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ソウルガールズ

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(原題:The Sapphires 2012年/オーストラリア 98分)
監督/ウェイン・ブレア 脚本/キース・トンプソン、トニー・ブリッグス 撮影/ワーウィック・ソーントン 美術/メリンダ・ドーリング 編集/ダニー・クーパー 音楽/チェザリー・スカビスゼウスキー 音楽プロデューサー/ブライアン・ジョーンズ
出演/クリス・オダウド、デボラ・メイルマン、ジェシカ・マーボイ、シャリ・セベンズ、ミランダ・タプセル、トリー・キトルズ、エカ・ダービル

概要とあらすじ
オーストラリアの先住民族アボリジニの4人組女性ボーカルグループ「サファイアズ」の実録ドラマ。1960年代末のオーストラリアで、人種差別などの壁を乗り越えながら音楽シーンで活躍していくサファイアズの姿を描いた。アボリジニ居住区に暮らすゲイル、シンシア、ジュリーの3姉妹といとこのケイは音楽好きで、カントリーミュージックのスター歌手になることを夢見ていた。しかし、世間にはいまだ差別意識が根強く残っており、コンテストに出場してもあえなく落選。そんな矢先に出会った自称ミュージシャンのデイヴからソウルミュージックを叩き込まれ、彼女たちの運命は大きく変わっていく。(映画.comより)



差別も戦争も、ソウルにおまかせ

脚本家の1人トニー・ブリッグスが、
自身の母親がかつて「サファイアズ」というボーカル・グループを
結成していたという話を知り、
脚本化したという『ソウルガールズ』
導入でこの作品が事実に基づいていることが告げられますが
1968年に市民権が与えられるまで、
アボリジニーたちが「動植物」と同じ扱いだったという表現に
いまさらながら暗澹たる気分になります。
(しかも180年間も!)
白人たちの略奪と暴力に「差別、ダメ、ゼッタイ!」とか言う前に
よくぞここまで傲慢になれたもんだと感心すらしますな。

街のタレントコンテストに向かおうとする三姉妹のうち、
寝坊した男好きのシンシア(ミランダ・タプセル)
母親に髪を整えてもらいながら歌い出すと、
ギターを持った長女ゲイル(デボラ・メイルマン)がコーラスで加わり、
ふてくされていたジュリー(ジェシカ・マーボイ)
しぶしぶその輪に加わって歌い出すシーンが鳥肌もの。
「音楽映画」としてまずはご挨拶といったところでしょうか。
舞台となっているのが1968年なので
アボリジニーが法的に「人間」として認められたとはいえ
白人たちの差別意識がころっと改まるわけもなく、
当然のようにおぞましい態度で迎えられます。
(そもそも差別は法律の不備じゃないからねぇ)

コンテストの司会役を務めていた
デイヴ(クリス・オダウド)と出会った三姉妹は
新聞の広告にあったベトナム戦争真っ最中のアメリカ兵を
慰問する歌手のオーディション
に参加することになるのですが
彼女たちがそのオーディションに参加したいと思う動機が
割のいいギャラなのか、歌で成功したいのか、
それとも差別だらけのこの町から抜け出したいのか
明確にわかるようには描かれていませんでした。
ベトナムのアメリカ兵を慰問するオーストラリアのアボリジニーという
なんともややこしい状況に彼女たちが飛び込むのは
どういう思いに駆られてのことなのか、
もう少し克明に感じたかったところ。

冒頭で、簡易的なステージで歌う幼い彼女たちが4人だったのに
なんで3人しかいないのかなー
なんか見逃したかなー、なんて思いながら見ていると
原住民だけど肌が白いケイ(シャリ・セベンズ)が登場して納得。
後半のシーンで顛末が描かれていますが
ケイは「盗まれた世代」と呼ばれる子供だったのです。
北ヨーロッパ人は文明のレベルにおいて優れているという、
優生学思想に基づいて、
混血の人々をオーストラリア社会に文化的に同化させる目的で
「白い原住民」の子供をさらっていたのですな。
人の家に押しかけて子供をさらっていくような連中が
なにが文明だよ、ばかやろう。

このような身勝手極まりない差別がタチが悪いのは
ゲイルとケイの対立に表れているように
差別されるものどうしのあいだで、新たな差別を生むことでしょう。
そんな悲劇にもっとも翻弄されているのがケイですが
ベトコンに襲撃されたキャンプから逃げ出すために
乗り込んだヘリコプターのなかで、
負傷してわめく兵士を応急手当しようとするケイに対して
「触るな! この黒い犬め!」と罵った当の兵士には
本当に腹が立ちますね。
あの状況でよくもまあその言葉が出てくるもんだと思いますが
あんなやつはヘリから蹴り落としてやればいいんです。

当然のことながら、数々の名曲が作品を彩っています。
わりかしベタな選曲がちょっと残念ですが
ステージで歌う「サファイアズ」に
ライブの観客がどんどん魅了されていくさまが見どころで
ちゃんとウットリするように演出されています。
もともとカントリーしか知らなかった彼女たちが
いつのまにソウルのフェイク(こぶし)を覚えて使いこなし、
いつのまにバンドとリハーサルしたのか……
ていうような細かいところが気にならないわけではないけれども
野暮なことを言うのはやめにして
「サファイアズ」の歌声に聞き惚れましょう。
ベトナムに到着した彼女たちが最初のステージで歌う
「What A Man」のかっこよさが半端ないのです。

物語の柱のひとつとなっている
口うるさくて偉そうなゲイルとデイヴの恋の成り行きも
説明過多でまどろっこしく感じるところがないわけではありませんが
逆境をものともせず、とにかく陽気で魅力的な
「サファイアズ」の歌とダンスで元気になりましょう。

人種差別も戦争も乗り越えられる(かもしれない)
音楽の力を改めて感じられる作品でした。





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