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コーマン帝国

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(原題:Corman's World: Exploits of a Hollywood Rebel 2011年/アメリカ 91分)
監督・製作/アレックス・ステイプルトン 編集/ビクター・リビングストン、フィリップ・オーウェンズ 音楽/エール
出演/ロジャー・コーマン、ロバート・デ・ニーロ、ジャック・ニコルソン、マーティン・スコセッシ、ロン・ハワード、ジョナサン・デミ、ピーター・フォンダ、ブルース・ダーン、ポール・W・S・アンダーソン、クエンティン・タランティーノ、デビッド・キャラダイン、ピーター・ボグダノビッチ、ジョン・セイルズ、イーライ・ロス

概要とあらすじ
「インディペンデント映画の神」「B級映画の帝王」とも称される名プロデューサーで映画監督のロジャー・コーマンの人生を描いたドキュメンタリー。「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(1960/監督・製作)や「血まみれギャングママ」(70/監督)、「デス・レース2000年」(75/製作)など、監督として約50本、プロデューサーとしては400本以上もの作品を世に送り出してきたコーマンは、「早く、安く、利益を出す」という理念のもと、奇抜なアイデアで作品を連発。ジャック・ニコルソン、フランシス・フォード・コッポラ、ロバート・デ・ニーロ、マーティン・スコセッシ、クエンティン・タランティーノらがコーマンの率いる低予算作品の現場から巣立っていった。そんなコーマン門下生らのエピソードや代表作のフッテージとともにコーマンの軌跡を追う。(映画.comより)



やりたいこととお金。または、その両方。

「ロジャー・コーマン作品のことならオレに任せろ!」
なーんつって言えるほど観ているわけではないのですが
暴力とおっぱいと爆発シーンてんこ盛りの「B級映画」を
低予算で撮り続けた監督・プロデューサー
であることは
当然知っていましたし、
コーマンの薫陶を受けた人々が
名監督や名俳優として、まさにきら星のごとく
成功しているのも周知の事実。
でも、正直に告白すると
僕はロジャー・コーマンのことを
利益を最優先する伝説の興行師で
1000本ノックを受けるようにして足腰を鍛えられた監督や俳優たちが
コーマンの思惑とは別に、ケガの功名で実力を身につけたと
浅い知識ゆえに勘違いしておりました。
この『コーマン帝国』を観終わった後では
「いけいけ! B級、最高じゃん!」的なノリとも違って
ロジャー・コーマンの映画作りに対する姿勢に
えらく感銘を受けた次第でございまする。

いちいち名前を挙げるのも馬鹿馬鹿しいほどのそうそうたるメンバーが
若いだけが頼りでまだなにも手にしていなかった頃、
コーマンによってチャンスを与えられたのをきっかけに
それぞれの才能と努力によって評価をものにしていったわけですが
コーマンが無名の若者を起用した背景には
安上がりで無理が利くという打算があったのは否めないものの
それ以上に彼が若い才能を見抜く
目利きであった
と言えるのではないでしょうか。

「ハリウッドで最も影響力のある監督」が(←誰だろ?)
この作品を撮る企画があったにもかかわらず
長編映画を撮ったことがなかったアレックス・ステイプルトンという
無名の監督を抜擢したこと自体が
コーマンらしさを物語っているように思います。

大量の作品を製作し、必ず儲けを出したといわれるコーマンが、
ただ観客の下世話な好奇心を刺激するような
扇情的な作品だけをつくって儲かればいいと
考えていたわけではないということは
アメリカ南部の黒人差別を描いた『侵入者(The Intruder 1962)』のような
作品もつくっているところでしょう(唯一の赤字作品だそうですが)。
また、コーマンは
ベルイマン、フェリーニ、黒澤明といった
当時アメリカ国内で未公開だった世界中の良質な作品の配給も手がけています。
これはただの守銭奴にはできないことでしょう。
コーマンには、人種や性別、キャリアや知名度などによる
差別も偏見もないように思えます。

ケチでお金にうるさいと言われたコーマンですが
彼のお金に対する姿勢こそ学ぶべきものが多いのではないでしょうか。
マイケル・チミノ監督『天国の門(1980)』の制作費が莫大に膨らんで
製作会社ユナイテッド・アーティスツが倒産したのは有名な話ですが
とかく、自由な表現をすることと
経済的な満足を得ることは相反することのように思われがちです。
事実、そうなんでしょう。
だからこそ、表現者は金儲けする人間を小馬鹿にし、
金儲けする人間は表現者を鼻で笑うのです。

でも本当は、そんなつまらないつばぜり合いをしている場合ではなく
無駄だと思われる楽しみも汚いと思われているお金も
両方必要なのではないでしょうか。
お金は必要。でも、お金だけあればいいわけじゃない。
じゃあ、お金はいらないの?
コーマンはそのような不毛な対立に立ち向かっているように
思えてなりません。

趣味でカメラを回すのではなく、プロとして映画を作るならば
必ず作品をお金に還元しなくてはなりません。
だからこそ、儲けにこだわったのではないでしょうか。
実行するのは非常に困難なことでしょうが
神棚に飾られて威張っている「芸術」より
表現することと現実の世界との格差を乗り越えようとする
よっぽど芸術的な行為だと思うのです。

コーマンの経歴は、まさに「質より量」
なにかを表現するためには、とにかく作品を次から次へと作るのです。
しかも大量に。
いつしかそれは説得力となるのでしょう。

よし、がんばろ!(若くないけど)





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