
面白いところです。
あのコやあのコとの関係も周囲にはバレバレなのに
レムコが「知ってたのか!」みたいな表情をするのが笑えます。

レムコの女好きは相当なもので
会社が倒産の危機に見舞われ、売却しなければならない事態のうえに
妊娠した元愛人ナジャに父親だと脅されている状況でも
昼間っから、娘の友達とホテルで待ち合わせする猛者なのです。
やっぱり女ったらしは、マメでなきゃね、なんて感心するのですが
レムコの女癖の悪さを知り尽くしているレムコの妻をはじめ、
愛人たち女性が互いに牽制し合うものの
肝心なところでは敵対しないのが恐ろしい。
やっぱり、女は怖いのです。

ラストは、
いよっ! と声をかけたくなるような
本当に気持ちのいい見事な終わりかた
です。
前半のドキュメンタリーを除いた本編の上映時間は
50分ということですが
話運びが慌てているわけでもなく、むしろ濃厚で
一般公募されたシナリオから作られたことで
かえってヴァーホーヴェン監督の演出の素晴らしさが
際だったような作品でした。





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