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リアル 完全なる首長竜の日

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(2013年/日本 127分)
監督/黒沢清 脚本/黒沢清、田中幸子 撮影/芦澤明子 照明/永田英則 美術/清水剛 編集/佐藤崇 音楽/羽岡佳 VFXスーパーバイザー/浅野秀二
出演/佐藤健、綾瀬はるか、オダギリジョー、染谷将太、堀部圭亮、松重豊、小泉今日子、中谷美紀

概要とあらすじ
第9回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した乾緑郎の小説「完全なる首長竜の日」を、佐藤健&綾瀬はるか主演、黒沢清監督で映画化。浩市と淳美は幼なじみで恋人同士だったが、淳美は1年前に自殺未遂で昏睡状態に陥り、いまも眠り続けていた。浩市は淳美を目覚めさせるため、「センシング」という最新医療技術を使って淳美の意識の中へ入り込み、彼女がなぜ自殺を図ったのかを探る。センシング中に出会った淳美は、浩市に「首長竜の絵を探してきてほしい」と頼み、浩市はその絵を探しながら淳美との対話を続ける。しかし、センシングを繰り返すうちに、浩市は見覚えのない少年の幻覚を見るようになり……。(映画.comより)



完全なる黒沢清のひっひっひ

佐藤健と綾瀬はるかのダブル主演ということで
一般的な食い付きがよさそうな
『リアル 完全なる首長竜の日』
この人気者二人を目当てにして、
アイドル映画を観るつもりだった人たちは
さぞかしお口あんぐりだったことでしょうな。
ひっひっひ。

いつも精神的な病理や倒錯を描く黒沢清監督
若い人気者のふたりを主役に据えたからといって
ただ甘いだけの駄菓子のような作品になるわけがありません。
とはいえ、この『リアル 完全なる首長竜の日』は
黒沢清ファンにとっても
お口あんぐりな作品なのではないでしょうか。

冒頭の室内のセットから
幾何学的で迷路のようなマンションの構造
にいたるまで
舞台装置とその捉え方が素晴らしく、
佐藤健と中谷美紀が会話する
どこにでもありそうな階段の踊り場のような場所までもが
浮世離れしたような違和感を持っています。
とくに「センシング」を行なうための装置の
デザインとリアリティーに説得力がありましたが
「センシング」に関しての技術的な説明はほとんどなく
そういうものがあるという前提で物語が進行するので
このような装置がしっかりとデザインされていることで
すべてが嘘くさくならずに
作品の世界観を保てるのではないでしょうか。

逆に、浩市(佐藤健)
アシスタント(染谷将太)を車で送っていくシーンの
車外を流れる風景の意図的に陳腐な合成
浩市の置かれた異様な状況を伝えるとともに
映画という絵空事の世界であることを強調します。

「センシング」によって
昏睡状態の淳美(綾瀬はるか)の意識を行き来するうちに
浩市の現実(=リアル)が淳美の意識に浸食されていくのを見ていると
意識が朦朧としているのは浩市のほうじゃないかと
誰しも感じ始めるはずですが
案の定、物語はそのとおりに展開します。
「オチが読めたよね〜」なんて軽口たたくバカがいますが
浩市から淳美への物語の転換をどんでん返しとして
驚かせようという意図はないでしょう。
なにしろメインは「首長竜」ですから。

途中、フィロソフィカルゾンビというものが登場します。
これが原作からあったものかどうかわかりませんが
なんとなく名づけられた存在ではなく
Wikipediaによれば、フィロソフィカルゾンビ(=哲学的ゾンビ)とは
「物理的化学的電気的反応としては、
 普通の人間と全く同じであるが、
 意識(クオリア)を全く持っていない人間」
とのこと。
なんだか難しそうですが、上の説明からすると
いつも他人の反対意見にあっさり従う
脳神経外科医(堀部圭亮)
フィロソフィカルゾンビのように見えなくもありません。

そして、登場する首長竜。
なぜ首長竜なのか、さっぱりわかりませんが
それを含めて、この荒唐無稽な展開を
楽しむべきなような気がします。
なかなかに精巧なCGの首長竜は
さきの「センシング」の機械と同様に
とんでもない展開だからこそ
ディティールに説得力が必要なのでしょう。

タイトルにもあるように
黒沢清監督は
「なにが現実(=リアル)なのかわからない」ということを
一貫して描いてきたように感じます。
それは映画そのもののことなのかもしれません。
ラストは意外にもわだかまりを残さないものでした。

浩市と淳美は、夫婦なのかと思ってみていたら
どうやら恋人同士のようですが
とくに、つねに七分丈のズボンを履いている佐藤健のせいで
なんだか二人が子供っぽく見えて
恋愛ごっこをしているようでした。
永遠の愛を誓い合う若いふたりということで
それはそれは結構なことでございますが
「わかっているつもりでも、じつは相手のことをよく知らない」
という意味合いにおいては
このふたりの組合せを熟年夫婦の設定で
見てみたい気もします。

白衣を着てうろうろしてるけど何にもしていない中谷美紀
謎めいているといえば確かにそうだが
それ以前に単純にうざい。
そんな作品でした。





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